アスタリスクの一週間

「今回の攻略拠点は「常闇の祭祀殿-涸れる涙の道」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「アナタ、『情報検索サービス』を利用していたようね」

「でもサチ司書はもう、あなたに会いに来ることはないわ。アナタの識っている彼女は、役目を終えてこの世から去ったの」

「サチ司書はずっと前に亡き人になっていて、身体はとうに滅んでいたわ。『彼女』によって学院ごと『封印』の一部にされることで、生きながらえていたのよ」

「だから私たちが『自制なき学院』を攻略し、『封印』を破壊したことで、学院と一緒に滅んだわ……だから彼処にはもう何も残っていない」

「……」

「でも彼女が管理していた魔法書架は別の空間に存在し続けているわ。だから、サチ司書が遺した力を借りることは不可能じゃないわね」

「『情報検索サービス』をパラダイムシフトさせているアナタなら、彼女が居た空間への扉が開くことができるはずよ」

「わざわざこの空間に足を運ぶとは酔狂な奴であるな……それほど、知識に飢えているか」

「まあよかろう。この書架には、貴様の知識欲を満たす助けになる物があるはずである。調べ物をすることを許してやろう」

「そろそろ結果が出たようであると様子を見に来たが……ふむ、調べ疲れて寝てしまったようであるな」

「いいだろう。聞いているかどうか知らんが、情報をまとめてやろうではないか」

「トレハ銀行とは！」

「分類はその他用語であるな」

「彼方から来訪する白い脅威から魔石を守るために考えた、商人トレハの案の一つである。魔石は危険な物質なので、増えすぎたらムウが食えばいいと考えているようだが、そうもいかないので苦労しているようだ。ちなみに設置の指示を出したのは取引メイらしい。」

「銀行という名を付けているが、金庫を持ち運んでいるわけではない.持ち運んでいるのは強力な封印術が施された聖書(魔法の台帳)だ。駄天使ムウの異次元能力を応用て作られたこの台帳は、預金者それぞれに割り当てられた頁に魔石を押し込むことで封印する。封印している間はこちらの世界とは隔離されているので、駄天使ムウがやってこないらしい。」

「この魔法の台帳は商人トレハの装備品で、ちょっと気を抜くと大変なことになるそうだから、扱いには気をつける必要があるようだ……詰め込みすぎると爆発して壊れるそうだぞ」

「……ということだ。これからもしっかり励めよ」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「やる気は十分のようね。頑張りなさい」