［基本］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

【序章:１】

　此処は、この街は、１６区と細かく分けられている。僕達が住まいとして選んだ区は特に離れた位置にあり、最も静閑である。静かな上に、最寄りの工場から飛来する『熱』と『鉄』。最適な立地だ。

「そりゃあね、フジさんにとっちゃ良い立地よ」
「えっ?」

　紅茶を啜りながらそう呟くのは、相方であり主人格のハクカクだ。愛称はハク。僕が淹れたアールグレイをミルクで割った物で喉を潤し暖を取っている。そのままでも味は良いが香りが慣れないそうだ。だが渋い表情には訳がある。

「店が遠い、買い物が大変」
「そうだね…」

　荷物、僕が全部持ってるよね…?

「洗濯物が干せないわ」
「ああ…」

　随分些細な。

「換気も、フィルター無しじゃ無理ね。フィルターも真っ黒だけど」
「うん」

　僕はともかく、ハクが鉄粉塵を体内に蓄積し続けてしまうと不味いのは確かだ。そういった人災が社会問題になった地域もあるとかないとか。

「あとさー、せっかく広い庭があるのに家庭菜園が出来ないしっ」
「野菜…ああ、高いんだっけ…」
「庭があるのに!ペット飼えない!悔しい!!」
「ペット…?? え…何か飼うつもりだったの?」
「癒されたーい!!」

　年甲斐もなく駄々をこねる。使役の使い手でもある彼女は獣…というよりは動物、それも小動物を好む。それはもう、とあるドッグカフェに御忍びで訪ねるくらい。異性よりも何よりも。僕は僕で好きな人もいれば嗜好もあるけど、ハクのはなかなか重症だと思う。

「ハク…」
「あ、でも丸きり悪いところばかりではないわね」
「…ぅん?」
「人が住むには住み辛すぎるから人が来ないし人目を気にしなくて良い」
「それ、褒めてるの?」
「褒めてるわよぉ。私にとって一つくらい良い所なかったらとっくに反対意見出して別区行ってるわ。例えば色々顔の効くタニモリに、店に困らないツクナミとか～」
「そう…」

　判ってはいたけど不満はかなりあるようだ。

「まあでも」
「でも?」
「我慢出来てるのはもう一つ、『確固たる目的』があるからかな」
「……」

　僕が、僕達が此処に来た理由。『標的』を追ってきた。『標的』と接触し真実を突き止めると同時に、『標的』を討ち倒し乗り越える事。そのための■■■■■■…

「フジさんにはいつでも力が発揮出来るようにしてもらわないとね」

　そう言いながら更に紅茶を啜る。
　ハクが此処まで同伴してくれているのは、単なる利害一致だけでないのも判っている。でも僕は其をどう表現すればいいのかが判らなかった。だってそれは、恐らく今まで…

特に何もしませんでした。

ハクカク(637) は 不思議な食材 を入手！

具現LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
使役LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
付加LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
合成LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）

ホコリ(635) とカードを交換しました！

芽吹きのタネ （ヒール）


クリエイト：タライ を習得！
ラッシュ を習得！
クリエイト：ケージ を習得！
召喚強化 を習得！
魅惑 を習得！
サモン：ナレハテ を習得！

次元タクシーに乗り『チナミ区 E-5：出発地』に転送されました！

―― ハザマ時間が紡がれる。









チャットで時間が伝えられる。






エディアンの前に１台のタクシーが止まり、窓が開く。









帽子を少し頭から離し、ほんのちょっと頭を下げる。






窓が閉められ、タクシーが走り去っていく。






エディアンからのチャットが閉じられる――