
――不意に、微妙な違和感を感じとる映美莉。
気のせいといえばそれまでだ。
何に対して抱いたものなのかはわからない。
しかし、
少し首を傾げ、
二人がいぶかしがる程度の反応はしめしてしまったらしい。
「どうしたの、映美莉?」
「ん?
いや、なんだ。
……大した話ではないのだが――」
とはいえ、思いっきりばれるほどに表情やら、
態度にだしてしまったようでは何かいわねばならない。
とはいえ、
どうかしたかの満足な答えを出すこともできないが故、
映美莉は――
「――いや、
こうして縁があったからよかったけれど、
二人に対してひょっとしたら、
色々声をかけるチャンスがあったのだと思うと、
それを不意にしたのが悔やまれてね。
ほら、出会いが早ければもっと親しくなっていたかもしれないだろう?
しみじみと実感してしまったのさ。
ほら、あー……」
思わず言葉につまる映美莉。
どこで実感したか問われるとどう答えたものかと考えてしまったからだ。
えてしてそういう時ほど痛い所はつかれやすく……
「――誤魔化そうとしてない?」
葵にそういわれてしまう。
実際問題誤魔化そうとしていたわけで、
痛い所をつかれた形になるわけだが、
長年、痛い所をつかれ尽くした上、
普段の忘れ物の方が致命的な映美莉である。
「していないとも。
ただ、言っていいものかどうか悩んでただけで。
何、葵がムッとするという事は、
それだけ我の事を意識してくれている裏返しではないかと思ってね。
それをはっきりいうと、
否定されたり……
今の様に力を籠められたりして痛くなるだろうなぁ、
などと思ったから言い淀んだだけで……
うん、本当に痛いからもう少し緩めてくれると嬉しい。」
はっきりいうと照れ隠しで何かあるかもしれないと警戒していた……
と、遠回しに伝えると、
向こうもそれが分かっていたようで、
指摘されると問題なく力を抜いてくれ、
納得もしてくれたようで、
心の中でほっとする映美莉。
「でも、それより前に出会わなくてよかったとも思いますわ?
ああいう出来事自体ないほうがいいですし、
もしあったとしても、
映美莉に助けられるとは限らない上に、
別の場所での出会いがあっても、
心ときめく何かがあるとは限りませんもの。
結果論ですが、
今、いい関係を築いているというのは最高の出会い方をした証だと思いますわ。」
それに対してシンシアはいう。
確かに言われてみればその通りだし、
誤魔化せた安堵もあって、
「ふっ。
それもそうだな。
こういう出会いをしたからこそ今があるのだから、
それ以上の贅沢をいうのはよくないし、
それよりも悪い事だって多々あるのだから、
素直に今を喜んでおかないとな。
さて、
それじゃ気を取り直して、
話の続きでも聞かせてもらうとしようか。」
満面の笑みでそういうと、
葵の方も気を取り直したらしく、
落ち着いた様子で、
「続き……といいますと?」
一応二人の出会いの話は終わったので、
これで終わりなのではないかと疑問の声をあげる。
「まだ、後一つくらい聞く時間はあるしね。
二人の話もこれだけ……
という訳ではないだろう?
だから続きを聞きたいなって。
駄目かい?」
そういって首を傾げる映美莉。
その様子にしょうがないと二人は見合った後、
一つ頷き……
「しょうがないですわね。
それじゃあ、
せっかくですし……」
「多分一番聞きたいのはお詫びのお茶会の事だと思いますから、
その時のお話をさせていただきますね。」
「……」
どんな話をするのか、
シンシアが選ぶ前に葵が決める。
その決めた話はシンシアにとっては、
避けたかった話題らしく、
表情が固まっている。
まぁ、この話でなくても、
話されたくない話題というのはえてして面白いもので、
選ばれていたとは思うが……
「さっきの話の続きとしても面白そうだし、
流れとしてもちょうどいいから聞きたい……
ところではあるが、
いや、まて、
そんなに何かあった話なのか?
その前の話を知っている時点で問題ない話の筆頭だと思うのだが……」
そう。
前提である話は恥ずかしいと思っても仕方がないものではあっても、
その時の詫びをした上で談笑した。
その程度の話で波乱は普通であれば望むべくはないはずなのだが、
一体どういう事なのか。
思わず、えっ?
と首を傾げる映美莉。
そんな様子に葵は深く頷き――
「疑問に思うのは仕方ありません。
普通であれば謝ってもらって楽しく談笑した程度ですよ、
で終われますけど。」
「……それで終わってほしかったから、
深く言及しないようにしてましたのに!
