
「……大体、10時間ってとこか。」
手元の懐中時計を見ている。
ハザマに送り込まれてすぐ、時間の経過を計るためにクリエイションを使い造った時計で計っていたのだ。
今現在で大体10時間が経過、まぁこれは継続した時間ではなく途切れ途切れでハザマに送られ現実に戻っていく時間を合わせて導き出した数字である。
「まだ半日も過ぎてないか……」
現在いる場所は適当に選んだまだ崩れていない廃墟の中だ、この中で休息を取るという理由だがもう一つ。
ここ最近見ていない『あの夢』を見るためだ。
「さて……何を見る羽目になるんだか……」
意識は朦朧とし、やがて意識はなくなり視界は黒く染まった。
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目が覚めれば、いつものあの空間に立っていた。
――――さて、今回は何を見せてくれるんだ?
後ろを向けば、あの二人の男と二人がいる部屋が見えた。
「どうやら、何とか平和に暮らせているようだな。」
黒髪の男がそう言った。
「ああ、一時はどうなるかと思ったが世の中に余計な混乱を起こさずに済んだようだ。」
金髪の男が心底安堵したような顔でそう言った。
「それにしても、イバラシティで元気に過ごしているようだな。想定外のこととはいえ我々のせいで人生を狂わせてしまったが……」
金髪の男は安堵の顔から後悔している顔になり、そう呟いた。
「ああ、まだ能力のコントロールが覚束ない年齢で突然覚醒したんだ。もしかしたら自殺もあり得るかと思ったんだがな……ここまで立ち直ってるとは、御見それしたぜ。」
黒髪の男が「やるじゃんこいつ」、とでも言うような顔でそう言った。
「当初の予定より遥かにズレてしまったが、結果的には本来想定していた道筋に戻ったみたいだし。俺達も安心して彼の人生を見ることが出来るな。」
黒髪の男は金髪の男に対しそう告げた。
「ああ、彼がこの先どんな道に進むのか是非とも楽しませて……いや待て、これは……」
彼らが見ていたテレビに映っていたのは、彼らが能力を与えた青年含めた沢山の人間が突如別の世界へ飛ばされている光景だった。
――――確か、あれは最初にハザマに飛ばされた時の……!
そんなことを思い出していると……
「これはどういうことだ?イバラシティ中の住民が全員別の世界へ飛ばされちまったぞ!」
黒髪の男がそう叫ぶ。どうやら彼らにとっても、これは想定外の事態のようだ。
「……俺たちが知らない何かが動いてるみたいだな。」
金髪の男はそう呟く。彼も彼で焦ってはいるのか冷や汗が出ているようだ。
「……どの道、俺達はあの世界に関わることはできない。彼自身がこの状況を打破するのを見てるしかない。」
金髪の男がリモコンを操作する。そしてテレビには、この世の終わりと形容できるくらいには荒廃している世界が映っていた。
「……見守るしかないな。」
黒髪の男がそう言い
「ああ、彼が生き残ることを願うしかないな。」
金髪の男がそう返した。
――――あんな風に、ハザマに飛ばされてたんだな……
暢気にそう思っていると、引っ張られるような感覚を感じた。
どうやらこれで今回の夢は終わりのようだ。
――――本当、ハザマって何なんだ……?
その言葉と共に、夢から覚めた。

[842 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[382 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[420 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[127 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[233 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[43 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[27 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・・・おや、どうしました?まだ恐怖心が拭えねぇんすか?」 |
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エディアン 「・・・何を澄ました顔で。窓に勧誘したの、貴方ですよね。」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
落ち着きなくウロウロと歩き回っている白南海。
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!! 俺これ嫌っすよぉぉ!!最初は世界を救うカッケー役割とか思ってたっすけどッ!!」 |
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エディアン 「わかわかわかわか・・・・・何を今更なっさけない。 そんなにワカが恋しいんです?そんなに頼もしいんです?」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
ゆらりと顔を上げ、微笑を浮かべる。
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白南海 「それはもう!若はとんでもねぇ器の持ち主でねぇッ!!」 |
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エディアン 「突然元気になった・・・・・」 |
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白南海 「俺が頼んだラーメンに若は、若のチャーシューメンのチャーシューを1枚分けてくれたんすよッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・。・・・・他には?」 |
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白南海 「俺が501円のを1000円で買おうとしたとき、そっと1円足してくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・あとは?」 |
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白南海 「俺が車道側歩いてたら、そっと車道側と代わってくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・うーん。他の、あります?」 |
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白南海 「俺がアイスをシングルかダブルかで悩ん――」 |
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エディアン 「――あー、もういいです。いいでーす。」 |
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白南海 「・・・お分かりいただけましたか?若の素晴らしさ。」 |
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エディアン 「えぇぇーとってもーーー。」 |
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白南海 「いやー若の話をすると気分が良くなりますァ!」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!!!!!!」 |
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エディアン 「・・・あーうるさい。帰りますよ?帰りますからねー。」 |
チャットが閉じられる――