
そう。
そうなのだ。
心当たりはある、というか思い出した映美莉。
完全な自業自得というか、
疲れておざなりになった結果のツケが今頃回ってきたという事実。
いくつものミスの積み重ねがこうなる未来をもたらすのは自明の理。
その中でも大きなミスは少なくとも映美莉が考える上では三つある。
まず第一のミス。
これは致命的なミスである。
相手はどうみても教会のシスターだった。
そんな相手に吸血鬼であると告げるだけで大問題なのは、
あきらか……
どころか考える間でもなくアウトである。
正直いってあきらかのレベルを通り越している。
もうちょっと他に言い方もあったろうし、
ほんの少しめんどくさがらずに補足していれば避けれただろう。
疲れているからといってカッコつけようとしたのが悪いともいえる。
今さらではあるものの、
映美莉は後悔してもし足りない気分になるのも致し方ないだろう。
二番目のミスは……
一番目のミスにも関わってくることのだが、
結局の所、
あの日は疲れすぎていて、
吸血鬼と名乗って助けたにも関わらず、
何もせずに帰してしまったのである。
これは吸血鬼を名乗った上での名折れなのではないか?
それ以上に、
魅力的な女性を助けておきながら何もしないなど、
あなたに魅力がないかのごとき失礼な事なのでは?
なんて思わなくもない。
もちろん杞憂の可能性はないではないし、
只の思い過ごしといわれればそれまでだが、
思い当ってしまった以上、
ミスには変わりないし、
そういう面で相手を怒らせている可能性はゼロではない。
無論、いつもであれば途中がボロが出て、
結局の所ミスをするわけだが、
それでも現状を避けれはしただろう。きっと。
そして最後にして最大のミスは――
完全に疲れてその時の事を忘れていたことに相違ないだろう。
名前すら聞いていない上、
こうやって対面してもすぐに思い出せず、
気づかなかったのだ。
これは大きなミスである。
もし、覚えているなり、
気づくなりしていれば、
それなりの対応はあっただろう。
口説く上でも大きなチャンスだった。
それを完全にふいにした上この結果である。
これを最大のミスといわずして、
何が最大のミスといえようか。
襲われて対峙した時の初動とて違ってくる。
分かっていれば相応の対応というものがあるものだ。
不甲斐なさに思わず歯噛みする映美莉。
しかし、
失った時は戻ってはこないし、
失敗をやり直すこともできないのだ。
ならばどうする。
思い出した今、映美莉がすべきことはなんだ。
それは――
相手が女性である以上一つしかありえない。
上手くいくかいかないかは分からない。
それでも映美莉が映美莉である以上やらねばならない事だ。
それは……
「フッ……」
取り乱すシスター服の女性に対し薄っすらと笑みを浮かべ、
その様子を笑い飛ばす映美莉。
「な、なにがおかしいんですか!?」
そんな余裕たっぷりとも、
見下しているともとれる態度に、
怒りを含ませにらみ見据えるシスター服の女性に対し、
映美莉は――
「いや、失礼。
あの時のシスターさんだったか。
名前を聞いておけばよかったと思ってね。
ここまで情熱的に追いかけてくれるとは思わなかった。
あの時は少々立て込んでいてね。
あれ以上関わるだけの余裕がなかったのだが……
いや、良かった。
これほどまでに情熱的に追いかけてもらえるなんて光栄だし、
それほどの女性に出会えたのはまさに運命だろう。
それが嬉しくて嬉しくてつい……
笑顔がこぼれてしまったのさ。
しかし、我も罪な女だ
これほどまでに情熱的な女性に対し、
いかに立て込んでいたとはいえ、
積極的に何故口説かずに、
ここまで来させてしまったとはな。
本当に申し訳なかった。
これではいきなり攻撃されても仕方あるまい。
とりあえず、ここで暴れても後片付けとか考えると迷惑なので、
ゆっくりお茶をしてお互いの事をしって、
それで、気に食わなかったら、
改めて迷惑にならない場所で続きという事でどうだろうか?」
肩を竦め提案しながら、
映美莉は虚をついて素早く相手の持つ杭を奪い取り、
ぽんぽんと見せつけるように、
杭をお手玉代わりに何度も宙へ放りキャッチする。
武器を持たせていて、
勝ち目があると思われると感情で提案を蹴られる恐れがある。
故に、
武器を取り上げ、
それを気づかれずにやる事で勝負にならないと示し、
賭けに出る可能性を潰した、という訳だ。
「えっ?あれ、
なんで……?
