
本日の天気
晴れ 後々 曇り
_「おはよう、昴 朝ごはん出来てるわよ」
「どうだ?昴 部活動頑張ってるか?」
そんな中身のない言葉を最後に、両親は他界した
その日の朝は快晴で、わずかな雲をかき分けて照らす日差しが
妙に眩しかったのを覚えている。
青い空に描かれた飛行機雲を眺めながら
無機質に授業を受ける
大人に何を言われようが知ったことではない
ただ、日常の境界線を越えることなく
日々を受け入れて飲み込む毎日に
嫌気がさしていたことは事実だ。
午後に入ると朝の陽ざしが嘘のように陰りを見せて
雨が降るだろうか、なんて
ぼやけた頭で思い、その日は部活を休んで直帰した
両親が死んだのは、俺が家を出てすぐのことだったらしい
この人生を表すならさしずめ…
黄身の無い卵 餡子のない大福 のび太のいないドラえもん…?
少なくとも、大事な核である理解者はこの世からキレイさっぱりいなくなり
正真正銘孤独な存在になったと言えるだろう
久しぶりだった 笑おうと思えど、笑顔を創れなくなったのは。
本日の天気
雨
ぐちゃぐちゃになった地面も気にせずに歩く
仕事の日はいつも雨だ。
煙草が吸えないのはどうにもストレスが溜まるが、
俺は早々に死体を埋め、証拠の隠蔽をした。
苛ついてなどいない 今日も完璧な手際だったと思う
あの日、両親が死に
ろくでもない祖父母に預けられた俺は
金を貰って『ヒーロー』になれる仕事に就いた
家に居たくなかったから、というのと
胸にぶら下げたラブ&ピースに従う、ってのも
悪くないと思ったからだ
年齢不問、死んでもどうとでもなる人間を募集…していたらしい
結論だけ言えば殺し屋だ。
世の中にはとんでもない悪行を犯す奴がいるもんで
そういう人間の粛清が主な仕事だった。
幼馴染と別れ、両親も他界し
親しい者などいない俺にはまさに天職だ。
俺は孤独の穴を埋めるように熱心に刃を突き立てた
ここに居る存在証明を、
自意識を現実に結びつけるように
必死に、闇雲に。
・・・
・・・・・・後に残るのは、
何もなかった
結局の話、どう生きようが
生きがいが無ければおままごとと変わらないのだろう
生きる理由もなければ死ぬ理由もない
生物として、なにか欠落したような、
心だけが、壊死していくような。
本日の天気
雨
人を殺してもなんとも思わなくなった
刺激を覚えなくなった
其れは作業だ。
仮面を創るのが上手くなった。
不愛想で、ちょっと友達想いで、口が悪い不良
…を表面として生きていくのは随分と楽だった。
なにせ、なんの責任もない。
不良であるということ 即ち、真面目に取り組むという姿勢から解放され
たまに優しくすればそれなりに見返され
口が悪ければ余計な縁を創らない。
時折 年相応らしい反応を見せれば、周囲は驚くほどこの仮面を受け入れてくれる
愛想笑いに、怒り芸。
それこそ幼馴染でしか知りえないことだが、
俺はそれなりに器用なほうだった。
だから、この仮面を疑う者など誰一人としていなくて、
都合の、都合のいい…
どうでもいい…
無難にそれなりに、生きる力はそれなりに身についた。
ほんものの自分…、
両親と、幼馴染がいたころの自分は心の奥底で
きっと二度と覚めない眠りに就いたのだろう
いや
二度と覚めなくいいと、願ったんだ
正気で生きることは
辛いことばかりだから。
それから?
それから…
ああ、傘を 忘れてしまったな。
と気づいたのは、12時を超えた後だった。

[842 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[382 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[420 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[127 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[233 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[43 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[27 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・・・おや、どうしました?まだ恐怖心が拭えねぇんすか?」 |
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エディアン 「・・・何を澄ました顔で。窓に勧誘したの、貴方ですよね。」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
落ち着きなくウロウロと歩き回っている白南海。
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!! 俺これ嫌っすよぉぉ!!最初は世界を救うカッケー役割とか思ってたっすけどッ!!」 |
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エディアン 「わかわかわかわか・・・・・何を今更なっさけない。 そんなにワカが恋しいんです?そんなに頼もしいんです?」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
ゆらりと顔を上げ、微笑を浮かべる。
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白南海 「それはもう!若はとんでもねぇ器の持ち主でねぇッ!!」 |
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エディアン 「突然元気になった・・・・・」 |
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白南海 「俺が頼んだラーメンに若は、若のチャーシューメンのチャーシューを1枚分けてくれたんすよッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・。・・・・他には?」 |
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白南海 「俺が501円のを1000円で買おうとしたとき、そっと1円足してくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・あとは?」 |
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白南海 「俺が車道側歩いてたら、そっと車道側と代わってくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・うーん。他の、あります?」 |
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白南海 「俺がアイスをシングルかダブルかで悩ん――」 |
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エディアン 「――あー、もういいです。いいでーす。」 |
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白南海 「・・・お分かりいただけましたか?若の素晴らしさ。」 |
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エディアン 「えぇぇーとってもーーー。」 |
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白南海 「いやー若の話をすると気分が良くなりますァ!」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!!!!!!」 |
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エディアン 「・・・あーうるさい。帰りますよ?帰りますからねー。」 |
チャットが閉じられる――