
ベースキャンプに戻ってくるのはこれで2回目だろうか。
最初にハザマに飛ばされた時を計算に入れれば、3度目の滞在になる。
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“ ” 「…………」 |
ベースキャンプに戻ってきたら真っ先に会いたい人がいた。
以前は軽く話をするだけに留まってしまったけど、今回は少し長く滞在できそうだから。
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「はじめましてー。俺、八束克哉っていいます。 先輩にはいつもお世話になってます」
「噂は聞いてるよー、先輩の自慢の子供だって。 実在してるのかなって思ったけど生で見るとやっぱり実在してるねー」 |
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“ ” 「……八束さん、いる?」 |
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「久しぶりー、幽綺くん!元気にしてた?」 |
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「ヴァー?」 |
『八束克哉』
四ツ谷幽綺の父・四ツ谷悠矢の同僚。
何故か四ツ谷悠矢を慕っている。
本体はアンジニティの住人で、蛇の下半身を持つ亜人の雌。
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“ ” 「おれだよ。覚えてる?前に会った……」 |
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「ヴィ!ギュー!ギュゥ!」 |
彼女はイバラシティの四ツ谷幽綺の知り合いだった人だ。
発声器官がないのか、それとも言葉を喋るのが億劫なのか鳴き声以外で話すことはしないけれど、思念を読めば会話そのものはできる。
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『ずいぶんおひさじゃん、ユーキクン。なんか人型も板についてきたね』 |
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“ ” 「そう見えるかな。 ……八束さんは何か変わったりしてない?」 |
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『いや、ぜーんぜん。なーんもないよ。ここで食っちゃ寝してるだけだもん』 |
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“ ” 「……まだ動いてないんだね」 |
彼女には今のところ侵略の意思はないらしい。
それどころか自分から何かしようというやる気さえない。ハザマの時が始まってから、彼女はずっとこのベースキャンプに留まっている。
ベースキャンプで目についたものを手当たり次第食べ散らかす以外には何もしない人なので、Cross+Roseの連絡にさえ出てくれなくてずっと困っていた。
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“ ” 「あのね、八束さん。次元タクシーの運転手さんの話……聞いた?」 |
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『んー?なーに、なんかおもしろい話してくれんのー?』 |
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“ ” 「……このハザマでね。戦わない人や、力が弱い人は…… だんだん姿が変わっていって、ナレハテになっちゃうんだって」 |
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『…………』 |
影響力が弱い者は徐々に変質し、最終的にはナレハテか——あるいは別の何かに成り果ててしまう。
その話が真実なら、真っ先に変わってしまうのは彼女だろう。
彼女は今のところ何もしていない。侵略にも、防衛にも、何一つ関わらずに蚊帳の外でずっと怠惰を貪っている。
彼女がこのまま非戦を貫けば、次にベースキャンプに戻ってきた時にはもう彼女はいないかもしれない。
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『そっかー!何もしないだけで進化できるんだねー!楽しそー』 |
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“ ” 「……怖くないの? 戦わないと消えちゃうかもしれないんだよ」 |
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『ぜーんぜん? 戦うのとかめんどくさいしー、あたしはこのままでいーや。 そろそろ食べ物もなくなりそうだからー、お腹すいて苦しくなる前におしまいになるなら楽でいーかなって』 |
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『ま、センパイがいるならまた話は別だったんだけどねー。 あの人おもしろいし、近くで見られるならついてってもよかったんだけど。いないんでしょ?センパイ』 |
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“ ” 「……うん」 |
彼女は死を恐れていない。自分が変わってしまう恐怖よりも、ただ「面倒なこと」をするのを嫌ってここに留まろうとしている。
おれが彼女に面倒なことをしてまでも生きていてほしいと願うのは、おれのわがままでしかない。彼女が現状維持を望む以上無理強いはしてはいけない。
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“ ” 「……あのね、八束さん。おれ、今回はちょっと長くここにいられるみたいなんだ」 |
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『え、ほんとー? ユーキクンのおともだちってけっこーオラオラ行く感じの人達じゃなかったっけ。 珍しいねー』 |
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“ ” 「うん。だからね、またお別れする前に……」 |
懐からあやとり紐と風車を出して、彼女に見せる。
前に藤久とちさからもらった物だ。
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“ ” 「ちょっとだけ、遊ぼうか。色々と遊び道具をもらったから」 |
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『まじでー? やるやるー!』 |
影響力の話が本当かどうかはまだわからない。
嘘だと断言できない以上、彼女とまた会えるのかどうかもわかりはしない。
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“ ” 「………………」 |
だから、今のうちにたくさん思い出を作っておこう。
いずれ来るであろう別れの前に。胸にしまっておける宝物を、たくさん。
すごい石材(400 PS)を購入しました。
すごい木材(400 PS)を購入しました。
良い石材(200 PS)を購入しました。
お野菜(50 PS)を購入しました。
お野菜(50 PS)を購入しました。
具現LV を
5 UP!(LV15⇒
20、-5CP)
武器LV を
5 UP!(LV67⇒
72、-5CP)
レーカ(362) により
ItemNo.15 ポプラ から法衣『
破れたヴェール』を作製してもらいました!
