ハーピィの一週間

「今回の攻略拠点は「常闇の祭祀殿-懺悔者の道」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「何か用かしら」

「魔石が欲しいの？」

「簡単よ。アナタを構成しているものから幻素を分離すれば、魔石が手に入るわ。じっとしていなさ……」

「……」

「……」

「お嬢様。魔石の配りすぎはいけません」

「いいじゃないそれぐらい」

「だめです」

「……しょうがないわね。また来なさい」

「そろそろ結果が出たようであると様子を見に来たが……ふむ、調べ疲れて寝てしまったようであるな」

「いいだろう。聞いているかどうか知らんが、情報をまとめてやろうではないか」

「スターダストウォールとは！」

「分類はアビリティであるな」

「常闇の祭祀殿に居る高位神官たちが使う範囲保護魔法だ。魔法としての分類は、星図魔法と幻創魔法の合成体といったところだな。」

「セットアップターンに起動し、パーティー全体に魔法に対する保護バリアを張るぞ。これにより、戦闘中の魔法ダメージを割合で軽減させるのだ。また、敵ファンタズムの特殊能力を弱体化させる効果もある。効果それぞれは僅かだが、自分を含め十人以上に均等に与えられるとき、その総合力はとてつもないものになる。」

「同じアビリティを使用した人間が複数存在した場合、重複は不可能なのだが、扱える者は少ないだろうから、重複は滅多に起らないであろう。」

「ただし、構築の負荷はかなり高く、ターンごとに100-定数×熟練度％の確率で行動不能になってしまう。行動不能になってもアビリティの効果が途切れることはないが、支援系が攻撃に参加できないのは大きな痛手だ。ほどほどに熟練度を高めておく必要があるぞ。ちなみにある程度持続力があるので、術者が戦闘不能になってもそのターン中は効果は持続するぞ。」

「この魔法はカレイディアの宮廷魔術師が得意とする『城』の技術を、一人の高位神官が対幻創(ファンタズム)魔法として組み直したものだ。王城の魔法の開示はなされていない。よって神官は見ただけでその奥義を盗み取り、別物に置き換えたわけである……この魔法のおかげで、祭祀殿と周りの抗争は激化する羽目になったのだ」

「……ということだ。これからもしっかり励めよ」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「やる気は十分のようね。頑張りなさい」