-■■■■■ ■■7-
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貴方を助けるのは、
どうやら私の役目ではないようだ。
最初は、ただ揺蕩う意志の欠片だった。
次第に『己』というものを得て、自我を確立させた。
そうして自我を得た私は、ある世界に配置された。
■■■■。不思議な世界。
レティシエルの作った世界とはまた違う、魔法文明の世界。
僕が"彼"を配置した世界は、
僕の作った世界よりも魔法文明が濃い世界だ。
ここなら、魔力を毒と認識されたベルトアを
助ける手段を見つけられるかもしれない。
どんなに僅かでもいい。
"彼"が僕に新たな知識を与えてくれるだろうと信じて。
だけど、私は魔力というものを
上手く理解していなかった。
魔法も、なんとなく感覚で使っていた。
だからなのだろうか。
■■■■の人間、魔族、天使から
殺されそうな勢いで狙われた。
『人でも魔族でも天使でもない』から。
どうして。どうして?
キミは、その世界における天上人じゃないか。
どうして死ぬ必要があったんだ?
どうしてと言われても。
私は、ただ気になったんだ。
私が死んだら、どうなるのだろうと。
キミが死んだとて、あの世界に影響はない。
■■■■にはレイ・ウォールという人物は
いなかったと扱われるのだから。
そんなことをするぐらいなら、
私という存在の痕跡ぐらい残してもよかったじゃないか。
レイ・ウォールという存在があったことを。
僕自身が世界をうろついていることを知ったら、
《■■■■機関》が黙っちゃいない。
僕はいわゆる『犯罪者』なのだから。
・・・・・・。
これから私はどうなる?
自我を持ったまま戻ってきたのだから、
キミもこれから僕の中で暮らすことになる。
私は、何もできないよ?
あなたが思っている以上に。
キミは、充分知識を得てくれたよ。
だから、あとは『休暇期間』みたいなもの。
今日からキミは、《誘惑》を司る者。テンタサオン・エル・ウォール。
名前は──セレスティノ・フォン・ウォール。
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アマベル 「おっ。誕生したかな?」 |
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カサドル 「・・・アマベル様から見て、新たに誕生した奴はいかがでしょう」 |
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アマベル 「うーん、ベルトアを助ける手段になる子ではないね。 残念だけど、世界の知恵は手に入っても救出手段の知識は手に入らなかったようだ」 |
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カサドル 「徒労に終わった・・・ということでしょうか?」 |
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アマベル 「どうだろう。そこはエルと新しい子が会話しつつ、かなぁ。」 |
遠巻きにも眺める二人の目線の先には、いつもの8人がいる。
ただひとりは、ぼうっとしているのが見えるが。
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アマベル 「あ、カサドル。今のエルには話しかけちゃダメだからね」 |
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カサドル 「?」 |
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アマベル 「面倒なんだけど、新しい子が誕生した時にはエルの心の安定が必要でね。 少しでも外から声がかかると、それが一気に崩れるから」 |
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カサドル 「なんてめんどくせぇ奴なんだ・・・」 |
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アマベル 「はいそこ本音を出さない。」 |
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カサドル 「俺なんか目が見えないんでわからないんですよ。 アマベル様が今教えてくださらなかったら、話しかけにいくところでした」 |
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アマベル 「まあ、それはあるよね。だから教えたんだけども」 |
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アマベル 「・・・・・・。」 |
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アマベル 「少なくとも、生贄探しはまだ続きそうだ。」 |
軽快な鼻歌が、あたりに小さく響いた──。

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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エディアン 「・・・おや。チェックポイントによる新たな影響があるようですねぇ。」 |
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エディアン 「今度のは・・・・・割と分かりやすい?そういうことよね、多分。」 |
映し出される言葉を見て、腕を組む。
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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エディアン 「あら!梅楽園の、カオリちゃんとカグハちゃん?いらっしゃい!」 |
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カグハ 「おじゃまさまー。」 |
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カオリ 「へぇー、アンジニティの案内人さんやっぱり美人さん!」 |
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エディアン 「あ、ありがとー。褒めても何も出ませんよー?」 |
少し照れ臭そうにするエディアン。
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エディアン 「間接的だけど、お団子見ましたよ。美味しそうねぇあれ!」 |
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カオリ 「あー、チャットじゃなくて持ってくれば良かったー!」 |
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カグハ 「でも、危ないから・・・」 |
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エディアン 「えぇ、危ないからいいですよ。私が今度お邪魔しますから!」 |
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エディアン 「お団子、どうやって作ってるんです?」 |
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カオリ 「異能だよー!!私があれをこうすると具を作れてー。」 |
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カグハ 「お団子は私。」 |
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カオリ 「サイキョーコンビなのですっ!!」 |
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カグハ 「なのです。」 |
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エディアン 「すごーい・・・・・料理系の異能って便利そうねぇ。」 |
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カオリ 「お姉さんはどんな能力なの?」 |
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エディアン 「私は・・・アンジニティにいるだけあって、結構危ない能力・・・・・かなー。」 |
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カグハ 「危ない・・・・・」 |
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カオリ 「そっか、お姉さんアンジニティだもんね。なんか、そんな感じしないけど。」 |
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エディアン 「こう見えて凶悪なんですよぉー??ゲヘヘヘヘ・・・」 |
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カオリ 「それじゃ!梅楽園で待ってるねー!!」 |
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カグハ 「お姉さん用のスペシャルお団子、用意しとく。」 |
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エディアン 「わぁうれしい!!絶対行きますねーっ!!!!」 |
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エディアン 「ここじゃ甘いものなんて滅多に食べれなさそうだものねっ」 |
チャットが閉じられる――