僕は僕より運動の才が有る兄さんが羨ましかった
兄さんの隣に立ちたい
だけど、僕は弱いから何時も後ろに居る
力になりたくても僕はきっと足手まといなんだろう
双子だったらまだ諦めが付いたんだろうけれどそうでもない以上
どうしてもその想いは拭いきれないんだ
ある日、兄さんからある情報を教えて貰った
「この国には『凶悪な犯罪者』達が存在していると聞く。だが、確たる証拠もそいつ等についての詳細もほぼ無い。証拠も無い上に素性すらわからない犯罪者が野放しにされている。歯痒い物だよな」
って
其れを聞いて僕はこう思った
『兄さんの代わりに僕が調べ上げたら、兄さんの力になれるんじゃないか?』
と
兄さんは僕には兄さんより異能の才が秀でていると言われた
兄さんの為に何が出来るのか
僕には此しか思い付かなかったんだよ
だから待っていて僕が兄さんに『奴等の情報』を『全ての真相』を明かすから
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とまあ、此れが僕が国のサーバーにハッキングをして指名手配を受ける事となったきっかけ
彼方には僕より優れた異能持ちが居たのさ
うん、完膚無きまでの敗北だ
でも、2つだけ情報は得れた
1つ目は
『その犯罪者達は5人居る』という事
犯行動機も思想も異能すら不明だけど其れだけは突き止めれた
そして2つ目は
『国がどういう訳かその犯罪者達全員を懐柔し使役している』
という事
だから犯罪者のデータベースにも載らなかったんだろう、兄さんや警察が突き止めれなかったのも無理は無い
だって『国ぐるみで犯罪者達の個人情報を隠していたのだから』
・・・まあ、調べ上げた所で犯罪者と成り果てた僕の言葉はあの国には届かない
兄さんも僕の為に警察に辞表を叩き付け逃走の手助けをした結果、同じく指名手配されることになった
…何やってんだろうな、僕は
兄さんの足を引っ張るだけ引っ張って、家族に迷惑ばかりかけて
『本当、ばっかみたい』
*執筆者/秋桐賢人*