［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［スキル］OK.　

　……。
　…………。



『不幸喰らいの英雄』という言葉は、この国でさほど広がっていなかったらしい。最初の街でそれとなく尋ねたものの、知っている者の方が少数だった。知っている、と答えた者は皆「馬鹿げた男が無駄死にした御伽噺だろう？」と答えた。
　今ここに自分が『不幸喰らいの英雄』の2代目として存在している所以が見えたような気がした。
　初代の成し遂げた偉業は忘れ去られているのだ。
　そうして、繰り返されてしまったのだろう。

　この国で活動するにあたり、リオネル・サンドリヨンと名乗ることになっている。彼が生まれたサンドリヨン竜国に姓という概念は無かったが、姓が存在し得る国で活動する時はこのように名乗る決まりとなっている。
　枯れて久しい土地を人々が歩いていく、それとすれ違うように リオネルも歩いている。人通りの多い街に来てはいるものの、覇気は無い。並ぶ店では法外にしか見えない値段で、粗悪な食料品を売っている。実際はこれが法外ではなく この国の適正価格なのだというのだ。
　　　サンドリヨン
　―― オレの国　と似たようなやり方で生計を立てていた国だったな。

　リオネルの国では硝子細工を作り他国で売っていたように、この国では金銀宝石の類いを売っていた筈だ。しかし、店に目を向ければ 原石と思われるものを渡して、僅かばかりの食料を買う人間が見られた。
　物乞いの視線を感じる。この国で活動を始めてから、幾度となく同じことがあった。彼は自分の容姿が目立つ自覚はあった。この国の人間は小柄な者が多く、彼は出身国の中でも特に背が高い方だ。兎に角、出来る範囲で施しを与えるようにはしていた。それはこの時も例外ではなく、それは正しい行動では無かったのかもしれない。
　近くにいた ―― 体格からしておそらくまだ子どもの物乞いに、小さな硝子細工を渡した。サンドリヨン竜国内で使われている貨幣だ。それがこの国にとってどれほどの価値を持つか知っていたからこそ、それを渡すことにしたのだ。硝子細工を渡された子どもは何も言わず、走り去っていった。

　見ていた物乞いどもが殺到した。
　生まれつき目が見えないのだ、と言いながら 目を合わせる男。
　赤子を抱いた女。
　耳が聞こえない、と 明瞭な言葉で伝えてくる男。
　引き摺る脚に 赤が滲む包帯を巻きつけた男。
　彼ら全員に貨幣を渡すことは可能だ。しかし、リオネルは施しを与えるためにここにいるのではなく、この国を救うために ここにいるのだ。嘘を暴くことが苦手なリオネルから見ても、分かりやすく嘘を吐いている者が混ざっている。
　言葉だけでは嘘か本当か判断できない者もいる。リオネルは脚を引き摺って近づいた男に目を向け、それを『喰らう』ことを望んでみた。傷口を直接見ている訳ではないが、それでも多少は引き受けることが出来るだろうと考えて ―― しかし実際のところ、それを『喰らう』ことは出来なかった。無いものを『喰らう』ことは出来ない。
　赤子を抱いた女を見る。遠目に見ただけでは違和感が無かったが、赤子は既に血の気が無く、生きているようには見えない。とはいえ、この国の様相を考えるとまだ断言出来なかった。
　本当に困窮しているのかどうか甚だ怪しい者ばかりが目についた。殺到してきた全員に向けて、尋ねることにした。

「オマエ達、嘘を吐いていないか？」

　直後、男どもは同時にリオネルに殴りかかった。どれも、訓練を受けていない者の動きだった。少々躱しただけで、男どもは皆 息が上がっている。
　様子を見ていた女は赤子を投げ捨てて逃げた。それに気づいてリオネルは、咄嗟に赤子がこの後受けるであろう衝撃を『喰らった』。あの女が何者だったのか尋ねる機会は失われたが、既に尋ねる気は失せている。
　女が逃げ出したことで、男どもも散り散りに去っていった。
　リオネルは投げ捨てられた赤子の様子を見る。泣きも喚きもせず既に冷たくなっていて、やはり既に命を落としていたらしい。竜より賜った≪不幸喰らう力≫で、死を『喰らう』訳にはいかない。
　赤子を抱き上げて『墓守』を当たる。

「名前も知らない赤子の為の墓は無い」

　異臭に満ちた墓の近く。
　事情を聴くなり、『墓守』はそう答えた。

「……そういう決まりでもあるのか？」
「無い」

　自分の国でも似たようなことがあったので そう尋ねたが、『墓守』の答えはどうやらそれと異なっているらしい。

「死んだ人間の遺品を売りさばくことも俺たちの仕事だ。寧ろ、それが主な収入と言える。そいつは金になるのか？ ならないだろう？」

　―― 遺品の処分は、『墓守』の仕事か？
　―― いや、サンドリヨンとイェルデでは、『墓守』の定義が違うかもしれないか。

　実際のところ、『墓守』のような顔をしてこの場にいる人間は単なる墓荒らしでしかなく、金にならない死体の処分を嫌がっているだけなのだが 異邦人たるリオネルはそれを簡単には見抜けない。
　こちらが報酬を渡せば済む話にも思えるが、『金にならない』という理由で子供を弔うことも厭う人間に 金を渡す気は起きなかった。他に真っ当な『墓守』がいないか見回してみたが、話せる人間は見当たらない。

