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個体名:
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[リンク先がありません]は、カエルに似た形を有している。
捕食により形質が混ざりあった結果、ほとんどの情報が変化しており実際のところは不明。
恐らく不可逆的な変化であるため、元の形には戻らないと予想される。
複数の遺伝子情報を持つものの、部位により安定せず容易に変質するようだ。
別途形質を固定する核があると推定されるが、体内には確認できない。
通常、擬態といえば草木に溶け込むものや別種の生物の形を模倣するものが多く見られるが、
[リンク先がありません]は基本的には捕食したものの形に変化するという方法をとるようだ。
元々高い擬態能力を有しているα種のドウクツキンシガエルを起源としていると考えられるが、
同種は主に洞窟内に生息するため、暗闇で目立ちにくく岩や砂に溶け込みやすい模様をしており、
発光体によりアマノヒホタル類の誘引と捕食を行うことを特徴としている。
一方、対象は概ね無機物を捕食対象としており、誘引の必要性がない。
[リンク先がありません]に記載した発生方法から予想すると、恐らく機能的に意味を持たない名残であろう。
道端の空き缶の場合
道端に落ちた空き缶などを良く口にいれており、
材質は鉄、アルミならびにスチールなど、種類に依らず捕食可能なようだ。
飲み込んだあと、速やかに金属光沢が発生し、表面に印刷が出現する。
まるで背中に企業ロゴが印刷されたようだ。接触した場合には金属のような硬さがあった。
最終的に空き缶そのものの形になる。べこべこに潰れた缶を捕食した場合、同じ形が再現される。
ゴミ箱を丸呑みにした場合には複数の缶を内包する状態で体を複製することが確認されているが、
ゴミ箱ごと持ち帰ることができないため詳細は不明である。
できればもっと目立たず、軽いものにしておいて欲しいものだ。
飲み込んだものは命じることで吐き出させることができ、その際には擬態が解除されるようである。
忘れ物の鋏の場合
リビングには様々な忘れ物がある。
なにかの切り抜きにでも使ったのだろうか、テーブルの上に鋏が置き去りになっていたことがあった。
カエルがそれを丸呑みにしていたことがある。
その時は飲み込んだ直後に前肢と後肢が失われた。
体表全体が金属光沢を持ち稼働する刃物状の物体に変化し、
最後に、プラスチックでできた持ち手部分が生えてきた。
上半身が金属部分で、下半身がプラスチック部分というところだろうか。
複数の材質を模倣できるというのも驚きであるが、表面の”病院坂”という文字や、
使用時に生まれたであろうキズも複製していたことから、見た目には違いがわからない。
詳細を観察する前に、忘れ物に気付いた持ち主に連れて行かれてしまった。
その後、特に問題もなかったようなので鋏としての性能も従来品通りなのであろう。
数時間後に二足歩行で帰ってきたので、吐き出させてリビングの上にそっと戻しておいた。
最新型スマートフォンの場合
スマートフォンが置き去りになっていたこともあった。
何でもかんでも丸呑みにするのはやめて欲しいところだが、目の前の四角い箱も例外ではなかったらしい。
電子部品のみならずリチウムイオンバッテリーも当然のようについているはずだが、
一体どうやって模倣したのだろうか。
あれこれ不思議なところはあるが、しかし結果としてテーブルの上に残ったのはカエルではなく
折りたたみ可能な足と、カメラ部分に目を持つスマートフォンであった。
あの後、鋏の時のように吐き出させようとする前に連れて行かれてしまったのは失敗だった。
結果として、スマートフォンの持ち主である金髪の同居人の元から3日は帰ってこなかったのだから。
状況から推察するに、擬態後もスマートフォンとしての機能は失われていないらしい。
期間から考えると、充電も可能であった可能性が高いが、通電して大丈夫だったのだろうか。
電子データの保存先など不明な点も多い。
マイクロSDカード等が挿入されていた場合、脳を取り出していることにならないのか。
それにクラウドに接続できた場合、それは記憶をネット上に保存できるということだろうか。
実に興味深いものである。
最終的には4本足で天井を這うようにして帰ってきた。
これが追加で何かの生物を食べたのか、検索データを参考にしたのか、
持ち主の挙動を真似したのかは不明である。
唐揚げ用鶏もも肉の場合
