じゃくろの一週間

「そっかー。なんかツラいことがあったんだな……（しみじみと呟いた。誤解しているようだ）
俺が出来ることなんざ大して無いけど、よけりゃ相談には乗るぜ。
……あ、そういや。中身と身体、どっちの都合なんだ？」

「お、合ってたか！　オッケーオッケー。
……ん？　なに、くれるっての？
はは、ありがたいけどもらっちまうワケにゃいかねーよ。そしたら嬢ちゃんが困るだろ？」

「（うつぼかづらの中に手を突っ込んで何やらやっている相手の様子を暫く見詰め）
……何をしているのだ、何を
まさかその食虫植物の溶液で溶かして熱を得ようなどと考えておるまいな
（少女の手を掴んで引っ張り出そうと）」

「……まあその内に加工のし方を覚えれば装飾を扱う工房も開けよう
暫しは補具や装飾は何処の工房も人が殺到して申し込み難いであろうがのう…」

「王、次週辺り考慮にお入れになってもよろしいのでは？」

「（工房から顔を出した職人が口を出す事に王と呼ばれた男は苦虫を噛み潰したような顔になり）

……その内に。（明言は避けた）」

「・・・。（真似するように本を盾にして覗き込んでいる）

うつぼかずら・・。（美味しいのかなぁ・・。）」

「ふふ・・・こうしているとすっごく可愛いなぁ・・・。
なんだか・・・世間が言うところのお母さんになった気分・・・かな？
（そんな風につぶやきつつ、気持ち良さそうに目を細める様子に
ロザも表情が緩む。）

この調子なら、もっといろいろとお話できるようになれるわね・・・。
（そう言って、手元にある本を見て・・・次はコレにしようと決めたようだ）」

「・・・え！？　あ、あたし？！
（思いっきりパニックに陥った。　好きな食べ物は、のつもりで聞いたのに返ってきた答えがなんと自分だった・・・
思いっきり赤面して・・・とりあえず何度も深呼吸しながら）

え、えーと・・・あ、あたしは食べ物じゃないのよ？

・・・でも、自分を好きだって言ってくれたのは・・・とても嬉しいな。

（なんてことを言いながら頭の中で妄想する。
実は本当に食べたいのではないか・・・とか、どんな意味でうんぬんとか・・・
平静になるまで10分かかりそうな・・・そんなロザであった）」