葵、あなたって人は……!」
恐ろしい子とでもいうように、
複雑な表情を浮かべるシンシア。
いや、本当に何があったのか……
その様子に思わず興味津々となる映美莉の様子をみて、
シンシアも諦めたのか、
「まぁ、いいですわ。
とはいえ、
やはり話は葵に任せますわね。
自分で喋ってもいいのですけれど、
葵からどんな突っ込みがくるかを考えると少々……
どころか、大分怖いですもの。」
がっくりと肩を落として葵に主導権を譲った。
それを受けて葵は少し苦笑したのち、
コホンと一つ咳払いをして息を整えると、
「では、シンシアの許可もでましたし、
私が話した方がいいみたいなので、
私の方から話をしますね。
ともあれ、そういう事があって、
私は間違われた後、
その間違いに気づいたシンシアから、
お詫びにお茶会に招待したいとのことで、
暇もありましたし、
招待を受けたのですが……
その……
ええ。まぁ、お茶とお菓子が用意されてて、
私とシンシアだけだったんですけど、
どう見積もっても10人分以上の量があったんですよね……
テーブルの上に山積みでした。」
テーブルに山積みのお菓子……
しかも十人分という事はあからさまに量が多すぎる。
実際にそんな状況に遭遇したら映美莉の場合――
「気持ちはありがたいが、
食べきれるか不安だな。
実際そこまで大食漢……
という訳ではないし、
丁重に残してしまう事を詫びないと。
とはいえ、
残す文化もある訳だが……
シンシアはそちらのスタイルの人だったかな?」
純粋な疑問を感じたようで、
どうしてそんなにとシンシアを見つめる。
渦中のシンシアは、
それに対して真っ赤になると、
「う、うう……
こういう時のお詫びは精一杯やらねばならないというのと、
あわよくば仲良くなれたらいいなと思いまして、
気がはやった結果、
気づいたら色々用意してしまってて、
せっかく用意したものを出さないのももったいないですし、
どうせならということで豪勢にしただけですわ!
決して、決して、
考えがなかったわけでは……
……
ええ、そうです、
私が考えなしだっただけですわ。」
言い訳しようとすればするほど、
ドツボにはまってしまい、
自己完結して、
しゅんとなるシンシア。
「気持ちだけは十二分に伝わったから、
結果的にいえばよかったと思うんですけどね。
それで速攻で、
この度の件は全て私の勘違いでした、
関係のない貴女を巻き込んでしまって申し訳ありません。
といった具合に謝っていただいて、
僭越ながらこれはお詫びですわ。
どうぞ、ごゆっくりしていってくださいと言われたのはいいのですが……」
「いいのですが?」
口ごもる葵。
正直な話、
特に問題ないというか、
謝罪としては十二分だと思うのだが、
何があったのだろう。
「ありがとうございます、といって、
それではいただきますね?
と確認をとってから美味しくお菓子とお茶を頂いたのですが、
完全な無言空間になりました。
美味しいですねとかいおうと思ったのですが、
私の方をあまりにも熱心に見ておられて、
こちらから声をかけるかどうかも迷ってしまい……
少し食べた所でとてもおいしかったです、
御馳走様。他にお話もないようですしお暇しますね?
といって立ち去ろうとしたところ――」
「ええ、ええ、
そうでしたわね。
ずっと話かけるのを待っていたのに、
そういう対応されてしまって、
その、あの……
行かないでくださいと泣きついてしまいましたの。
なんていうか、お恥ずかしいですわ……」
あの時の事は思い出したくないと恥じ入るシンシアの姿に、
さもありなんという印象を受ける。
多分沈黙の時間はお互いいたたまれないだけでなく、
シンシアの方はこれで仲良くしたいと思っていたのだから、
違うそうじゃないけど、
どうしたらいいのかわからない混乱であふれていただろう。
思わず生暖かい視線を向けてしまう映美莉だが仕方ないと思う。
「……流石にそうなると、
私もどうしていいか分からずに、
しばらくなだめていると、
違うんですの、仲良くなりたいんですの。
の言葉を聞いて色々納得して、
こちらから話をふって、お互いの話へなんとか繋げましたけど……
その、
下手したら逆効果だったと思います。
なんていうか……
よくも悪くも真っすぐなだけって気づかなかったら、
怖いというかドン引きというか……
そんな感じで逃げ出していてもおかしくありませんでしたし……」
まぁ、確かに……
突然そこまで知らない人が泣いて追いすがってこられると、
少し怖いものがあるだろう。
突然の事で理解が出来ず対応出来ない……
ならまだしも、
混乱して何か致命的な出来事があってもおかしくはない。
「……あー。
うん。
シンシア。
……迂闊に感情を爆発させる前に、
しっかりと喋った方がいいと思うとは、
念のためいっておくぞ。
流石にもうそういう事はそうそうないと思うが。」
流石に一言言わずにいられなかった映美莉。
恥ずかしそうにちょっとむくれながら
「わ、分かっておりますわ。
あの時はその……
友人も少なくて……
どうすればいいのかわからないのと、
感情を持て余してしまっただけで……!