⇒ 破れたヴェール/法衣:強さ102/[効果1]耐災25 [効果2]- [効果3]幸運14
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曾我部 「滅茶苦茶細切れに繊細にポプラを切り刻んで繋ぎ合わせてみました どう?どう??ちょっと破れたけど…………」 |
ItemNo.19 すごい石材 から射程1の呪器『
首括りの結紐』を作製しました!
⇒ 首括りの結紐/呪器:強さ396/[効果1]体力20 [効果2]- [効果3]自滅14【射程1】
『高国藤久』(58) の持つ
ItemNo.14 すごい木材 から射程1の呪器『
小刀『底根國素戔嗚』』を作製しました!
ヤト(678) の持つ
ItemNo.3 燐灰石 から射程1の呪器『
残夢の魔石』を作製しました!
杉乃(1139) により
ItemNo.19 首括りの結紐 に
ItemNo.18 燐灰石 を付加してもらいました!
⇒ 首括りの結紐/呪器:強さ396/[効果1]体力20 [効果2]攻撃25 [効果3]自滅14【射程1】
飼い鳥(104) とカードを交換しました!
からすが咥えてたカード
(イラプション)
ヘジテイション を研究しました!(深度0⇒
1)
ヘジテイション を研究しました!(深度1⇒
2)
デスブランド を研究しました!(深度0⇒
1)
超技術 を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[842 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[382 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[420 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[127 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[233 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[43 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[27 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・・・おや、どうしました?まだ恐怖心が拭えねぇんすか?」 |
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エディアン 「・・・何を澄ました顔で。窓に勧誘したの、貴方ですよね。」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
落ち着きなくウロウロと歩き回っている白南海。
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!! 俺これ嫌っすよぉぉ!!最初は世界を救うカッケー役割とか思ってたっすけどッ!!」 |
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エディアン 「わかわかわかわか・・・・・何を今更なっさけない。 そんなにワカが恋しいんです?そんなに頼もしいんです?」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
ゆらりと顔を上げ、微笑を浮かべる。
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白南海 「それはもう!若はとんでもねぇ器の持ち主でねぇッ!!」 |
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エディアン 「突然元気になった・・・・・」 |
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白南海 「俺が頼んだラーメンに若は、若のチャーシューメンのチャーシューを1枚分けてくれたんすよッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・。・・・・他には?」 |
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白南海 「俺が501円のを1000円で買おうとしたとき、そっと1円足してくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・あとは?」 |
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白南海 「俺が車道側歩いてたら、そっと車道側と代わってくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・うーん。他の、あります?」 |
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白南海 「俺がアイスをシングルかダブルかで悩ん――」 |
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エディアン 「――あー、もういいです。いいでーす。」 |
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白南海 「・・・お分かりいただけましたか?若の素晴らしさ。」 |
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エディアン 「えぇぇーとってもーーー。」 |
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白南海 「いやー若の話をすると気分が良くなりますァ!」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!!!!!!」 |
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エディアン 「・・・あーうるさい。帰りますよ?帰りますからねー。」 |
チャットが閉じられる――