
着信は,まだない。
懺悔室を出た九郎は,そのまま自室である離れへと戻っていた。
ティーナや凛音に相談し,外部の協力者をも得た以上,警察とのやり取りそのものはさして恐怖ではなくなっていた。
むしろ,いつ来るとも知れない着信を待つその時間の方が苦しかったかも知れない。
「……………。」
ベッドに横たわり,天井を見上げる。
つい一瞬前,懺悔室で考えたことを,思い出す。
そしてすぐに,自分はなんと卑怯で情けない男なのかと,そう思った。
いっそのこと見捨ててくれればよかった。
ティーナや凛音がそんなことをするはずがない。
それが分かっているにも関わらず,九郎は一瞬,本気でそう思いかけた。
何のことはない。
この幸福な生活から,自分自身の決断によって離れる勇気が無かっただけだ。
自分を拾った2人が見捨ててくれれば,何ら自分では決めることなく,ここを離れられる。
そんなことを思っていた自分は,なんて卑怯なのだろう。
スマートフォンを見る。
イバラインを起動する。
表示されるのは,数少ない連絡先。
そのほとんど全員が,植井登志郎という自分の素性を知った上で,何事もなく接してくれる人々。
決して多い人数ではないけれど,今の自分にとって,どんなものより大切な宝物。絶対に失いたくないもの。
守らなけば。
自分にとって大切な宝物を,どんなことがあっても守らなけば。
そう思うのに,この手には何もない。
戦う力も,役に立つ異能も,人を導く頭脳も,何もない。
いつも,守られてばかりだ。
それでも良いと,役に立っているのだと,そう言ってくれる人々に甘えてばかりだ。
「…………このまんまじゃ,どうしようもねぇよな。」
ふと,机の上に目を向ける。
置かれているのは,聖書と……ラウンジで行われた講習会の内容をまとめたメモ。
九郎は小さく頷いて立ち上がり,聖書をその手にとった。
「…………。」
ティーナが居ない時,ミサやら何やらを運営するのが凛音だけでは大変だろう。
ほんの少しでも,力になれるよう,準備をしておかなければ。
そう考えて,九郎は机に向かった。
少しでも,ほんの僅かでも,役に立つ自分になろうとして。
解析LV を
5 DOWN。(LV5⇒
0、+5CP、-5FP)
武術LV を
5 UP!(LV15⇒
20、-5CP)
変化LV を
5 UP!(LV15⇒
20、-5CP)
付加LV を
5 UP!(LV45⇒
50、-5CP)
リンカ(332) により ItemNo.2 ラベンダー に ItemNo.5 星十字の紋章 を合成実験してもらおうとしましたが、LVが足りないようです。
リンカ(332) により ItemNo.2 ラベンダー に ItemNo.1 駄物 を合成実験してもらおうとしましたが、LVが足りないようです。
キーニェ(659) により
ItemNo.6 柳 から装飾『
伊達眼鏡』を作製してもらいました!
⇒ 伊達眼鏡/装飾:強さ120/[効果1]風柳15 [効果2]- [効果3]-
リンカ(332) の持つ
ItemNo.5 星のピアス に
ItemNo.1 駄物 を付加しました!
フィーコちゃん(132) の持つ
ItemNo.10 ダンボールマン人形 に
ItemNo.1 駄物 を付加しました!
ウーリ(888) の持つ
ItemNo.13 M36野戦服 に
ItemNo.15 毛皮 を付加しました!
こかげ(722) とカードを交換しました!
ヒールスレッド
(チャクラグラント)
五月雨 を研究しました!(深度0⇒
1)
五月雨 を研究しました!(深度1⇒
2)
五月雨 を研究しました!(深度2⇒
3)
ブレイドフォーム を習得!
オーバーウェルム を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「うんうん、順調じゃねーっすか。 あとやっぱうるせーのは居ねぇほうが断然いいっすね。」 |
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白南海 「いいから早くこれ終わって若に会いたいっすねぇまったく。 もう世界がどうなろうと一緒に歩んでいきやしょうワカァァ――」 |
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カグハ 「・・・わ、変なひとだ。」 |
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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白南海 「――ん、んんッ・・・・・ ・・・なんすか。 お前らは・・・あぁ、梅楽園の団子むすめっこか。」 |
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カオリ 「チャットにいたからお邪魔してみようかなって!ごあいさつ!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
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白南海 「勝手に人の部屋に入るもんじゃねぇぞ、ガキンチョ。」 |
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カオリ 「勝手って、みんなに発信してるじゃんこのチャット。」 |
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カグハ 「・・・寂しがりや?」 |
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白南海 「・・・そ、操作ミスってたのか。クソ。・・・クソ。」 |
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白南海 「そういや、お前らは・・・・・ロストじゃねぇんよなぁ?」 |
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カグハ 「違うよー。」 |
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カオリ 「私はイバラシティ生まれのイバラシティ育ち!」 |
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白南海 「・・・・・は?なんだこっち側かよ。 だったらアンジニティ側に団子渡すなっての。イバラシティがどうなってもいいのか?」 |
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カオリ 「あ、・・・・・んー、・・・それがそれが。カグハちゃんは、アンジニティ側なの。」 |
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カグハ 「・・・・・」 |
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白南海 「なんだそりゃ。ガキのくせに、破滅願望でもあんのか?」 |
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カグハ 「・・・・・その・・・」 |
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カオリ 「うーあーやめやめ!帰ろうカグハちゃん!!」 |
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カオリ 「とにかく私たちは能力を使ってお団子を作ることにしたの! ロストのことは偶然そうなっただけだしっ!!」 |
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カグハ 「・・・カオリちゃん、やっぱり私――」 |
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カオリ 「そ、それじゃーね!バイビーン!!」 |
チャットから消えるふたり。
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白南海 「・・・・・ま、別にいいんすけどね。事情はそれぞれ、あるわな。」 |
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白南海 「でも何も、あんな子供を巻き込むことぁねぇだろ。なぁ主催者さんよ・・・」 |
チャットが閉じられる――