［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

◆今回の日記関連回

15:00-16:00
MISSION：リュウジン区 C-11　リュウジン橋　VS風龍
http://lisge.com/ib/k/16/r805.html

5:00-6:00
DIARY：魔眼の異能力と先祖返り
http://lisge.com/ib/k/6/r805.html

3:00-4:00
DIARY：最初のエイド契約
http://lisge.com/ib/k/4/r805.html



◆注：この日記には人の死に関わる表現があります。

---

ベースキャンプを経由したツバキとエイド達は再びリュウジン区へと歩みを進める。
前回のタイミングで手荷物を上手く捌けた事は僥倖だっただろう。2時間前の大規模戦でずたずたになってしまった服装も
新調する事が叶った。あの時の戦いは想定通り負け戦になったが──全員生存したのは御の字だった。

件の戦いの後、彼の意識が戻ったのはベースキャンプに戻ってから後だ。
気がついた時には既に見覚えのある風景で同じ陣営の者たちが疎に陣を組み、或いは取引の為の交渉を
行っている光景が見えていたのだった。

側には自分のエイドたち3匹がこちらを覗き込む様にして佇んでいた。
全身の鈍い痛みに顔を顰めながら、視界に映る光景からゆっくりと状況を推し量る。


「……そっか、何とか戻って来たのね。みんなお疲れさ……いたた」


軋む身体と眩む視界に頭を振り、緩やかに上体を起こす。
90度に傾いていた世界と視界の水平線を合わせていった直後──服に真っ黒い滲みがあるのが映った。
元々リブタートルネックを着ていたが、腹部から下に履いたパンツにかけてドス黒く染まり切っていた。
触ると固い。液体が凝固した痕。……血痕だった。
思わずその質量に目を見開く。──服が重い。身体を起こすだけで肌が不快を覚える程のべたつきと重みは、
水にどっぷり浸した服を乾かさずに着ている様だった。


《──まあ、お目覚めになりました？良かった！
　拠点のベースキャンプに戻りましたよ。さあ、丁度良いですからお召し物も変えられたら如何です？》


エイドの1匹の声が──正確にはエイドとした従者に取り憑いた亡霊の声なき声が頭に木霊した。

---

「……。ねえアンタ。ひとつ聞きたいんだけど」

《はい、何なりとどうぞ？》

「2時間前に風龍と戦った時、アンタに戦闘後の撤退役を任せたわよね。
　アタシは前線で別のエイドの指揮をして、離脱後はアンタに回収してもらう段取りだった。
　現にそうなってベースキャンプに戻ったと思うけど──」

《ええ！仰る通りですよ。ツバキさまのご遺体はそれはもう美しい光景の中に在りました。
　赤い血が地面に咲いた緋色の花の様で！真ん中に伏しておられたあなたはやはり赤がお似合いになる方だと──》




「────は、何ですって？」

《ですから赤がお似合いになる方だと……あ、私個人の好みは青なんですけれども》

「そこじゃないしアンタの好みは聞いてない。……撤退した時に回収したのはアタシの遺体だって言ったの？」

《ああ。ええ。》



"それがどうかしました？"とでも言いたげに。従者の幽霊は半透明の身体で、まるで無垢で愛らしげにきゅるんと小首を傾げた。
この従者としている女の幽霊が偶にズレた反応をするのが主人は地味に苛立つのだが──いやそんな事はどうでもいい。




意味が分からない。
2時間前は死亡していたとでも言うのか。

《ツバキさまはご自身をお判りになられていなかったのですね。
　私てっきりご存知なのかと。今まで同じ事は何回かありましたから》


声色がどこか無機質になった。
この幽霊は死んでいる割に随分根が明るい性格で喋り好きで──偶に小うるさい程だった声が
今まで聞いた事が無い冷たい温度になっていた。






《あなたさまの身体には魂が入っていないんです。
　いちばん最初に出会った時から。


　あなたの中に私の記憶が混ざり込んだ事があったのを覚えていますか？
　私とエイドの契約をする為に異能力を使われた時です。
　それは私の本質が”魂だけの存在"だったからですよ。
　魂を宿していない身体だけのあなたと、魂しかない実体を持たない私。
　あなたと私がエイドの契約を結んだ時、一時的に同一化現象が起きたのでしょう。


