生存 27 日目 天候:晴れ
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【食料消費】 料理判定に成功♪ 食料73 を消費しました。
死色の真紅(688) からメッセージ
呪夢(2053) からメッセージ
保存料理 を訓練しました。(CP- 3 ) |
叫び声が聞こえる エリア(1094) のシャウト! エリア「短い間でしたが、初ネトゲとしては充実していたと思っております。ホント皆さん、あざーす!!」
傭兵であり、料理人であり、タダのいちキャラである所の『多重運命奏者』ルクィ・リスティリューン(1181) のシャウト!
サキ(1275) のシャウト!
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創られた幻の島が、強い光を放ちつつ少しずつ消えていきます。 唯一残るのは島の本当の姿、小さな、ひとつの島。 そして貴方は想います、これからの自分の居場所・・・ 自分達を島へ飛ばした元凶の所へ! ――――――心地良い潮風が吹き抜ける。 「んーっ♪良い風ですねー!」 風の音に負けない様に、元気に声を出す。 今まで、共に在ってくれた一人の女性に。 「そーねー。」 帰って来たのは中々にいい加減な返答。 だけど、其れが逆に、しっかりした意思を持っている様な気にさせる。 短かったけど長かった、この島での生活の中で知った。其れが彼女の性格なのだと。 …目の前に広がるのは、崖下から延々と続く広大で果ての無い蒼い海ばかり。 立っている地面は荒れた土だけがあり、背後に広がる島はもう半分以上が消えかけていた。 島の不可思議な生物達も今は既に跡形も無く。 今はただ、心地良い潮風だけが……僅かに残っている島、その傷痕を優しく、優しく撫でている。 これは昨日の話だが…気がつけば遺跡が崩れ始めていた。 ――――――もう保てません…気を付けて…!―――――― …そう。あの声が無かったら、きっと流れ込んで来た海水に呑み込まれてしまっていたに違いない。 突然あんな事が起きたもんだから、それはもうかなり慌てたけれど。 そう言う時に限って氷牙がやたら冷静なのは…まぁ常の如しで。 結局、流れてきた水を一気に凍らせて筏を作れたのは中々に僥倖だった。 …ちょっと、座るには向いていなかったけどね。冷た過ぎて。 そんな事を思いながら、何の脈絡も無く話し掛ける。 「やっぱり、あたしにはあんた達が必要な訳よ。分かったでしょ?」 目の前に突き立つ二本の曲刀…共に多くの戦場を駆け、多くの危機や困難を共に乗り切って来た唯一無二の相棒に。 『フン、当然至極だ。主は我等がついていなくては何も出来ないのと同義ではないか。』 ちょっと不機嫌そうで、偉そうで。でも…本当は何処までも優しく、今此処に生きて居られている事を誰よりも嬉しく思ってくれている焔牙。 『あらら〜?でも私達だってルクィちゃんが居なくちゃなぁんにも出来ないじゃない〜♪』 いつもと変わらないぽけぽけな調子で。やっぱりいつもと変わらず正論で話を混ぜ返す。からかっているようで、でも人一倍思慮深い氷牙。 「…。」 そしてそんな二刀のやり取りを微妙に複雑な表情で眺めるエリアさん。 何時もと変わらない、そして、もう戻る事の無い日常の…いや、むしろ非日常の終わり。 それが、消え行く島と共に迫ってくる。 「…そろそろ、ですね…。」 「…そうね。ま、修行ってワリには中々楽しめたかな。実もあったし…ぁ、来た来た。」 ブゥゥゥゥン… 風を切るモーター音と共に、空の彼方からセスナ機が飛んで来る。 それは…以前、あたしがエリアさんと会うその少し前に見たモノと同じだった。 「お迎えですか?」 「そ、お迎えよ。あの親父とまた顔を合わせると思うと…ちょっと懐かしいかも。報告できる事も多いし?」 にひっ、と笑ってエリアさんはセスナ機を眺めている。 その笑顔には偽りが無かった。別れを惜しんでいる感は無い。 …実際、あたしだって、そうなのだから。 「それじゃあココで『一旦』お別れですね。今までありがとう御座いました。」 「んー、ま。大した事してないケド。