私はちゃんともってたはずなのに……!」
それをみて、
自分の手元を見るシスター服の女性は、
驚きと困惑の表情を浮かべ、
何ももってない手を見ては映美莉を見、
再び自分の手を見るという動作を繰り返す。
信じられないものをみたかのような様子。
まぁ、それはそうだろう。
取られた瞬間が分かってないのだから。
「喋ってる間に少しね。
物騒なものを持った状態では、
話せる話もできないからちょっと頂かせてもらった。
ま、後でちゃんと返すさ。
それで、どうだ?
我の提案、受けてもらえるだろうか?
ま、受けないなら受けないで返すが……
今この場でやりあっても結果は見えているとまでは言わんが、
厳しいものである事はしめせれたと思うのだが。
もし、受けてもらえるなら名前も教えてほしい。
麗しの君の名前を、さ。」
そういってウィンクする。
魔眼の力を使えば簡単ではあるのだが、
使わない。
というより友好的な相手や、
友好を持ちたい相手に対して基本使うものではない。
例外があるとすれば動きをどうしても止めないといけない状況にあれば……
だろうか。
「で、でも、貴女のような……!」
しかし、葛藤があるのだろう。
この状況においてなお、
どうするか決めかねるような様子をみるシスター服の女性。
まぁ、さもありなんである。
理性では分かっている。
感情でも納得は出来ている。
ならば何が邪魔をしているのか。
それは彼女の信仰心そのものに他ならないだろう。
あの夜にチンピラども相手に説法しようとするほどだ。
さぞかし敬虔なのだろう。
どういう宗派で教義なのかは詳しく分からないが、
大体の分類ならわかる。
「吸血鬼という話なら、
そういう異能だという話さ。
それに、
そちらの教義では同性愛は禁じられているかもしれんが……
ここで相手への教義の押し付けはするものではないし、
まぁ、吸血鬼のような異能をもってるなら、
人間のようで人間ではない何かくらいに思えば対象外。
ほら、何も問題ないし、
そもそも君が我を好きにならなければいい話だ。
教義を捨ててでもついてこい……
といいたいが、
それはもっとお互いを知ってからだな。
どうだろう?
何も問題ないと思うのだが……」
どうかな?
とばかりに相手をじっと見つめる映美莉。
それに対して、
暫くシスター服の女性はうーうー唸り続けながら、
考えていたが、
やがてがっくりと肩を落とし……
「分かりました。
分かりました。
もういいです……
そこまでいうならとりあえず話くらいは付き合います……
このまま抵抗したり何かしようとしても無駄みたいですし、
それなら今後良い関係を続けれるか、
それとも敵対するのかはっきりさせる必要はありますし……
敵対するにしても今の私と装備じゃ無理そうです……
付き合いますよ。
私の名前は……倉橋波姫(くらはしなみき)です。
倉橋でも波姫でも好きによんでください。
言われなくても好きに呼ぶのでしょう?貴女は。」
はぁ、とため息をついて承諾の意を示す。
どうやら話が通じたらしい。
はやり喜ぶ心を抑え込み映美莉は微笑み……
「ああ。じゃあ波姫と呼ばせてもらおうか、
そして改めて自己紹介を。
我の名前は社映美莉。
えみりんでもなんでも好きに呼んでいいぞ。
それじゃ、早速どこかの喫茶店にでもいこうか。
我のおごりでな。
こんな事もあろうかと、
我には財布が……
財布が……」
綺麗なお辞儀をして名乗りを終え、
華麗に先導しようとして、
自分の全身を探り、
困ったように周囲を見回し始める映美莉。
「ええ。そうですね。
別に奢りなんて……
どうしたんです?」
そんな映美莉に対し奢りなんていいですよといおうとしたら、
不審な行動をはじめる映美莉に対し、
きょとんとした顔で首をかしげながら問いかける。
「……いや、財布をもってきたはずなんだが、
どこにもなくてな……
ええ、と……あれぇ……?