　他のエイドはそんな事起きていないでしょう？
　私だけ幽霊が取り憑いた特殊なエイドだったから、だと思っていましたか？
　──あなた自身の性質が重なった結果だったんですよ。》






「……なに、言ってるの。……アンタが何言ってるのか分からない」

《ツバキさま、風龍戦の前に少し違和感をお持ちでいらっしゃいましたね？
　ただの人間の身体がどうして此処まで保っているのか、って。
　結論からお伝えすればあなたの身体は間違いなく人間でしょう。ただ魂が入っていませんので。
　伽藍堂の器として機能している肉体は損傷しても修復可能であるという理屈です。

　そういう意味ではツバキさま、今の時限に至るまでに肉体の方は何度か死に瀕しておられますが
　他のエイドの回復術で治癒されていました。“保っている”というより“破壊された後に修復されていた”訳ですね！
　ほら、魂を"外付け"にする事で肉体を半永久的に持続させるのって割とよくある手法じゃないですか？》

「……そと、づけ？」

《ええ。あなたの魂が宿っているのは……其処です。ずっと所有物としてお持ちの──》



半透明の幽霊がか細い指を指し示す。
示された先は男の手荷物を納めた鞄だった。女が示した言葉に沿えばその中に収納された──

---

ところで話は変わるが。
彼の家系において異能力を発現したのはツバキに限られない。




直近の血筋では彼の祖母がそれに当たる。
彼と彼女はそれぞれ世代を飛び越して異能力が顕現した──先祖返りが発露した者たちだった。
彼の祖母は 柊　月子 と言ったが、異能力は彼と同じ赤眼に宿っていた。が性質は異なる。
彼女の異能力の性質は『封魂』。眼を合わせた者の魂を身体から抜き取り、物質に封じ込めてしまう。
異能力の区分としては強力な方だろう。
ツバキの異能力が心を一時的に奪う物だとするなら、祖母の異能力は精神を宿す存在そのものを身体から引き離す力だった。

実際、祖母はこの力を使った事は無いという。

“物騒だろ普通に。危ねえし。使い時が無えんだよなァ”
“──ああ、おどしでフリだけ見せた事はあるな。うちの漆器を高値で転売して儲けてた奴を見つけた時だ”
“連中がびびった顔は傑作だったなァ。ははは。ま、兎に角しょっちゅう使うような代物じゃねえって事だよ”

これは今は亡き祖母の言葉。
彼女の魂魄封じの異能力は実のところ、日の目を見る事は無かったらしい。
……祖母の話す言葉を信じる限りは、という前提条件付きだったけれど。

---

ところで彼の祖母は漆器職人だった。




その初期の作品に”椿柄の小櫛”がある。
椿の花が絵柄として描かれた木製の櫛。彼女は食器から重箱から化粧道具まであらゆる漆器道具を遺したが、
この櫛は自分の初孫に──描かれた花と同じ名前を与えられた男の子の手に渡った。
持ち主に大切に扱われながら幾度も使われ、今も尚その役目を果たしている。
漆道具は日々手入れを行えば相当長持ちする。製作されてから現在に至るまでこの櫛は半世紀以上の
歳月を経ているが、変わらず持ち主の黒髪を梳かしていた。

---

ところで長い時間を経た道具には、時に自我が宿るという。




御伽噺においては付喪神の名称で登場する事が多い。
古い器物に精霊が宿った存在と記述されるが、元々道具には少なからず使用主の感情が込もるものだ。
それが使用主自身の生業として使われる物であれば、本人を象徴するに値する物になる。
例えば絵描きにとっての絵筆。例えば音楽家にとっての楽器。例えば舞台役者にとっての化粧道具。
道具と使用主自身を結びつける要素が強ければ強い程に。道具はその持ち主の意志を映し出す様に使い込まれ、写身の様に扱われる。
逆に言えば杜撰な扱われ方をした道具たちは怨恨と呪禍をその身の内に溜め込むだろう。


