［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

　一人の少女が、投げ出すことを拒否し、鮮血に塗れた左手で掴み取った物語。それが終わった。

　これは、そんなある日のエピローグ。

//

　そこはイバラシティにとても近くて、そして遠い場所。
　ただの暗闇だった場所は赤い世界を経て、今は月光が降り注ぐ廃墟の街だけがその残滓として残っていた。
　いずれは崩れてただの暗闇に、「何もない故に何でもある場所」に戻るのだろうが、それまでにまだ幾何の時間は残っているようだ。
　そんな場所に、人影が三つ。

　一人は、金髪を二つに結った、四肢が異常に細い少女。
　一人は、蒼い髪を背中に結った、長身の女。
　一人は、碧の色の髪と翼をもつ、目隠しをした翼人の少女。

　地面に先に降り立った金髪の少女と長身の女は、改めて対峙していた。
　先の一瞬までは命を奪い合う敵対関係。そしてたった今助けられた者と助けた者へと変わった。
　少女は何を告げればいいのか分からないまま、しかし何かを言おうと言葉を上げようとしたが、それは女の、ユーキの手の平によって遮られた。

　言葉は不要？
　慣れ合うつもりはない？

　そんな言葉を少女は脳裏に浮かべたが、ユーキの言葉はそのどちらとも違っていた。

「ちょっとだけ、待ってね。そろそろ我慢できないだろうから」

　その言葉の意味を、金髪の少女は２秒後に理解する事となる。
　空から斜め上から滑空し、襲い掛かるように碧の少女が「ユーキィイイイ！」という叫びと共に、ユーキへと飛びついたのだ。
　ユーキの無表情に変化はなかったが、金髪の少女は「ぐふっ」と漏らしたユーキの声を聞き逃していなかったが、碧の少女は止まらないようだ。

「ああユーキ！　ユーキ、ユーキ！　会いたかったよ触れ合いたかったよお喋りしたかったよ！　その前に急に大人になってるけれどどうしたんだいああでもユーキはやっぱり大人の姿もカッコイイね！　急に大人になったのはびっくりしたけれど頑張って飛んだから褒めておくれ！　ああでもユーキも頑張ったよねお疲れさまだね一緒に褒め合おう！　それでねそれでね――」

「まて」の後に「よし」をされた愛犬。目の前の碧の少女に抱いたその印象は、恐らく間違いはあるまい。
　マシンガントークを一方的にぶつけながら、大人になったユーキに頬ずりする彼女が「スフェン・イレーツ」という名前で、ユーキの仲間であるという話を金髪の少女が聞くまで、たっぷり１５分ほどの時間を要したのだった。



//


「つまり、イバラシティのユーキ……」
「同一人物だけど、別人格……とも少し違うけど、まぁ似たようなものだと思っていいわ」

「私もその辺あまりよくわかってないし」と付け足す女性、ユーキからカップを受け取った少女は、「いただきます」とその中に淹れられた珈琲を啜る。
　苦いだけだと思っていた液体の味わいに、少女は思わず目を丸くする。

「わりと、ちゃんと私の淹れる珈琲の味になるものね」
　　　　　　　　　・・・・・・・・
　そう言いながら、どこからともなく取り出した珈琲に口をつけ、満足気に頷くのはユーキだ。
　何もない故に何でもある。そんなこの場所の特性を利用しているのだろう。
　こんな事に使っていい力なのだろうかと悩む少女だったが、口の中に広がる苦みと酸味の中にある「美味さ」を見出してからはそんな小難しい考えはどこかに行ってしまった。
　一方のユーキは、珈琲を笑顔で飲むスフェンの隣でぽつぽつと語る。

「こっちの『私』はちょっと偏屈で、ちゃんと言葉にしないと助けてくれない、へそ曲がりなのよ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・
　金髪の少女はその意味をなんとなく察する事ができたが、そもそも助けを求めさせた原因が幼い時のユーキであると考えると、ただのマッチポンプなのではと脳裏をよぎった。が、珈琲を二口飲むころにはそんな思考はどこかにいった。
　珈琲美味しい。

