
ニコレットに導かれ、探偵は、事件現場ーーーーーーポールモール氏の部屋のドアを潜る。
現場は既に警察による現場検証の後で、ポールモール氏とメイドの遺体は既に運び出されていた。
「ここが旦那様の部屋っス…ご存知の通り、ここで旦那様は亡くなっていたっス…」
この部屋に来ると、足が竦む。
変わり果てた姿の主人と同僚ーーーーーーその第一発見者になってしまった瞬間を思い出すだけで、寒くもないのに体が震える。
穏やかで幸せな日常が、その一瞬で無惨にも崩れ去ってしまった。それは、小さな両肩には重すぎる現実だ。
しかし、事件の裏にある真実を見ようともしない警察は、まるで頼りにならない。
もはや藁にもすがるような思いでニコレットが頼ったのが、この胡乱な探偵だった。
「どれ、さっさと調べるか。ニコレット、引き続き説明頼むよ」
依頼人の深刻さなど何処吹く風、探偵は今にも大欠伸でもしそうな顔で言う。
そんな適当極まる態度に、切羽詰まった状況の依頼人は表情を曇らせる。それに気づいた探偵は、片眉を吊り上げて言葉を続けた。
「そんな顔するなって。大丈夫、必ず事件は解決するさ。」
「…本当に大丈夫なんスよね?」
ニコレットは、前髪で隠れた目で訝しげな視線を送ってくるが、探偵はその視線を一瞥すると、にやりと笑った。
「ああ、もちろん。こう見えて張り切ってるんだぜ?君の秘密を貰うためなら、精一杯頑張らせてもらおうじゃないか。な?」
一瞬、ジリジリと熱く灼けた探偵の眼光に、ニコレットは怖気で背筋を震わせた。
「さ、それじゃ始めようか」
底知れぬ探偵への恐れに立ちすくむニコレットをよそに、探偵はじろじろと現場を観察し始めた。
燭台の蝋燭の本数を数えたかと思えば、絨毯の目を調べたり、かと思えば、おもむろに割れた窓に近づき、そこから外を眺めたり、窓枠を見たりしている。
「話に聞いた通り、内側から窓が割れてるな。灰皿を投げつけたのか…」
外に落ちている重そうなクリスタルの灰皿を見つめる探偵に、ニコレットは説明を補足する。
「それは旦那様がこの部屋で使っていた灰皿っス。この机に置いてあったっス。」
ニコレットが指差しているのは、窓に背を向ける形で配置されているデスクだった。
「…ん?鍵のかかった引き出しがあるな…おーい警部殿、ここは調べたのか?」
呼ばれたストライクス警部は、苛立ちを剥き出しにしてヒステリックに答える。
「調べませんよ!どう見たって自殺なんですから!遺書だって見つかってるんです!自殺の現場をそんなに根掘り葉掘り調べる必要はないでしょう!死者にだってプライバシーがありますからね!」
それを聞いたチャコールは、呆れたように目頭を押さえた。
「そりゃないぜ警部殿〜…いくらなんでも適当すぎるよ…」
「何を偉そうに…!!だいたいですねえ、貴方は何でもかんでも知りたがりすぎるんじゃないですかね!?普段からあまり気分のいいものじゃあ無い…って聞いてますか!?」
憤慨するストライクスを無視し、探偵はニコレットに訊く。
「ニコレット、ここの鍵の在り処は分かるか?」
「いえ、すみませんっス…アッシもその鍵の在り処は知らなくて…」
申し訳なさそうに答えるニコレットだが、探偵は気にも止めない様子で歩き出す。
「そうか…なら仕方ないか。外に探しに行こう」
あまりに早い切り替えに、ニコレットは慌てふためく。
「えっ…!?も、もうここは十分なんッスか!?まだ見ていない場所が…」
その動揺を遮り、探偵は淡々と言う。
「十分だ、外に行こう。それに…そろそろタバコが吸いたくてね」
恐らく後者が本音だろう。ニコレットは呆れ返った。

[861 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[444 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[500 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[193 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[397 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[305 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[216 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[156 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[79 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[134 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[128 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[100 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[182 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[28 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[48 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
[22 / 300] ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
[49 / 200] ―― 《図書館》蜂のように刺し
[0 / 200] ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
―― Cross+Roseに映し出される。
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カオリ 「ちぃーっす!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カオリ 「・・・・・あれぇ?誰もいなーい。」 |
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カグハ 「おといれ?」 |
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カオリ 「そうかもね!少し待ってみよっか?」 |
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カグハ 「長いのかな・・・」 |
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カオリ 「・・・・・・・・・あーもう!全然こなーいっ!!もう帰ろう!!!!」 |
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カグハ 「らじゃー。ざんねんむねん。」 |
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カオリ 「むー、私たちみたいにどこかドロドロになってないかなぁーって思ったんだけどなぁ。」 |
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カグハ 「ドロドロなかま。」 |
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