ルクィちゃんに出合って料理作って貰えてなかったら、アタイきっと意地でもシモツカレ作って食ってたし。」 「えー?でも、まだまだ未熟ですし…変なキノコも使っちゃうし。」 アハハハハ、と二人して苦笑して、過去の互いを思い返す。 でもそれは、後悔なんかじゃない。凄く楽しかった、ただの思い出。 昔のあたしでは考えも付かない位、晴れ晴れとしていて、楽しいと感じられた。 後ろめたさや別れの悲しさなんか、全く無かった。 そのぐらい、今天に広がる雲一つ無い青空ぐらい、あたしの心はスッキリしていた。 …そして、そう。きっとエリアさんも同じだ。 そう感じられる今の自分達が心地良くて、嬉しかった。 だから、二人の苦笑は何時の間にか大きくて純粋な笑みに変わっていた。 …そうこうしている間に、セスナ機は大きく旋回して、あたし達のいる崖に近付いて来る。 「…そんじゃ、アタイはもう行くよ。ホントに一緒に行かなくて良いのね?」 「えぇ。あたし達は、あたし達が来た方法で帰りますから。安心して下さい♪」 「そ。じゃ、ルクィちゃん…それと焔牙に氷牙。また何時かどっかで会いましょっ!」 そう言い残して、エリアさんは崖から飛び降りた。 スピードを緩めないセスナ機に、そのまま巧く乗って飛び去っていく。 「エリアさーん!また今度、きっと、会いましょーねー!」 崖っぷちに立って、あたしは飛び去るセスナに手を振り続けた。 名残惜しいのではない。それが残らない様に、手を振った。 最後に、水平線の先まで行って、見えなくなるまで見送った。 …そして… 『…さて、そろそろ我々も帰途に着くか。主よ。』 『そうねぇ〜。』 「…ん、そんじゃ帰りますかっ!」 グ〜っと伸びをして、欠伸もついでにして、相棒を手に取る。 島も殆んど消えて、周囲に残っていた島の探索者も一人二人と姿を消していった。 そして、あたし達も。 もう戻り方は知っている。凄く簡単な事。 ―――――想い描いてください、貴方の帰る先を。この島の探索を続けるのならこの島を、そうでないのなら貴方の望む場所を――――― …そう。ただ、想う。 帰りたい…いや、『行きたい』場所を。 「んで、帰る前に寄らないとね。一仕事残ってるし。」 『大体目星は付いているが、な。』 『望んだ所に連れて行ってくれるなら〜、ねぇ〜?』 帰る前に、あたし達が『行きたい場所』、それは…―――――― 其処を想い描いた瞬間、あたしは光に包まれ、視界から島が消え去った。そして… 「…やぁ、よく来たね。『戦乙女』ルクィ君。そろそろだろうと思って待っていたよ。」 気が付けば、本で埋め尽くされ、広い筈なのに狭く感じる。そんな部屋に立っていた。 目の前には丸テーブルと椅子が二つ。テーブルの上には紅茶が入っているらしい、湯気立つカップが二つ。 そしてその一つの椅子に座っている子供が一人。 緑の長髪をうなじで大きなピンクのリボンで結び、白い半袖のワイシャツに黄色のラインが入った赤いネクタイをしている。 薄紫の長めのスカートから、皮の編み上げブーツが見えている。 その容貌に、眠そうなタレた細目。生意気としか言い様の無い、男か女かもつかないその姿は… 「…『借言虚言』の虹夜。やっぱりアンタだったの。」 「ハッハッハ!…その通り。しかしその二つ名は好きく無いのだがね?…まぁ座りたまえ。」 ルクィは勧められるまま、椅子に座る。紅茶には手をつけようとしない。 その様子を見て、虹夜と呼ばれた相手は静かに顔をにやけさせた。 「なんだね。折角『無情の鎖縛』が淹れてくれた紅茶なんだ、飲まん方が失礼じゃないか?」 「あのね。あたしは紅茶を飲みに〜、なんて呑気な用で此処に来たわけじゃないのよ。分かってるんでしょ。」 ハァ…と、虹夜はあからさまに失望した風に項垂れ、そして直ぐに顔を上げて答える。 「…キミは単刀直入が好きなのだったね。其処は昔と相変わらずか?…あぁ、分かったハッキリ言おう。」 ルクィが答えようとせずに睨んでいるのを見て、虹夜は雑談を止めにした。 そしてすぐに『本題』に入る。 「キミをあの『島』にやったのは確かに私だ。『追憶の楔』が転移し切れなかったのは仕様だがね。」 「そんな事は分かりきってんの。此処に来た時点でそれは確定している事でしょ、そうじゃなくて…」 そう切り返され、虹夜は少し眉根を寄せる。 