［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「ここにいる連中は大半が『灰掻き』だろう。言うまでも無いだろうけど僕もそうだ。
　そうでない奴らは全員でないにしろ『硝子職人』か その関係者が多いだろう」

　以前に声を聴いた時よりも低く、やや擦れていた。彼は自分が『灰掻き』だと言ったが、『灰掻き』に見られるどこか稚拙な言葉遣いも 話しながら噎せるような気配も無い。しかし、本当に『灰掻き』なのかという疑念は抱くことも無い。彼は他の『灰掻き』と変わらない、灰まみれの服を身に着けていたから。
　どんな顔でこれを眺めて良いか分からない。自分は『灰掻き』でもないし、『硝子職人』の関係者でもない。『硝子職人』による簡単な紹介は受けたが。

「灰に関わるお前達なら、みんな知ってるな？
　僕たち『灰掻き』は、『中』の人間にとって取るに足らない存在だ。
『外』を知らない人間は一様に、僕たちのことを 理解力がない家畜と思っている。
　お前たち『硝子職人』は、この国にとって必要な存在だ。
　それを理解できない人間はこの国に居ない。だからこそお前たちは上層の人間から金の生る木と思われている」

　違うと言いたかった。言えなかった。
『灰掻き』も『硝子職人』も、この国を支える立派な仕事だ ―― と間違いなくリオネルは考えている。今も昔も。
　そう考えない人間もいると、今となっては知っている。

　―― 今日も、『灰掻き』を眺めていたのか。憐れんでるつもりか？
―― どうして、憐れむ必要がある？ 彼らはこの国にとって大切な役割を賜っている。

　『名無し』だった時に、そんな話をしたことがある。今、壇上で、かつて『黒』と呼ばれていた彼と。当時の自分は、『講堂』に向かう前に 天井の『灰掻き』達の様子を眺めるようにしていて、そんな自分に毎回『黒』が声をかけてきていた。
　その時必ず『黒』はリオネルのことを憐れんでいると言った。勿論、自分にそんなつもりは無い。当時の自分は ものを知らない『名無し』であったし、名を与えられた後であろうと 関わりの少ない仕事について知る機会は少ない。そんな己の無知を少しでも埋めたいと考えて行動していた。
　結局今も自分の無知は変わっていない。自分は『灰掻き』の表層すら知らない。

「僕たち『灰掻き』に理解力が無い者がいるのは、奴らがそうさせるからだ。
　わざわざここに来ている『灰掻き』なら知っているだろう。
　『中』の連中は、『灰掻き』の配給食に 薬を混ぜていると。
　そこに『神子』どもは、あの言葉を使う『神力』でトドメを差している。
　―― 『灰掻き』が、ものを考えられないように。疑問を持たず『灰掻き』を続けられるように」

　それは間違っていると思いたかった。しかし『間違っている』等と断言できる理由があるのかと言われれば、それは間違いなく否であった。
　『竜守』たちはそんなことをしていない。そう言いたかったが、実際のところ『竜守』は『灰掻き』の配給食に関わるような仕事を一切していないので そもそも関与することが出来ない。
　それに、彼の言葉はどうにも嘘とは思えない。ここは、皆が『神子』の言葉を受け入れられるよう、小さい子どもの頃から苦行を強いられる国だ。これはリオネルも例外ではない。

「『硝子職人』たちに休みは無い。喩えて言っている訳じゃない。言葉通り、休みが無い。
　今のように、僕ら『灰掻き』が集めた硝子の材料を 『外』に取りに来る。
　何が混ざっているのか分からない配給食を摂る。
　それが休みになるから、十分だと思われている。
　『硝子職人』でもない僕がこんなことを言うのもおかしな話だがな。
　もし、『硝子職人』の中で 僕の言葉が間違っていると思う者がいれば、今 それを伝えてくれ」

　反対の声は上がらなかった。
　つまりは、少なくともこの場にいる『硝子職人』達は同じ意見を抱いている。
　あるいは今この場で意義を唱えることが出来ずにいるという可能性も 全否定は出来なかったが、リオネルはどうにも前者が正しいように思われた。特にこれといった理由がある訳ではなく、半ば勘のようなものだが。
　ここに来る前に話した『硝子職人』も、そのような仕打ちを受けていたのか。

　―― いや、それにしても普通過ぎる。文字通り休みが無いんだとして、あんな風に動けるか？

　『硝子職人』の仕事については殆ど知らないが、炉の前で熱した硝子を何らかの方法で加工するものだと認識している。
　そして仕事は知らずとも硝子細工等は見たことがある。体力だけでなく、繊細な技術も必要とされているのだろうと想像することは出来た。

「ここまでは、僕が知る限りの事実を言った。
　ここからは、僕の考えを話す。
　だからお前たちは必ずしも僕の言葉に同意する必要は無い。
　僕の言葉は、あの色の無い竜の言葉みたいな強制力は無い。
　強制力がある、という状況を殺さなくてはならないと考えている」

　ここまで聞いて、リオネルはようやく理解する。

「この国の人間は今、色の無い竜の言いなりだ。
　色の無い竜が正しいと言えば、正しいのだと考える。
　次の日にそれを色の無い竜が翻せば、間違っていたのだと考える。
　僕たち『灰掻き』が意志を溶かされているのも。
　お前たち『硝子職人』が絶え間なく働かされているのも。
　全部正しいことだと考えている。
　正しいと思い込んだことをして、言われていないことを何もしない。
　これが英雄になるための近道だと思っている。
　これが英雄になるための近道だと、色の無い竜も伝えている。
　そんなバカげた話があるか？ 英雄以前の問題じゃねえか」