……ど、どこかにおちてないだろうか?」
困ったようにそんな事を言い始める。
周囲を見回してみても、落ちている様子はない。
「……」
「……」
しばし流れる沈黙の中、
波姫は思い出す。
そういえば、いつも何かを忘れてくるという噂。
肝心な時に限ってという言葉にどういう事なのだろうかと思っていたが、
こうやって目撃してみれば一目瞭然である。
今まであれだけ格好をつけて、
凄い姿を見せ続けてきたのにこの落差。
そんな様子に思わず一気に緊張の糸がきれ、
空気が弛緩していく感じに、
思わずおかしさがこみ上げ、
笑ってしまう波姫。
「あはははははは!」
「わ、笑う事ないだろう!
いや、まぁ、確かに情けない姿をみせたけど!」
そんな笑い声に条件反射のように恥ずかしそうにいう映美莉に波姫は、
笑いで思わず出てしまった涙をぬぐいながら、
「す、すみません、
お詫びに私が今日は飲み物と一品くらいなら奢りますよ。
いきなり攻撃したりもしましたし。
喫茶店に行って何も頼まないというのも、
変でしょう?」
そう提案した。
「ぐ、ぐぬぬ……
仕方ない、お言葉に甘えるとするよ。」
そんな優しい言葉に恥ずかしがりながらも許諾する映美莉は、
二人連れだって喫茶店へと向かうのだった――
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えみりん 「やべぇ難産!次回はかけるかわからない!ひょっとしたらお休みするかも。」 |
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えみりん 「いやー時間迫ってきてなんとかかけたけどやばいね。」 |
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えみりん 「毎度毎度思うのは予定たててかこうと思うと途端に崩れる謎の現象だな。」 |
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えみりん 「まさかこれは……冗談じゃねえ……!」 |
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えみりん 「あ、お盆の間RTAとかレーシングポエムゲームとか見てた。」 |
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えみりん 「楽しかったけど、同時に書く手が……」 |
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えみりん 「にぶろうにもどう書きだすかがきまってなかったらかけないんだ!」 |
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えみりん 「実に悲しい話である。」 |
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えみりん 「さて。それでは何か話そうとおもったが、何を話そうかな。」 |
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えみりん 「じゃあ、今回の話についてでも。」 |
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えみりん 「はい。シスター服との女性と和解前編といったあたりです。話のネタがありません。」 |
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えみりん 「後編きちんとかけるかなというより、文字数がえらい少なく終わる可能性もある。」 |
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えみりん 「由々しき事態じゃんか!」 |
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えみりん 「とはいえ、色々楽しくのんびり日常話がかけたらなーと思います。」 |
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えみりん 「だが、問題はそこじゃない、そこは書く事がきまってるからいいんだ!」 |
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えみりん 「真の問題はこの次のプロット。どうしよ。白紙。」 |
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えみりん 「ネタもなーどうするか悩ましいんだよなー。」 |
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えみりん 「もうちょっと過去を詰め込むべきだったカナーなどという反省。」 |
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えみりん 「ま、過去なんてどんどん増えていくものさ。今という日常をかけていけば、」 |
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えみりん 「明日には今日が過去となるのだから!」 |
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えみりん 「クオリティの高い話のネタが思いつく事をいのろう。」 |
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えみりん 「え、今の所?クオリティどうなんだろうね?やってる事同じことの繰り返しでは?」 |
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えみりん 「でも同じことの繰り返しがこいつらしいんだよ分かれ!」 |
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えみりん 「という内心の葛藤との戦いになっております。はっはっは。」 |
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えみりん 「ま、そんな駄文ですが少しでも楽しんでいただけることをいのりつつ。」 |
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えみりん 「今回はこのあたりで解散かな。ここまでよんでくれてありがとう!」 |
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えみりん 「次回も読んでくれると嬉しいな。楽しんでくれたならそれが最大の報酬です。」 |
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えみりん 「……」 |