しかしすぐに気が付いたらしく、今度は呆れた様に椅子にもたれる。 「なぁぅ、その意図か?聞いて、それでキミはどうするね。私と戦うのか?それともただ責めたいだけなのかね。」 「んな事する気は無いわ。返答次第じゃ、可能性はあるけど。」 「ただの興味本位、か。まぁ良いだろう。………ただの趣味だ。」 大真面目な顔でそう答える虹夜。 それを全く驚いた顔で見返すコトしか出来ないルクィ。 「どしたね、ハトが豆鉄砲くらった様な顔して?…なんか間抜けで笑えるぞ。」 「………………そんな理由?ただ、それだけの為に?」 ようやく口を開けたルクィに、全く平然と虹夜は答える。 「だからそうだと言っておろうに。…第一ね、我々は自身の嗜好を満たす事と、生存意欲だけで生きてる様なもんなのだよ。それに理由を問うたってきょーび壱文にもなりゃせんって。」 自分のカップに残った紅茶を飲み干して、虹夜は続ける。 「んで、それだけか?なら、早々にお引取り願おうかね。そろそろ『狐賢』が来るんだよ。それと打ち合わせが数件…」 「…アンタ、自分が何したか分かってないらしいわね…?」 呑気に手帳を取り出してスケジュールの確認をしている虹夜に、ルクィは殺気とも取れる雰囲気を漲らせて声を掛ける。 「…ほぅ。『返答次第』に引っかかってしまったらしいですな?」 「興味本位で、とか言ったわよね?……あたしが、そー言う事で振り回されるのが大嫌いな人間だと知っててやったんでしょうねぇ!?」 ガタッ、と椅子を揺らして急に立ち上がる。 更に、ボォッ!と炎が噴出し、ルクィの手に焔牙が握られる。 「やぁーれやれ、好戦的なお嬢さんだ。…だがねぇ振り回された結果、だ。君は何も得をしなかったのかね?」 「なっ…。そ、それは…………」 相手の動揺を余所目に、虹夜はすぐ傍の小さい本棚の上に置いてあったパイプを取り、胸ポケットから煙草とマッチを取り出す。 火口に煙草を詰め、シュボッ、とマッチを擦って火を点ける。 その時間で相手の考えが纏まったと見て、虹夜はパイプを咥えたまま話を続ける。 「違うだろう?エリア嬢との出会いはあながち悪いもんではなかった筈だ。それに他の島の連中とて悪い輩ばかりではなかったであろ。」 フーッ、と吸った煙を吐く。 ゆっくりと昇っていきながら消えて行く煙を目で追いつつ、更に続ける。 「君は振り回されるのが嫌いだ。そんな事は分かっている。…だがね。キミはそれでも得られたモノが多ければ、結果的に悪い方向へ行かなければ…さほど気にしない性格だとも、やはり分かっているのだよ。」 「〜〜〜〜っ。…全く、何でそう小憎たらしい癖に戦意を削るのは上手いのかなぁ、もぅっ!」 ルクィは半ば疲れた様な呆れた様な声を出して、ドサッと腰を下ろす。 虹夜はそれを見て、我勝ったり、と言わんばかりににやけて更に煙を吐く。 「ハッハッハ!…なぁに、操り手ってのは大抵自己中なもんさ。それに道化、だな。」 「良く言うわ。自分で創ったもんなんか無いくせに。」 「そうさ、その通りだ。現にキミだって『虎教え』からの受け売りで、私が創ったんじゃない。だが…」 ポフッ、と火口が小爆発して煙草が一気に燃え尽きる。 その名残の塵が落ちるのを全く意に介さず、虹夜は肺に残った煙を全部吐き出して、ついでの様に続ける。 「…キミは消えるより完全な顕現を望んだ。その結果なのだから、君がとやかく言う権利は無いのさね。」 「フン。…ま良いわ、当初の目的は果たしたんだし、あたしは帰る。」 言って、ルクィは目の前にあったカップの紅茶を一気にあおり、カップを置く。 そしてすくっと立ち上がり、目の前に居る虹夜を見る。 「そうかね?…私はてっきり別の本題があるんだと思っていたのだが…気の所為だった様だね。」 「…何、あたしが急に此処を思い出した理由でも訊きに来ると思ったの?」 パイプを元あった場所に置き、服に積もった煙草の塵を叩き落としながら虹夜は言う。姿勢を変えずルクィは答える。 「なんだ、訊く気が無いだけかね。『星導流香』ではなく此処に来た事にも、違和感は無いと?」 「残念ながら、あたしは対象が居そうな場所じゃなくて対象そのものに照準してたからね。