
夏になったので体育の授業で水泳が始まった。
これがスクール水着か〜……。
ワンピース型は本当に久しぶりに着るなぁ〜。
「アズーロちゃん、やっぱりモデルさんなんだね〜。スタイルいいなぁ〜」
同性だけど、お友達にプロポーションを褒められてちょっと嬉しい。
ポニーテールに纏めてラッシュガードを羽織ると、更衣室からプールサイドに集合する。
反対側のプールサイドに男の子たちの姿が見えた。
男子も女子も、何やらお互いの水着姿を意識している様子。
紫外線を気にする女子と比べると、男子はラッシュガードを着てない子や、ラッシュガードを羽織ってても前を開けてる子が多いなぁ。
と、思いつつ、ユカラくんを探す。
いた。
首から出てた傷ってあんなに大きいんだ……。
他にもあんなに……。
本人が吹っ切れてるとはいえ、痛々しいなぁ。
他の女の子たちも、気づいて気になってはいるみたいで、
「ねぇ、アズーロちゃん。ユカラくんのあの傷……」
「んー、私も初めて見たから驚いてる。首元は知ってたけど……」
詳細は知らないし、事実だけを答えた。
ユカラくん、友達と何か話してるなぁ。
あれ?傷触らせてる?
遠慮してる子の方が多いけど、触らせちゃってるね……。
男子はワイワイ楽しげなんだけど、なんだろ……、一部の女の子たちの様子がなんだか変……。
「ありがとうございますありがとうございます」
「男子がわちゃわちゃしてるの最高……」
なんで拝んでるの!?
……精霊がなんか、すごく………楽しそうなことを考えてるんだろうなって動きをしてる。
視るのをセーブしてても漏れてる……。
う、うーーーーん…………。
一応ユカラくんに、お友達に傷を触らせないように伝えておこうかなぁ……。
帰宅後。
「今日、プールサイドでお友達と身体触って遊んでたね〜。筋肉自慢とか??」
それとなくユカラくんに聞いてみた。
「身体の傷について聞かれたから、『触ってみる?』っていう話になって、ついでにお互いの筋肉自慢みたいになった」
「あーーーーー、なるほどーーーー。それならまあ、仕方ないか、な」
男の子らしい理由、だよね。
「……アズも触ってみる?」
「え?」
肩のところ、かな??
と思ってたら、ユカラくんがシャツの裾をめくりだしたので、ぎょっとした。
「え!?えええ!?背中とか胸とか私が触っていいの??」
「別にいいけど」
「じゃ、えーっと………、し、失礼します」
ユカラくんがいいなら、キスもしてるんだし、いいよね??
1番無難そうな背中を触らせてもらう。
「今日、私もはじめて見たからびっくりしたけど、もう痛くないんだよね??」
「昔の傷だから今は別に」
「良かった。えっと……つい、触らせてもらっちゃったけど、女の子には気軽に触らせちゃ駄目だよ??勘違いさせちゃうと思うからね?
男友達には……うーん……触らせてもいいっちゃ良いと思うんだけど……今日一部の女子の間で変なことになってたから……どうなんだろう………??」
あの女の子たちの騒いでた理由が、よく分からないなぁ。
「とりあえず、女の子には言わないでね??
男子はまぁ、大丈夫だと、思う、よ?」
「……アズが言うなら、分かった。覚えとく」
あ、どうにか伝わったみたい。
良かった。
後日。
体育の時間。
男子がユカラくんを中心にまたワイワイ騒いだあと、視線が私に集中した。
え?なに?なに?
不思議に思ってたら、授業後、頭を抱えることになった。
ユカラくんめ、傷について男子が聞いたら
「アズに聞いて」
って言ったらしい……。
当然女の子たちにも伝わって、私たちがただならぬ関係になっているという噂が立ってしまった。
お祝いされるのが大半なんだけど、私たち、特に進展はしてないんですーーー!!!というのが精一杯だった。
うう、ツライ。
また今夜ユカラくんをお説教だよぅ。

[845 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[409 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[460 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[150 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[311 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[202 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[149 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[68 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・ロストの情報をやたらと隠しやがるなワールドスワップ。 これも能力の範疇なのかねぇ・・・・・とんでもねぇことで。」 |
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白南海 「異能ならリスクも半端ねぇだろーが、なかにはトンデモ異能もありやがるしねぇ。」 |
不機嫌そうな表情。
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エディアン 「私、多くの世界を渡り歩いてますけど・・・ここまで大掛かりで影響大きくて滅茶苦茶なものは滅多に。」 |
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エディアン 「そういえば貴方はどんな異能をお持ちなんです?」 |
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白南海 「聞きたきゃまずてめぇからでしょ。」 |
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エディアン 「私の異能はビジーゴースト。一定の動作を繰り返し行わせる透明な自分のコピーを作る能力です。」 |
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白南海 「あっさり言うもんだ。そりゃなかなか便利そうじゃねぇか。」 |
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エディアン 「動作分の疲労は全部自分に来ますけどねー。便利ですよ、周回とか。」 |
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白南海 「集会・・・?」 |
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エディアン 「えぇ。」 |
首を傾げる白南海。
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エディアン 「――で、貴方は?」 |
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白南海 「ぁー・・・・・どうすっかね。」 |
ポケットから黒いハンカチを取り出す。
それを手で握り、すぐ手を開く。
すると、ハンカチが可愛い黒兎の人形に変わっている。
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エディアン 「わぁー!!」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・手品の異能ですかー!!合コンでモテモテですねー!!」 |
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白南海 「なに勝手に変な間つくって憐れんでんだおい。」 |
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白南海 「糸とかをだなー・・・・・好きにできる?まぁ簡単に言えばそんなだ。 結構使えんだよこれが、仕事でもな。」 |
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白南海 「それにこれだけじゃねぇしな、色々視えたり。」 |
眼鏡をクイッと少し押し上げる。
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エディアン 「え!何が視えるんです!?」 |
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白南海 「裸とか?」 |
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エディアン 「ぇ・・・・・」 |
咄嗟に腕を組み、身構える。
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白南海 「・・・嘘っすよ、秘密秘密。言っても何も得しねぇし。」 |
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エディアン 「ケチですねぇ。まぁ私も、イバラシティ生活の時の話ですけどねー。」 |
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白南海 「・・・・・は?」 |
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エディアン 「案外ひとを信じるんですねぇー、意外意外!」 |
そう言ってチャットから抜けるエディアン。
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白南海 「あぁ!?きったねぇだろそれ!クッソがッ!!おいいッ!!!
・・・アンジニティぶっ潰すッ!!!!」 |
チャットが閉じられる――