生き餌こそ食べることはないが、食材として処理されたものであれば問題なく丸呑みしてしまう。
どこからモノとして扱われるのだろうか。
一之瀬家では冷蔵庫に無数の肉類が詰め込まれていることが良くあるが、
この前はその中から鶏肉を口に入れていた。
もっとも、鶏肉は冷凍されて袋詰めされているわけであるから、袋ごと丸呑みにしたのであるが。
透明なビニール袋に生えた足で歩き回る様子を観察していたが、
内部に充填された鶏肉と組織的な繋がりはないらしい。
解凍されていて、飛び跳ねるたびに中身が袋内で踊っていた。
一部分だけを取り出した場合にどうなるのかは定かではない。
内臓の一部が取り除かれるのか、それとも問題なく再生されるのか。
試す術はないが、うまくやれば捕食した以上の鶏肉を取り出せる気がする。
極上とろうまプリンの場合
唐揚げ用鶏もも肉を吐き出させた直後、ケースごと丸呑みにして走り回るプリンになった。
走り回るだけマシであり、仮に動かなかった場合は見分けがつかないだろう。
もしかしたら、食べても分からないかもしれない。味も甘いのだろうか。
流石に冷蔵庫に戻す気にはならなかったため、鶏肉と合わせて代わりの物と入れ替えておくことにした。
もともと入っていた分は今も胃袋の中にある。ストックされたのか、消化されたのかは不明だ。
ハザマの蝶の場合
ハザマでの探索時、舌を伸ばし蝶状の生物を捕食する様子が観察された。
これまで生物を捕食したことはなかったはずだが、この不思議な世界では異能と同じで様子が違うらしい。
捕食直後、無機物を捕食した時と同様に形状の変化が観察された。
無機物の時と違い、組織が変化する様子と成長する様子を比較的ゆっくり確認することができた。
変化の初期段階では前肢の扁平化、後肢の分裂ならびに胴体部に2箇所のくびれの形成が見られた。
触覚状の組織が成長する様子を確認することができ、この時点で昆虫を思わせる形に変化していた。
その後、前肢は羽状の組織へと変化し、後肢は最終的に6本に分裂、組織全体の小型化が確認された。
羽状の組織の表面には、無数の眼状の模様が現れ、その後にアゲハ蝶に酷似した形状へと変化した。
目にあたる位置の組織の隆起と表面へのうろこ状組織の形成が認められ、
これまでのカエル型の口から蝶と同じような、ストロー状の口へと変化した。
変化の最終段階では、ほとんど捕食した蝶と同様の形状となり、
形状ならびに色の面で見分けがつかなくなった。重量はアゲハ蝶に準拠しているようでほとんど感じられない。
初めは歩いたり飛び跳ねようとしたりする様子が見られたのに対し、持ち上げるとひらひらと飛翔した。
カエルとしての行動がベースになっているにも関わらず、蝶としての行動を行う能力がある理由は不明だ。
脳にあたる部分の構造と内部の状態がどうなっているのか分からないが、
その後の行動から推測すると少なくとも記憶は連続しているように思える。
とある死体の場合
ハザマに来てから分かったことであるが、どうやら最近は生物を食べたがっているフシがある。
生き餌と称してみれば実に普通のことであるが、
実際のところ口に入れているのは虫のみならず大型の哺乳動物だ。
虫や魚、トカゲ類を生きたまま捕食した場合には元の見た目や性質をほとんど受け継ぐようだが、
検証の結果、人に類するものをそのまま与えるべきではないとわかった。
ただし、それが死体や一部分である場合は問題なく、
特に体の中心または脳から遠ければ鶏肉の場合と同様に扱うことができる。
人以外の場合において、捕食対象が死にかけの場合や死体の場合は
カエル側の特徴が大きく反映されることがわかった。
体表面に、黒地に金色に近い模様が形成されるようである。
これはこれまで見られなかった現象であるため、
ハザマにおける異能の変化と同質のものである可能性がある。
対象の特徴的な戦闘能力を受け継ぎ行使することができるようだ。
とある死体の場合2
剃りこみの入った体毛を有する人型の敵、ヤンキーと呼称される対象について。
イバラシティでもアンジニティでもない彼らが人に属するのかは不明だ。
しかしながら、例えパーツの一部であっても、現状では与えるべきではない。
鶏肉と同じように扱えるというのは間違いであった。
とある死体の場合3
戦闘後に、倒れた対象の指先を齧っている様子を確認できた。
手首から先を捕食した後、擬態する様子が観察されない。
これは恐らく、捕食したモノが擬態する対象ではなく、消化する対象だからであろう。
ようするに、飲み込んだものが主食であったというわけだ。
異能による人体の再生と再生品の捕食結果について
検証中
異能ランクC+:自動日記帳 P.26