特定の事象を発露させる力を持った特殊道具。


その段階に至ればそれは、"その方面の界隈用語"で言うところの「魔道具」と呼ばれる代物と相成る。

---

《どうして魂がそちらの櫛に宿っているかは私も存じ上げませんけれど。
　最初にお会いした時からその様な在り方をされていましたから──ツバキさま？》




途中で主人が言葉を失っている事に気付いた従者はまたも首を傾げていた。
自身の身体が魂なき肉袋に成り果てた等という話を聞かされれば、常人並みの感性であれば少なからず衝撃を受ける事だが。
否定の世界《アンジニティ》であまりに永い時間を彷徨っていた従者は、その辺りの感性と倫理観のバランスが実のところ狂っていた。
彼女が既に死せる者である事も含まれるかも知れないが。お陰で主人の肉体に魂が無かろうと
生命活動が継続可能なら在り方はどうでもいいとでも言いたげな口振りで延々と話を続けていた。



その声はもう主人の耳には届いていない。
男は耳鳴りがする程に響く心臓の音を鎮める様に頭を抑えていた。──音が痛い。息が上手く出来ない。駄目だ。落ち着かなくては。
肉体に魂が無く、代わりに小櫛に納められ、身体は中身の無い器に仕上がっているという現実。
その現実を赤い眼の向こう側が認識する。









それは祖母の異能力だ。
誰より敬愛していた人の力だ。








「……どうして。なんでおばあちゃんの異能の力をこの櫛が……」

《ああ、お婆様も異能力者だったんですか？
　その櫛を大切になさって下さいね。今やツバキさまご自身と言っても過言ではありませんから。
　でも良いことじゃありませんか？何せ人間の身体は脆いので。魂を分けておくのは安全策ですよ》

「……」

《それに朽ち果てない身体なんて、なんて価値の高いものでしょう！
　あなたは今、元々の異能力に加えて不死に相当する性質をお持ちという事ですから。
　──それは美しいものです。 何度血濡れてもその命が枯れないのなら、今のあなたは永遠に咲き続ける花の様ですよ》

「────っそんな美しさ求めてない！！
　……いい加減その口を閉じて。お喋りはアンタに命じてないわ。黙ってついて来なさい」



会話を断ち切る様に男は有無を言わせない圧を掛けた。
エイドの従者は命令通りそれ以上饒舌を振るう事は無く。再び沈黙の霜が降り立った。




晒してはならない。
溢してはならない。
動揺と焦りはこの場で命取りに──

──……命？ 今この身体は命が宿っていると呼べるのだろうか？

ENo.315 ウチモ とのやりとり


ENo.548 葵 とのやりとり

魔術LV を 5 UP！（LV20⇒25、-5CP）
付加LV を 5 UP！（LV1⇒6、-5CP）

クレン(1724) とカードを交換しました！

潰す （ブレイク）


トランプダウン を研究しました！（深度0⇒1）
トランプダウン を研究しました！（深度1⇒2）
トランプダウン を研究しました！（深度2⇒3）

グリモワール を習得！
レーヴァテイン を習得！
ヴィグール を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ツバキ(805) は 露草 を入手！
ツバキ(805) は 鱗 を入手！

リュウジン区 H-18（道路）に移動！（体調25⇒24）
リュウジン区 I-18（道路）に移動！（体調24⇒23）
リュウジン区 J-18（道路）に移動！（体調23⇒22）
リュウジン区 K-18（山岳）に移動！（体調22⇒21）
リュウジン区 L-18（山岳）に移動！（体調21⇒20）

［870 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［443 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［190 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［380 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［296 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［204 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［143 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［61 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［123 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［108 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［129 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［12 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［37 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




チャット画面に映るふたりの姿。

　





　





　

　

　

　

　

　





　

　

　

　

　

　





　





　





　





清々しい笑顔を見せるふたり。

　

　

　






　








　

　

　

ふたりの愚痴が延々と続き、チャットが閉じられる――