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えみりん 「もうちょっと文の力と発想と書き方と構成力成長させたい。ガチで。」 |

[852 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[422 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[483 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[161 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[354 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[251 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[182 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[118 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[44 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[111 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
―― Cross+Roseに映し出される。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
 |
エディアン 「・・・・・・・・・うわぁ。」 |
Cross+Rose越しにどこかの様子を見ているエディアン。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
ノウレット
ショートの金髪に橙色の瞳の少女。
ボクシンググローブを付け、カンガルー風の仮装をしている。やたらと動き、やたらと騒ぐ。
 |
ノウレット 「こんちゃーっすエディアンさん!お元気っすかー??」 |
 |
白南海 「・・・・・・チッ」 |
元気よくチャットに入り込むノウレットと、少し機嫌の悪そうな白南海。
 |
エディアン 「あ、えっと、どうしました?・・・突然。」 |
 |
白南海 「ん、取り込み中だったか。」 |
 |
エディアン 「いえいえいえいえいえー!!なーんでもないでーす!!!!」 |
見ていた何かをサッと消す。
 |
エディアン 「・・・・・それで、何の用です?」 |
 |
白南海 「ん・・・・・ぁー・・・・・クソ妖精がな・・・」 |
 |
ノウレット 「コイツがワカワカドコドコうるせぇんでワカなんていませんって教えたんすわ!」 |
 |
エディアン 「・・・・・・・・・」 |
 |
エディアン 「・・・何かノウレットちゃん、様子おかしくないです?」 |
 |
白南海 「ちょいちょい話してたら・・・・・・何かこうなった。」 |
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エディアン 「え・・・・・口調を覚えたりしちゃうんですかこの子。てゆか、ちょいちょい話してたんですか。」 |
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ノウレット 「問い合わせ含め58回ってところっすね!!!!」 |
ノウレットにゲンコツする白南海。
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ノウレット 「ひいぅ!!」 |
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白南海 「いやそこはいいとしてだ・・・・・若がいねぇーっつーんだよこのクソ妖精がよぉ。」 |
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エディアン 「そんなこと、名前で検索すればわかるんじゃ?」 |
 |
白南海 「検索・・・・・そういうのあんのかやっぱ。教えてくれ。」 |
検索方法をエディアンに教わり、若を検索してみる。
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白南海 「――やっぱいねぇのかよ!」 |
 |
ノウレット 「ほらー!!言ったとおりじゃねーっすかー!!!!」 |
 |
白南海 「だぁーまぁー・・・れ。」 |
ノウレットにゲンコツ。
 |
ノウレット 「ひいぅぅ!!・・・・・また、なぐられた・・・・・うぅ・・・」 |
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エディアン 「システムだからっていじめないでくださいよぉ、かわいそうでしょ!!」 |
ノウレットの頭を優しく撫でるエディアン。
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エディアン 「ノウレットちゃんに聞いたんなら、結果はそりゃ一緒でしょうねぇ。 そもそも我々からの連絡を受けた者しかハザマには呼ばれないわけですし。」 |
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白南海 「・・・・・ぇ、そうなん・・・?」 |
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エディアン 「忘れたんです?貴方よくそれで案内役なんて・・・・・」 |
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エディアン 「あー、あと名前で引っ掛からないんなら、若さんアンジニティって可能性も?」 |
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エディアン 「そしたらこちらのお仲間ですねぇ!ザンネーン!!」 |
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白南海 「・・・・・ふざけたこと言ってんじゃねーぞ。」 |
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白南海 「まぁいねぇのは寂しいっすけどイバラシティで楽しくやってるってことっすねー!! それはそれで若が幸せってなもんで私も幸せってなもんで!」 |
こっそりと、Cross+Rose越しに再びどこかの様子を見るエディアン。
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エディアン 「さてあいつめ・・・・・どうしたものか。」 |
チャットが閉じられる――