マーシャルさんの一週間

「今回の攻略拠点は「常闇の祭祀殿-懺悔者の道」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「よくいらっしゃいました。お菓子が欲しいのですね？」

「オカシオカシー」

「ほほほ。最高級の材料を使って作りました。自信作ですわ」

「……って、自分では食べられないのでしたね。うーん、まあそれはそれで」

「愛用している技能なので是非とも効果が知りたいんです。」

「代理継続か？　OK。任せてくれ」

「そろそろ結果が出たようであると様子を見に来たが……ふむ、調べ疲れて寝てしまったようであるな」

「いいだろう。聞いているかどうか知らんが、情報をまとめてやろうではないか」

「クラッシャーゲインとは！」

「分類はアビリティであるな」

「HPの上昇係数に定数×熟練度加えるアビリティである。戦士としての道を優先する工匠系にはおすすめのアビリティであるな。HPの上昇は全員共通で、依代ごとの上昇係数によって打たれ強さが変わってくるわけだが、このアビリティによってHPを底上げすることができるぞ。なお、装備して高まるのは最大HPのため、休憩などせねば疲労したままである。装備を外すと現在HPが下がってしまうことにも注意が必要だ。」

「また、『ファンタズム』『ハイファンタズム』という、物理攻撃が効きにくい敵に対して一定確率で致命的なダメージを与え、近接攻撃の亜種である破壊スキルの威力を定数×熟練度％高めることもできる。スキルをひらめく際の前提条件になっているので、スキルを極めたい者は外してはいけないぞ。」

「破壊スキルは近接攻撃専用であるが武器を選ばん。どれでもひらめく事が可能だぞ。」

「ふだん、鍛冶をやっているような奴らが、そのノウハウを駆使して相手を砕き潰してしまう強力なスキルばかりで、スキル自体に相手の防御力を減退させる効果がある。破壊は創造の裏返しと言うべきか」

「……ということだ。これからもしっかり励めよ」

「今日もムウに魔石を食べさせる仕事が始まりますわ……」

「……」

「あら、今日は大人しいですわね」

「まーしゃるさん」

「なに？」

「まーしゃるさんは前に、シアワセにしたら、マセキがいっぱいたべられるって、いったよね？」

「そ、そうですわよ」

「シアワセって、どんなことむー？」

「うっ、哲学的な疑問……!?」

「ボクのシアワセはマセキをおなかいっぱいたべることだむー。でも、まーしゃるさんたちはマセキ、たべないむー」

「まーしゃるさんたちみてたら、ゴハンたべずにてもとにおいておくのがうれしいようにみえるむー」

「うれしいことがシアワセ？　じゃあ、ボクはゴハンをたべずにいればまーしゃるさんはシアワセ？」

「がんばってゴハンがまんするむー。そしたら、おなかいっぱい？」

「あれ、でもおかしいむー。シアワセになってもらっても、ボク、ずっとペコペコだむー」

「おなかいっぱいになりたいならペコペコ、ペコペコならペコペコむー」

「ペコペコ……」

「ペコペコ……」

「はわァッ!?」

「ペコペコ……」

「ちょっ、いいから、魔石たべてもいいからっ！」

「ガマン……ガマン……」

「ペコペコ……ペコペコ……」

「たすけてぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「ペコペコ……」

「ペコ……」

「……」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「アナタは確か、私の護衛に志願してくれているようね」

「今回は必要ないわ。次の機会に頼むわね」

「やる気は十分のようね。頑張りなさい」