　今行われているのは、『竜殺し』の活動のひとつ。神の教えに背いた言葉を広めていくこと。そして自分は『竜守』である。
　ここで『竜殺し』を捕えるべきか。それとも応援要請を行うか。
　迷った末に、後者を選ぶことにした。この場にいる『竜殺し』が、彼一人とは限らない。対してこちらは自分しかいないのだ。この場を離れようと、腰を浮かせた。そんなリオネルの肩を掴む者がいた。

「おっと、『竜守』の旦那」

　小声なのは、『竜殺し』の言葉を遮らないためか。
　先に案内をしていた、愛想に欠ける給仕だ。手には魚の燻製のようなものと いびつな硝子のコップ……中にはおそらく酒。

「あんたに奢りたいって言っている奴がいてだな」

　この『竜殺し』が潜んでいる空間で、どう見ても『竜守』といった風体の自分に、奢りという形で食事が届けられる。
　そんな状況で出された酒を呑むほど、楽観的ではない。自分が普通の『守護者』であれば、敢えてそれを口にしていたかもしれないが。

「済まない。暗くなる前に、『中』に戻らなくてはならない」
「そうかい、それなら止めやしないが そういう事はもっと早く言ってくれ」
「常識外れな行動を取って済まない、……これは詫びだ」

　テーブルに幾らかの金を置いた。これがどんな意味を帯びるか、気づいていない。ただ席をひとつ占領したという事実に対して対価を払う必要があると考えて行動を取っていた。

「次に来るなら時間のある時にしな」

　そんな言葉を聞きながら、リオネルは足早に去っていく。
　『竜守』である自分が、『竜殺し』の言葉を聞いている。その事実が何を齎すか、権謀の類いに疎いリオネルには分からなかった。ただ、破滅を齎すような予感がした。
　刹那、立ち去るリオネルと見知らぬ『灰掻き』の目があった。淀みない目をした『灰掻き』は目を反らすと、ゴミ以上食事未満とも言える貧相な食事を摂り始めるのであった。



　ひとつ理解した一方で、リオネルは本来の目的を見失っている。元々は噂の出所を探るつもりで来ていて、この区の『灰掻き』が出所だと聞いたのだ。だからこそ、確実に『灰掻き』に会える場所としてこの場所を選んだ。

「幸い、僕らは少しずつ『竜守』達のやり方を把握していっている。しばらく前から、良い情報源も見つけている」

　リオネルが立ち去った後も、『竜殺し』による言葉は続いていた。
　『神子』のそれと違い、何の力も持たない筈の言葉だ。
　しかし、店の中にいた人間はそれでも聞き続けていた。



　帰り際、道端の『灰掻き』達がどうにも目についた。
　二人の『灰掻き』が、何か話している。片方は若手の女で、もう片方は壮年の男だ。

「おい、グルナディエ！ 早く持ち場に戻れ！」
「そう、なの？ でも シプレ は、ここにいろ って いった　よ？」
「それがどうした！ シプレは既に集まっている！ 持ち場に集まっていないのはお前だけだ！ ……いつもの場所に戻れ」
「オリビエ は、いつもの ばしょ、もどれ、いう。シプレ は、ここにいろ、いう。どうすれば いい？ どう、すれ ば 、どう、すれ、ば、……うっ、ヴェッホ、ヴェッッホ、」
「……分かった。もういい」

　噎せはじめたのは壮年の方だ。見れば壮年の灰掻きは目の焦点が合っていない。
　今の自分の立場を思うと、あまり眺めているのも違うような気がして リオネルはこの場を離れていく。

　離れていく『竜守』の後ろ姿にも、広場の『灰掻き』の多くは気にかけていない様子だった。



　……。

ENo.285 日明と月夜 とのやりとり


ENo.881 えるざ とのやりとり


ENo.978 杏里 とのやりとり

特に何もしませんでした。

シエ(11) に ItemNo.23 試作品 を送付しました。

生命の宝石（800 PS）を購入しました。

変化LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
料理LV を 5 UP！（LV1⇒6、-5CP）

ItemNo.23 生命の宝石 から防具『空色の上着』を作製しました！
　⇒ 空色の上着／防具：強さ327／［効果1］活力30 ［効果2］－ ［効果3］－

一深(35) の持つ ItemNo.42 朝凪の宝石 から防具『ドレスコード・ピスク』を作製しました！

モモノメ(1137) により ItemNo.15 桃 から薬箱『応急手当セット』を作製してもらいました！
　⇒ 応急手当セット／薬箱：強さ163／［効果1］回復30 ［効果2］－ ［効果3］－

シエ(11) により ItemNo.23 空色の上着 に ItemNo.13 鉄板 を付加してもらいました！
　⇒ 博打付加！［ 5 1 6 = 12 ］通常付加
　⇒ 空色の上着／防具：強さ327／［効果1］活力30 ［効果2］防御15 ［効果3］－

シアと冬馬(1032) とカードを交換しました！

撮影開始！ （モルダー）


クリエイト：ワンダーランド を研究しました！（深度0⇒1）
クリエイト：ワンダーランド を研究しました！（深度1⇒2）
クリエイト：ワンダーランド を研究しました！（深度2⇒3）

リライアンス を習得！
ウィークネス を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - シエ(11) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》

MISSION!!
リュウジン区 C-17：チェックポイント《道の駅》 を選択！
　　 - シエ(11) の選択は リュウジン区 C-17：チェックポイント《道の駅》

［870 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［443 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［190 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［380 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［296 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［204 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［143 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［61 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［123 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［108 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［129 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［12 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［37 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




チャット画面に映るふたりの姿。

　





　





　

　

　

　

　

　





　

　

　

　

　

　





　





　





　





清々しい笑顔を見せるふたり。

　

　

　






　








　

　

　

ふたりの愚痴が延々と続き、チャットが閉じられる――

チェックポイント。



再び現れる守護者。

　　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！