
――狂ってしまった男の独白――
私には妻が居た
幼少から家が隣同士だったから遊んでいた
そんな割とありふれた出逢いから始まった縁(えにし)
成長した私が上京し、働いた先の親友………その紹介でまた彼女と再会して、交際し
………そして結ばれた
親友やその奥さんは我が事の様に祝福し、旅行先としてある国を勧められた
『私たちが新婚旅行で行った国なのだけれど君達も行ってみたらどうだろう』
自然が豊かで皆いい人だったからと、そう言って
私達は、彼等の勧めを信じ―――思い出を作る旅行先と決め、に行くことになった
幸せだった
そして此れからの人生、手を取り合って支え合いながら幸せに生きていくのだと
そう思っていた、その時までは――――
■■月■〇日――『紛争、勃発』
旅行の最中、親友が行ったとされる小さな町に向かい小さな宿で宿泊していた
その際、紛争に巻き込まれ私達は宿から飛び出し逃げていた
汎ゆる方から銃声・砲音・銃声・
悲鳴・爆発音・砲音・怯声・
悲鳴・悲鳴悲鳴悲鳴――!!!
どうしてこうなったのだろう、わからない
だけど早く逃げなければと、私は妻の手を引いて無我夢中で逃げていた
その時 上空の戦闘機から墜ちてきたナニカが
巨大な地鳴りと轟音、そして光と共に……『爆発した』
その爆発は建物を破壊し、人を飲み込み、そして何もかも吹っ飛ばしていった
私は後ろを見たがすぐに爆発による強風が襲い、私は頑丈な作りの建物に叩き込まれた
………そう、『私は』
薄れ行く意識の中、私の手には
今まで妻の手を掴んでいたはずだった筈なのに
酷い『空虚感』を感じた
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目を覚ました時、紛争は終息していた
痛む体に鞭を打ちながら建物から出た………視界に広がるのは『地獄』
そう称するのが相応しい程の惨状であった
私は探した、妻を
ずっと、ずっと………運良く逃げおおせたのだと信じたくて探した最中に、爆発があった場所の付近にまで来ていた
………そこで見つけたのは…爆発の後の大火のせいか黒くなったナニカ
そのナニカの握り拳を見た――そこには妻との、象徴が確かに有って――それは見違いのない事だった
私は、確信する
幸せから一転して地獄に変わったのを
………私は黒くなってしまった其れを運び、祖国に帰った
その手の職である親友による検死結果――やはり妻だと断定された
更にその詳細は私を更なる絶望に叩き落とした
――私から奪われた命が『2つ』、だったのだ
一人生き延びた私は、誓った
国の権力者や有能な異能者、犯罪者
全てを懐柔し、利用してでも
生きた現神を作ってでも
国や世界を変えようと
私の計画はまだ終わっていない
だが、邪魔だてする者はもう居ないと聞いている
私達に爆弾を落とし妻子を殺めた兵士2人にも爆弾を用い絶望の渦中で爆殺
復讐も完遂した
後はこの国を起点とし
生きた現神、『黒箱庭の理想郷(ブラックボックス・ユートピア)』を使って世界を変えてみせよう
戦争の無き平和な世の中に
目の前で大事な存在が居なくなるなどのない世の中に
英雄など関係なく
悪は悪として、罪は罪として正常に正しく裁かれる世の中に
………私の様な存在が現れない、そんな世の中に
この悲願(ユメ)が叶う、その為ならば
私は悪だろうと、外道だろうとなってやる