「埋葬するに当たって、特別な仕来りは無いな？」

　碌に管理されていない様子から、そう判断した。

「俺たちが見ているこの土地の外に、勝手に墓を作る分には自由だ」

　『墓守』のふりをする墓荒らしはそれらしいことを言う。この場に本当の『墓守』が居たとしても、答えは変わらない。リオネルは、近くに落ちていた古い木を拾い上げた。

「……死んだ人間が地に還るために弔うんだ。金の為だけじゃない。忘れるな」

　それは彼の国だけの思想でなかった筈だが、この国ではとっくに忘れ去られている。『墓守』のふりをする墓荒らしは何も答えなかった。リオネルも答えを期待して、言葉を放った訳では無かった。

　街はずれで小さな墓を作って街に戻れば、隅の方で痩せこけた子どもが別の大人に囲まれ蹴られている。
　蹴られているのは最初に施しを与えた子どもで、蹴っているのはリオネルが施しを与えた姿に寄り付いた羽虫どもだ。
　≪不幸喰らう力≫で怒りの矛先を自分に向ける。間もなく彼らは一斉にリオネルを見た。しかし、即座に怒りとは別の感情によって 彼らはどこかに走り去ってしまう。
　残された子どもに、語り掛けた。

「どこか痛む場所はあるか？」

　子どもは答えない。この子どもにとって、この国は安住の地ではない。大人の善意など信じないのだろう、と。想像がついていたから、リオネルも特に驚きはしなかった。

「これはオレなりの詫びだ、ひとつ傷を治すぞ」

　そう伝えて、足についた痣を見た。引き受けよう、と望めばそれはすぐに叶った。蜂蜜に似た、酷く甘い味がする。力を振るう時、必ず認識する味だ。怒りの矛先を向けた時も、投げられた子どもの衝撃を引き受けた時も、同じ味がした。
　傷を『喰らった』後、リオネルはそれ以上話をせずにこの場を離れた。

　―― オレは、この国のことを知らない。
　―― ランドルフ、という男と合流しなくては。
　―― この国に住む彼は、オレよりこの国を知っているだろう。

　この国の人間はどうやら自分に対して友好的には在れないらしい。
　というより、この国の人間は他人を一切信じることが出来ないらしい。リオネルが異邦人だから、という話ではない。誰に対しても、信用も信頼も出来ないらしい。
　それを間違った在り方だと言うことは出来なかった。
　　じぶんのくにと　おなじだ
　ただ、悲しい在り方だと考えた。

　人々に尋ねて周り、ランドルフという男がおそらくは『煤被り』のランドルフと呼ばれている人物であること、ランドルフ・アルストロメリアと名乗っていることだけが分かった。それだけだ。
　それ以上の情報を手に入れることも出来ず、問題を解決することもままならないまま、今はランドルフとの合流を目標に 街を発った。



　それから数日後、銀竜の息吹が街を焼いた。
　リオネルはそれを知らない。

ENo.285 日明と月夜 とのやりとり


ENo.881 えるざ とのやりとり


ENo.978 杏里 とのやりとり

ItemNo.26 すごい焼き肉 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 攻撃30 防御30 増幅30 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

エナジー棒（30 PS）を購入しました。
エナジー棒（30 PS）を購入しました。

百薬LV を 10 DOWN。（LV30⇒20、+10CP、-10FP）
防具LV を 9 DOWN。（LV99⇒90、+9CP、-9FP）
料理LV を 16 DOWN。（LV16⇒0、+16CP、-16FP）

武術LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）
使役LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）
変化LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）
合成LV を 30 UP！（LV5⇒35、-30CP）

ユウ(1585) とカードを交換しました！

ドレインスラッシュ （メンブリュウ）


ディープブルー を研究しました！（深度0⇒1）
ディープブルー を研究しました！（深度1⇒2）
ビブラート を研究しました！（深度0⇒1）

滑々素材 を習得！
☆ソードブレイカー を習得！
☆トリクラット を習得！
☆ナタナエル を習得！
☆シャークトゥース を習得！
☆超絶英雄 を習得！
☆ファームリィブレイク を習得！
☆強化合成 を習得！
☆初習得ボーナス：各FPが14増加した！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

シエ(11) は 不思議な粉+4 を入手！
シエ(11) は 不思議な粉 を入手！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - シエ(11) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》

MISSION!!
オオキタ区 N-9：チェックポイント《源泉》 を選択！
　　 - シエ(11) の選択は オオキタ区 N-9：チェックポイント《源泉》

［860 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［443 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［193 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［400 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［320 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［225 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［161 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［91 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［144 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［129 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［221 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［28 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［92 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［58 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［64 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［51 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［23 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［14 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




久しぶりにチャット画面に映るふたり。

　





引きつったような表情。

　







　





　





　

　

　

　




　

　

　

不自然にチャットが閉じられる――

チェックポイント。

仄かな光に包まれた六角形の柱が立っている。

　

･･･柱から滲み出るように、何かが生み出される。



　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！