「まぁ、私は敵を容赦するつもりはないけれど、貴女はそもそも『叱られた』時から敵になるつもりなんてなかったでしょ？」

　そんな言葉を言われて、金髪の少女はぞくりとした。


――確かに。
　思え返せば、あの時点でわたしという人間はそんな思考をしていたのかもしれない。
　　　　　　　　　　　　　　・・・
　浮かんだ呪いや怒りは確かにあったが、それが私を突き動かす程のものではなかったと感じる。
　わたしはいったいいつから『わたしたち』に突き動かされてしまったのだろうか。
　そして。
　このユーキというひとは、こんなにも私をわかってくれていたのか――。


　無意識に頬を伝った涙は、ユーキの指に拭われていた。
「大丈夫よ。言ったでしょ？　責任をもって、助かりなさいって」　
　その言葉に、涙が止まる。
　少女の目を、ユーキの蒼い双眸が真っ直ぐ射貫く。
　助かる以外の道は赦さない。そんな言葉が込められたかのような視線に、思わず零れそうになった涙が止まった。
「――うん――」
　色々な感情が渦巻いたが、言葉にできたのはそんな一言だけだったが、ユーキはそれに納得したのかただ一度頷いた。
「まぁ、今まではそれでいいとして、問題は、これから、ね」　
　スフェンは「僕は一応イバラシティに居る」らしい。ユーキも元の場所に戻るだけで問題ない。
　ならば問題とは。
「私、だよね」
「まぁ、そうなるわね」
　この金髪の少女は『紗織』と呼ばれる少女への『怨念』の一部から引きはがした存在で、どこかにあり得た「金髪奇襲」の可能性の一人。
　しかも、十中八九『終わった』金髪奇襲だ。
　奇跡的に二度目の生を得た彼女だが、元の世界に返した所でろくな事にはなるまい。そもそもユーキは返すつもりはないが。
「まぁ、私達の旅に同行するのも、いいんだけれど――」
　そんな言葉に、金髪の少女は目を輝かせたものの、続きの言葉にうむぅと頭を抱えた。
「――紗織おねーさんがいるのよね。居づらくない？」
　まさにその通り。
　結局やる気をなくしたとは言え、逆怨みして殺そうとした当人であり、そのうえで自分と同一存在。それを目の前にし続けるのは非常に辛い。　
　どうしたらいいんだろうと若干涙目になっていた少女だが、そんな彼女にユーキは事も無げに言葉を続けた。
　　　　　　　　　　　　ほし　
「じゃあ、そうね。別の惑星で生きてみる？　私と……。まぁ多分、小さ方と、会おうと思えばいつでも会えるようにしておくわ。異世界なんとかっていう流行モノみたいなものだと思えば良いんじゃないかしら」

　そう言ってユーキが腰の裏に手を回して取り出したのは、一本の黒い短剣。
　その黒い刀身の中に一つの宇宙を内包する。当然宇宙の中には数多の惑星があり。数多の文化があり。数多の世界がある。
　そこには平和な街も、冒険も、スリルもきっとあるだろう。
　その中から好きに選んでいいと、ユーキは少女へと告げた。

　言葉の内容に、少女は思わず唖然と開いた口に載せる言葉が見つからなかった。

「あ、勿論身体は健康体になるし右目も治すからそのつもりでね」

　更に畳みかけられて思わず落ち着こうと思って口にした珈琲を吹いた。ちゃんと二人は避けた。さすが異世界を渡り歩いたツワモノである。

「い、いいのコレ！？　ほんとになんでもありだけど！？」
「誰が許さないの？　見てるだけの神様が許さなくても、私は許すわよ？」
　半ばツッコミの如くにぶちまけた言葉であったが、そこに平静に言葉を返し珈琲を啜るユーキが少女の目の前にいた。
「――――」
　少女は思う。

