緋色の狐の一週間

「今回の攻略拠点は「常闇の祭祀殿-交信の門」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「アナタ、『情報検索サービス』を利用していたようね」

「でもサチ司書はもう、あなたに会いに来ることはないわ。アナタの識っている彼女は、役目を終えてこの世から去ったの」

「サチ司書はずっと前に亡き人になっていて、身体はとうに滅んでいたわ。『彼女』によって学院ごと『封印』の一部にされることで、生きながらえていたのよ」

「だから私たちが『自制なき学院』を攻略し、『封印』を破壊したことで、学院と一緒に滅んだわ……だから彼処にはもう何も残っていない」

「……」

「でも彼女が管理していた魔法書架は別の空間に存在し続けているわ。だから、サチ司書が遺した力を借りることは不可能じゃないわね」

「『情報検索サービス』をパラダイムシフトさせているアナタなら、彼女が居た空間への扉が開くことができるはずよ」

「わざわざこの空間に足を運ぶとは酔狂な奴であるな……それほど、知識に飢えているか」

「まあよかろう。この書架には、貴様の知識欲を満たす助けになる物があるはずである。調べ物をすることを許してやろう」

「妾の工房に発注したいとな？」

「よかろう、たんまりと魔石を積むがよい。妾が代理人になってやろうぞ」

「おでん屋台ぐんぐにるへ依頼するのじゃな……。詳細を聞こうか」

「支払いは赤460個、緑0個、藍0個、橙0個、紫0個、黄0個、青0個で、合計460個じゃな？」

「うむ。おでん屋台ぐんぐにるへサチ司書の魔法資料＋２を強化するよう手配してやろう」

「依頼は必ずしも請けられるとは限らん。殺到した場合は、魔石を多く支払った者が優先される。まあ、しばらくは待つがよい」

「手配結果が出たから伝えに来てやったぞ」

「安心するがよい、オヌシの依頼は無事に受領されたぞ。」

「それではサチ司書の魔法資料＋２を預かってやろう。なあに、攻略開始までには返してやるから、楽しみに待つのじゃ」

「強化の度合いが見たければ、おでん屋台ぐんぐにるに顔を出すと良かろう」

「おっと、なにかの事情で工匠の都合がつかないことがあるやもしれん。報酬は強化が無事終わった後に頂くぞ」

「おでん屋台ぐんぐにるへの依頼の品じゃ。確かに返したぞ」

「強化は無事に終了しておる。それでは報酬を受け取ろう」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」