……葵がいなかったらと思うと、
いまだにそんな感じだった気がする事を考えると、
ええ、本当によかったと思いますわ。
今なら逆の立場だったらと考えると、
自分で理解できる程度には、
本当に言ってる意味はきちんと分かっておりますから。」
その言葉に二人そろって胸をなでおろす。
葵もという事は、
ちょっとは大丈夫かな?
と不安になっていた側面はあるに違いない。
「そんな感じで特にその後は面白い話もなく、
お互いの事を知った事で仲良くなるきっかけになりました。
……本当に一つ話したらいい時間になりましたね。
気づいたら出てきたものも食べ終えてしまいましたし……
それでは大学に戻りますか?」
そして、葵が話終えると葵の方から戻る提案をしてくれたので、
映美莉は一つ頷き――
「そうだな。
そうしよう。
……ま、折角だから今日は三人でゆっくり過ごそう。
多分それが一番いいだろう。」
「うう、理解いただけてよかったけど、
これ完全に私だけが恥をさらしただけなのでは……?
くっ、こうなったら二人の失敗談も聞かせてもらわないといけませんわ!」
シンシアの方も文句はないらしい。
支払いをすませ三人で大学へ戻る。
それにしても、映美莉とシンシアは気づかない。
葵の失敗談は二人に比べ遙かに少ない事を。
それがきっかけで、
葵の弱点が何かないか、
二人で必死に探そうとして、
それに対して葵が探さなくていいですからと、
雷を落とす日々が続く事を。
 |
えみりん 「はい、ジョージィ。すまない、今回もネタ切れなんだ」 |
 |
えみりん 「更新が10日刻みに戻ってつらい、非常につらい」 |
 |
えみりん 「このひりつく締め切りに追われる感じ……!」 |
 |
えみりん 「いいや、限界だ!それでもかくね!」 |
 |
えみりん 「……」 |
 |
えみりん 「頑張って書くつもりではあるけど、かけなくなったらゆるしてね」 |
 |
えみりん 「やりたいことが多すぎる!時間が欲しい。」 |

[816 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[370 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[367 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[104 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[147 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
 |
白南海 「・・・・・・・・・」 |
 |
エディアン 「・・・・・・・・」 |
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
チャット画面にふたりの姿が映る。
 |
白南海 「・・・・・・・・・」 |
 |
エディアン 「・・・・・・・・」 |
 |
白南海 「・・・怖いだろうがよ。」 |
 |
エディアン 「・・・勘弁してくれませんか。」 |
 |
白南海 「ナレハテってあの!アレだろォッ!!?ドッロドロしてんじゃねーっすか!! なんすかあれキッモいのッ!!うげぇぇぇぇうげえええぇぇぇ!!!!!!」 |
 |
エディアン 「私だって嫌ですよあんなの・・・・・ ・・・え、案内役って影響力どういう扱いに・・・??私達は関係ないですよね・・・????」 |
 |
白南海 「あんたアンジニティならそーゆーの平気じゃねーんすか? 何かアンジニティってそういう、変な、キモいの多いんじゃ?」 |
 |
エディアン 「こんな麗しき乙女を前に、ド偏見を撒き散らさないでくれます? 貴方こそ、アレな業界の人間なら似たようなの見慣れてるでしょうに。」 |
 |
白南海 「あいにくウチはキレイなお仕事しかしてないもんで。えぇ、本当にキレイなもんで。」 |
ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。
 |
白南海 「・・・っつーか、あれ本当にドライバーのオヤジっすか?何か雰囲気違くねぇ・・・??」 |
 |
エディアン 「まぁ別の何か、でしょうね。 雰囲気も言ってることも別人みたいでしたし。普通に、スワップ発動者さん?・・・うーん。」 |
ザザッ――
チャットに雑音が混じる・・・
 |
エディアン 「・・・・・?なんでしょう、何か変な雑音が。」 |
ザザッ――
 |
白南海 「ただの故障じゃねーっすか。」 |
ザザッ――
 |
声 「――・・・レーション、ヒノデコーポレーション。 襲撃に・・・・・・・・いる・・・ 大量・・・・・こ・・・・・・死体・・・・・・ゾ・・・・・・」 |
 |
声 「・・・・・ゾンビだッ!!!!助け――」 |
ザザッ――
 |
白南海 「・・・・・・・・・」 |
 |
エディアン 「・・・・・・・・・」 |
 |
白南海 「ホラーはぁぁ――ッ!!!!
やぁぁめろォォ―――ッ!!!!」 |
 |
エディアン 「勘弁してください勘弁してくださいマジ勘弁してください。 ホラーはプレイしないんですコメ付き実況でしか見れないんですやめてください。」 |
チャットが閉じられる――