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【芹棗の日記】



2019/01/XX

ピザ屋さんと間違えて訪ねた場所に住む女の子と友達になった。人生で初めての友達だ。
嬉しいな。俺の異能を知っても嫌われなかった。もしかしたら、すごく仲良く（何か書いた後グチャグチャに線を引いて訂正している）
あんまり欲張っちゃだめだ。俺は嫌われやすいんだから、嫌われないことをまず意識しないと。

そういえば、連絡先交換できなかったな。
もう少し仲良くなってからのほうがいいのかな。今度ご両親に無害ですって挨拶したいって相談するついでに、ダメ元で聞いてみようかな。

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2019/01/XX

手土産を持ってピザ子さんのお家に行ってきた。
楽しくなって買い過ぎた中から厳選したんだけど、気に入ってもらえて、一緒に沢山食べて、すごく楽しかった。友達って、いいな。

ご両親には挨拶できなかったけど、話は聞けたし連絡先も交換できた。
少しでも仲良くなれたのかな。嬉しい。もしかしたら最初で最後の友達かもしれない。嫌われないように頑張ろう。


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2019/02/XX

ピザ子さんにオススメしてもらってレンタルしたDVDを見た。
こういうのが好きなのかな。かっこいいし、心臓に悪い演出もないから俺でも楽しめた。ピザ子さんがホラー好きじゃないっぽくて安心。それだと俺は一緒に見られないし。

映画に興味が出てきたからまた借りようかなと思ったけど、あの店員さんが怖すぎる。
返すだけにして、覚悟が決まったらまた借りてみよう。


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2019/02/XX

なぜか迷い込んだ森で飲んだ液体が死んだりしない、俺にとってはすごく安全な毒だった。
これなら中和するよりもずっとずっと良い。食事の量を減らすまではできなかったけど、いつもすごく重くてダルかった体が少しだけど楽になった。
研究所の人も1つくらいこういう楽な毒を飲ませてくれれば良かったのに。俺のことを人として見てくれてなかったのはわかってるけど、少しくらい長持ちするようにとか考えなかったのかな。

なんだが嫌な気分になってきた。適当に積んでたゲームでも崩して忘れよう。


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2019/02/15

はしゃぎすぎて疲れて寝ちゃったけど、すごく嬉しかったから書いておこう。
ピザ子さんにバレンタインだからってチョコを貰った。手作りだよね。すごく嬉しい。
それに、わざわざ俺の家に来てくれた。初めての友達が遊びに来てくれて舞い上がって、中和に切り替え忘れちゃったのは大失敗だった。悲しい思いさせちゃった。怖い思いもさせちゃった。でも嫌われなかったし、誠心誠意努力するって約束を信じてくれるって言ってくれた。外食にまで誘ってもらえた。
いいのかな。俺にとって都合がよすぎないかな。だって俺は（何か書かれていたようだが執拗に塗り潰されている）
あんまり悪く考えたらピザ子さんに失礼だ。
友達が信じてくれるんだからそれでいいんだよね。きっと。

今度一緒に外食に行こうって約束までできて、怖いくらいに嬉しいことばっかりだ。
死ぬのが怖いから生きてただけでもいいことってあるんだな。


そういえばピザ子さんが吸っちゃった毒を中和するために手の平を切った。大したことない傷だけどピザ子さん驚かせちゃって、失敗だったなと思う。
そのときに気づいたけど、俺自分の毒液を操作できたみたいだ。いつもは適当に縫って終わらせてたけどピザ子さんを不安にさせたくなくてどうにかできないかなって思ってたら、溢れる毒液が止まった。傷が治ったわけじゃなくてまた出そうと思えば出せたし触れてると少しなら動かせた。
時間見て練習してみようかな。

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【ハザマの何処か】




黒い泥のようなモノがゴボゴボと泡立っている。
ぬるりと触手のように伸びたり、溺れる獣が藻掻くように波立ったり、正常な精神を持つ者が尽く顔を顰める醜悪なモノがそこに“いた”。
物ではなく、者でもなく、精神が宿っているかは定かではないが意思自体は持っていそうな動きをしている。

その黒い泥は先程から癇癪を起こしたように暴れ回り、八つ当たりするように物をすり潰している。どれだけ続けていたか、心があるのかわからないが落ち着いたのかただ満足しただけなのか動きがピタリと止まる。


――ごぽり。


粘着質な音を立ててぐずぐずに崩れたできの悪い人の手のようなものが形成される。溺れる人が岸を掴もうとしているかのように伸ばされたそれは数秒程で溶け泥に戻っていく。気に入らなかったのか再び黒い泥が暴れる。

数回そんな不毛なことを続けていたが変化が訪れる。

形成されたのは手ではなかった。正しく言えば人の体のどの部位でもなかった。
べったりと地面にへばり付くように広がっていた黒い泥が少しずつ中央に集まり、それなりの塊になったところで粘土を捏ね上げるように形が作られていく。

丸が山に、山がボコボコとした形に、凹凸を更に伸ばしたり整えたり人の形に少しずつ近づいていく。
今度は上手くいくように思われたが途中からぐずぐずと崩れていく。膝を抱えて座る体勢だったのが崩れ、黒い泥が広がっているのも相まって深い泥濘に尻もちをついた人のような形の黒い泥が出来上がった。

――ぁﾞ……ァあﾞ……。

出来損ないの黒い泥が声のような音を発する。ご丁寧に頭部のような部分に口のような裂け目を作って、パクパクと動かしながら。

それを合図にするように出来損ないの黒い泥が精密な形を作り始め、頭頂部から少しずつ色づいていく。





「……ぁﾞ…」

芹棗を半端に真似た黒い泥が“声”を発する。
酷く濁り掠れたような音だったが、確かに本人の声だと思わせる声を。

「……とﾞ、もﾞ……だ…ちﾞ……」

見開かれた黒い眼球がギョロギョロと動く。


芹棗の本来の姿である黒い泥の目的は侵略行動ではないようだ。
ズルズルと這いずって移動を始める。ハザマのどこかにいる、芹棗の初めての友達に会うために。

特に何もしませんでした。

棗(1165) は 不思議な食材 を入手！

命術LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
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深谷(503) とカードを交換しました！

死鬼のアンジニティ （ピンポイント）


アクアヒール を習得！
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次元タクシーに乗り『チナミ区 E-5：出発地』に転送されました！

チナミ区 E-6（道路）に移動！（体調30⇒29）
チナミ区 E-7（道路）に移動！（体調29⇒28）
チナミ区 E-8（道路）に移動！（体調28⇒27）
チナミ区 F-8（草原）に移動！（体調27⇒26）

―― ハザマ時間が紡がれる。









チャットで時間が伝えられる。






エディアンの前に１台のタクシーが止まり、窓が開く。









帽子を少し頭から離し、ほんのちょっと頭を下げる。






窓が閉められ、タクシーが走り去っていく。






エディアンからのチャットが閉じられる――