
*大井真海 7回目日記*
[……イバラシティの方も、問題ではありますが……。
まぁ、現状ではどうすることも出来ません。切り替えていきましょう。
チャットで知らされたあの場所と数字。……影響力に関わるなら、もちろん、行くべきなのでしょうが。
ハザマの全員……陣営も、敵味方も……あるいは、あのロストも含めて、と、いう意味でしょうか。
……“何故”?
これは、「侵略戦争」の、筈です。
であれば陣営同士で競わされるのが本来の形の筈。
それが、見るからに重要な「チェックポイント解放」という要素で、関係なし……?
新たなロストの言う事もあれですが……。
そちらはまったく目途がつきませんね。ライフラインが生きているか怪しいこの場所でゲームとは。
……いえ、団子の事を考えれば、部分的に生きているという可能背もあるのでしょうけど。
しかし……本当にこれは、「戦争」なのか。
その自信すら、無くなってきますね……]
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“魔術師” (もっしもっしと林檎のような果物を食べている) |
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真海 『何処から持ってきたんですかそれ』 |
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“魔術師” 「おれの力で出した。 影響力や体調とやらに干渉しないようにしたらいけるもんだな」 |
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真海 『自由ですねぇ……』 |
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“魔術師” 「だってあんまりにも何にもねーじゃんかー……。 食料だって限られてるなら、食べるタイミング考えなきゃならんだろうしさー」 |
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真海 『……まぁ、それはそうですが』 |
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“魔術師” 「協力者も食べるか? 特に腹が膨れたりはしないが」 |
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真海 『いりません』 |
*“魔術士” 7回目日記*
[気分だけでも変えられて良かったっつか、気分しか変わらないっつか……。
……まぁ、おれは未だに非実体だから、気分さえ変わればいいんだが。
さてそんじゃあ気合を入れて、次行ってみるか。
とは、言ったが。
なんだこれ。
なんだこれ!?
何だよこのメモ書きの山は!?
うっわしかも日付がほとんど書いて無ぇ。1枚1枚時間軸鑑定比較しないとダメなやつじゃねぇか!
面倒くせぇ……!!
道中の記述っぽいのは確かだが! これは流石にねぇんじゃねぇの!?
……まさか、協力者が勇者やってた世界って、大体全員こんな感じじゃないだろうな……。
(たぶん初めの方)
完全に貧乏くじ引いた。「勇者」サマ方の見守り任務だ。
何年かかるか分からない旅でしかも未開の地に踏み込むオシゴトだ。
最悪。自分が生きて帰る事だけ考えよう。
(恐らくその続き)
「勇者」サマ方、めっちゃ死ぬんだけど。
もう教会から教会に移動した方が早い気がしてきた。
道中これ、見る必要ある?
(推定そこからしばらく経った辺り)
従者「勇者」が1人離脱した。
場所や現在の状態は分からないって報告したら怒られた。理不尽だ。
相変わらず「勇者」サマ方は死にまくる。
というか、女「勇者」サマ、浚われ過ぎじゃね。
(多分更に時間が経過した辺り)
「勇者」サマは問題を起こすのが大好きらしい。村同士の問題に首突っ込んでる。
女「勇者」サマが浚われるのは普通になってきた。
従者「勇者」達は金策を頑張っているらしい。
でも相変わらず死に過ぎ。これで魔王なんて倒せるのか?
(さっきの続きらしい辺り)
従者「勇者」達が派手に喧嘩した。近づけない。地形変わってるし。
1人しか戻ってこなかった。離脱したらしい。
「勇者」サマ方は一応強くなってるみたいだ。同じ相手には死ななくなってる。
ドラゴン討伐してた。近づきたくない。
(これは終盤辺りっぽい)
隣の国が召喚した「勇者」が合流した。3人増えた。
「勇者」サマと女「勇者」サマを放って従者「勇者」を構ってる。
ダンジョンとか行くようになった。教会待機でいいよな?
「勇者」サマが問題を起こすのも普通になってきた。
(これで多分最後)
驚いた。「勇者」サマ方、魔王を倒せたらしい。嫌で強い気配が消えた。
従者「勇者」がいなくなってる。加護が切れて死んだか?
とりあえずこれで報告報告。休暇取るぞー
……この、最後まで残った従者「勇者」っていうのが協力者だよな、これ。
えぇぇ何この「勇者」と女「勇者」って。一緒に居たくねぇー。
しっかし一応は異世界から召喚しておいて扱いが軽いんだよなー!!
……現時点で既に協力者が可哀そうになってきたぞ。
これ、本当の所はどうなんだ……?]

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「うんうん、順調じゃねーっすか。 あとやっぱうるせーのは居ねぇほうが断然いいっすね。」 |
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白南海 「いいから早くこれ終わって若に会いたいっすねぇまったく。 もう世界がどうなろうと一緒に歩んでいきやしょうワカァァ――」 |
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カグハ 「・・・わ、変なひとだ。」 |
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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白南海 「――ん、んんッ・・・・・ ・・・なんすか。 お前らは・・・あぁ、梅楽園の団子むすめっこか。」 |
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カオリ 「チャットにいたからお邪魔してみようかなって!ごあいさつ!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
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白南海 「勝手に人の部屋に入るもんじゃねぇぞ、ガキンチョ。」 |
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カオリ 「勝手って、みんなに発信してるじゃんこのチャット。」 |
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カグハ 「・・・寂しがりや?」 |
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白南海 「・・・そ、操作ミスってたのか。クソ。・・・クソ。」 |
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白南海 「そういや、お前らは・・・・・ロストじゃねぇんよなぁ?」 |
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カグハ 「違うよー。」 |
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カオリ 「私はイバラシティ生まれのイバラシティ育ち!」 |
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白南海 「・・・・・は?なんだこっち側かよ。 だったらアンジニティ側に団子渡すなっての。イバラシティがどうなってもいいのか?」 |
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カオリ 「あ、・・・・・んー、・・・それがそれが。カグハちゃんは、アンジニティ側なの。」 |
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カグハ 「・・・・・」 |
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白南海 「なんだそりゃ。ガキのくせに、破滅願望でもあんのか?」 |
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カグハ 「・・・・・その・・・」 |
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カオリ 「うーあーやめやめ!帰ろうカグハちゃん!!」 |
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カオリ 「とにかく私たちは能力を使ってお団子を作ることにしたの! ロストのことは偶然そうなっただけだしっ!!」 |
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カグハ 「・・・カオリちゃん、やっぱり私――」 |
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カオリ 「そ、それじゃーね!バイビーン!!」 |
チャットから消えるふたり。
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白南海 「・・・・・ま、別にいいんすけどね。事情はそれぞれ、あるわな。」 |
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白南海 「でも何も、あんな子供を巻き込むことぁねぇだろ。なぁ主催者さんよ・・・」 |
チャットが閉じられる――