別に『星導流香』に行こうが『龍子亭』に行き着こうが、知った事じゃないわ。」 「嗚呼、そう言えば此処は…私ではない真の『三十重の運命奏者』の作だったな。君が知っていても不思議は無い、か。成る程、ナルホド。」 虹夜は近くの本棚を押す。すると本棚が忍者屋敷の仕掛けの様に回転し、90度回転した所でぴたっと止まる。 その奥には、ぼんやりとした灯りに照らされて、テーブルと椅子が数十組置かれたカウンター付きの喫茶店風の部屋があった。 椅子は全てテーブルの上にあげられ、カウンターにも店主らしき姿は無い。 カウンターの奥の棚には、ズラッと赤ワインだけが並んでいた。 「喫茶『龍子亭』…今や知る者も殆んど居ないし忘れられているだろうがね。店主は神無月琴音。当事はプレイヤーとキャラの世界の狭間にある喫茶として有名だったのだが…まぁ店主が居なくなっては店も意味を持たない。珠璃嬢と多脚戦車フィルシュグレントの二人組や、木刀剣士のカシス嬢が来ていた時期もあったと聞くが…彼女等も既に島を後にしてて今更誰も寄り付かん。惜しい事さね。」 「昔話を聞きに来たんじゃないわ。それに、PLの存在をキャラが思い出すのは大抵必要とされなくなった時よ。前も、そして今度も…そうなんでしょ。だから、訊く意味なんて無い。」 虹夜は再び本棚を回転させて閉める。 そして何時もは淀んだ光しか入っていない目に、鋭い感情を潜ませてルクィに振り向く。 「キミは…『虎教え』を自分を棄てた人間だとでも考えているのかね。」 「…どういうことよ。」 「彼の御仁が、君を消したくない一心で私に託したと言う意味が分からないのかと訊いているのだ!」 「なっ…。」 全くらしからぬ気迫で叫ぶ虹夜に、ルクィは気圧された形で一歩、後ずさる。 「キャラであろうとプレイヤーであろうと、その者の価値に大差は無い。共に在れば楽しい。無論意見を違う者も居るだろうが。…だが、誰一人として『必要無くなった』なんて理由で棄て去られて良い等と言う道理がまかり通るはずが無かろう!」 「…でも、現にそうじゃない。アンタだって…」 「…フン。残念だよ、君にそう思われる事が。」 そう言って、虹夜は部屋にある唯一の扉を開けた。 扉の先には、大きな建物がある。その建物の札には… 「…『月迷風華』…って、アンタこれ…」 「また君は私を忘れるだろう…彼の御仁と同じ様に。だが、その前に一度は寄って行きたまえ。故郷に帰り、再び生を受けられる数少ないキャラとしてのキミが、周囲に忘れられない為に。」 急に、ルクィの視界から虹夜と部屋その物が遠ざかる。 次の瞬間には扉のすぐ近くに。その次の瞬間には扉の外へと出ていた。 「ちょっ、それどう言う意味なのよっ!ねぇ……―――ッ!!」 遠ざかる相手に、懸命に声を掛けたが…答えは無かった。 気が付けば、先程戸の向こうに見えた建物の目の前に立っていた。 無論背後に扉なんか無い。 「…全く。『忘れられない為に』、なんて言われても解るもんか。本当、嫌な奴。」 『…しかし、主よ。』 『そうね…ルクィちゃん?』 今まで黙っていたルクィの相棒は、此処に来て声をかけた。 もう解っている筈の事に、目を背ける事は無いと。そう思った事が、言わずとも伝わると分かって。 「…ふぅ。んじゃ、行きましょうか。皆に挨拶して、それから帰りましょ。予定はちょっと、ずれるけど。」 相棒に答え、ルクィはゆっくりと、しかししっかりとした足取りで、建物に入っていった…。 ―――――この後、ルクィは故郷のイリスフィール大陸へと帰る。 多く残る戦争の傷痕を癒して回る事業に参加し、大陸中を回ったと言われているが、その後の足取りを知る者は居ない。 噂では、何処かで小さな店を開いていると言われているが、詳細は確かではない…。 THE END
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最後に、島内トーナメントおよびキャラクターランキングを実施します。 それらの詳細は 島内トーナメントは こちら キャラクターランキングは こちら を参照してください。
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