　いずれきっと、何かを返そうと。
　この人はそんなものを望んでいないかもしれないが、それでも。
　・・・・・・　　　　　　　　　　　　　　　・・
　責任をもって助けられたのだから、その責任のまま恩返しすればいい。
　だから。
　だから、いずれそれも含めて恩返しをするからと、心の中にその言葉を秘めて、少女は言葉を口にする。

「名前。名前を、ちょうだい。私の、私だけの、名前」

　その言葉に、ユーキは目を丸くして、一度目を伏せた。
　目を伏せ、想いを馳せる。

――紗織でもない。金髪奇襲でもない。彼女は彼女なのだ。そんなただの一人の少女として生きると即決してくれた少女への贈り物――。

　ユーキはその双眸を開き、口を開く。

「―――」

　ユーキの言葉は紡がれ。
　スフェンは静かに耳を澄ませ。
　金髪の少女は、満面に微笑んだ。


//

　そうして、かつて金髪奇襲と呼ばれユーキと戦った少女の話は終わる。
　そして、――――という少女の物語がはじまった。

　これは、そんなある日のプロローグ。

狒々は大人しくなり、低姿勢で温泉をこちらに勧めてきた。

温泉に入るチャンスを得たようだ。

　

　

　

探索を進めると、聞こえてくる電子音･･･

　

どういうわけか、ゲームセンターが稼働している。

　






チャットが開き、ソージロウが現れる。

チャット越しに周囲を見渡し･････満足げな表情を浮かべる。

　





突然エディアンがチャットに現れた。




ソージロウと同じく、周囲を見渡す。






筐体をじーっと観察する。

　









ゲームの話に夢中になるふたり。

　

　

　

しばらくして、ソージロウが話しかけてくる。




　

･････身体の奥から、少し力が湧き出る感覚。


各CP･FPが2増加した！



　

　

　

変化LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
料理LV を 5 UP！（LV18⇒23、-5CP）

ロゼ(622) とカードを交換しました！

ディープフォレスト （ディープフォレスト）


ナイトフィーバー を研究しました！（深度0⇒1）
ナイトフィーバー を研究しました！（深度1⇒2）
ナイトフィーバー を研究しました！（深度2⇒3）

ガードフォーム を習得！
クリーンヒット を習得！
ラトゥンブロウ を習得！
フェイタルトラップ を習得！
プロテクション を習得！
ディベスト を習得！
ガーディアンフォーム を習得！
敗柳残花 を習得！
キーンフォーム を習得！
ワイドプロテクション を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

紗織(92) は 毛皮+1 を入手！
いずみ(1415) は 不思議な布 を入手！
ユーキ(984) は 不思議な布 を入手！
紗織(92) は 毛+4 を入手！
紗織(92) は 毛 を入手！
いずみ(1415) は 毛 を入手！
いずみ(1415) は 毛 を入手！
紗織(92) は 毛+1 を入手！
紗織(92) は 毛+1 を入手！

紗織(92) に移動を委ねました。

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『カミセイ区 F-11：チェックポイント《商店街》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - 紗織(92) の選択は カミセイ区 F-11：チェックポイント《商店街》

MISSION!!
ヒノデ区 E-4：海鳥カフェ を選択！
　　 - 紗織(92) の選択は ヒノデ区 E-4：海鳥カフェ

［866 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［445 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［194 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［397 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［310 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［221 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［160 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［90 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［137 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［128 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［196 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［28 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［58 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［32 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［58 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［39 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［8 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

「うぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！！！！」

　

　

　

「ひぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！！！！」

　

　

　

　

　

　

突然の絶叫と共に、チャットが閉じられる――

ヒノデ区、海鳥カフェ。

眺めの良い海辺･･･とは、ハザマではあまり言えないが、

お店自体はイバラシティでの様子とあまり変わらないように見える。

　

･････ある点を除いて。

　






　

一切の鳴き声をあげず、カフェの周囲を飛んでいる。

その目は既にこちらを捉えており、巨体が静かに近づいてくる･･･