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Intermission -3.1- ========== (カレイディアは古代遺跡の谷。『最強』を目指し遺跡内部のロストテクノロジーを発掘・研究する男、長月 宗一の前に、持田と名乗る男が現れる。ここではない異世界での思い出話もそこそこに、持田は長月へ手合わせを申し出る。その瞬間に長月が感じたのは、底知れぬ持田の力だった。) 砂塵吹く荒野。白衣の男と、同じく白い軍服のような服装の男は対峙していた。 「ここらでええやろ。さ、始めよか」 「ええ。いつでもどうぞ」 余裕を見せる制服の男――持田の構えは、実際隙だらけだった。しかし、白衣の男――長月は踏み出せない。彼の余裕の意味は、油断でも、また誘いでもない。ただ純然たる力の差がそこにはあった。 (……正面からぶつかるのは愚の骨頂、やな) 戦闘能力だけで言うならば、長月に勝ち目はまず無い。それは双方共に充分理解している。 (なれば、この優劣をひっくり返すのに……やる気の操作が必要か) 持田はその絶対的能力を持つが故に、常に本気で戦うというわけにはいかない。下手をすれば世界が一つ終わりかねない程の力が、彼の中には秘められている。つけ入るならばそこだ。こちらの戦力を誤解させ、必要最小限の力で抑えに来た所へ――カウンター。 (一合目で決めんとな。ボクかて、決して半端な力の持ち主やあらへんのや。長引けば少々厄介事になるかもあらへん) 持田が一歩、踏み出す。それに応じ、長月も右足を前へ持ち上げた。 (身体活性化、開始――36%――54%――) ゆっくりと、時間をかけて間合いを詰める。互いの様子を見るのは勿論のこと、持田はそれに合わせて自らのパワーバランスを調整、長月は『必死』の擬態を続けつつ、徐々に体内のナノマシンを戦闘態勢へ組み変える。 (――82%――94%――98%――) 距離は残り5m。素手とはいえ、彼らの超人的能力を加味すればいつ殴り合いが始まってもおかしくない。 (――102%――278%――674%――) 「それが貴方の限界ですか」 先手を打ったのは持田。フォームは歩くように、しかしそのスピードは一般的な人間の域を超えている。 (!――急速覚醒、存命リミット一杯――778650%ッッッ!!) 長月の作戦は見事に嵌まった。持田も予想だにしない反応速度で長月は放たれた彼の右拳を左の掌で受け、掴んだ手首をねじる。 「千切れてもうたら勘弁やで、持田クン」 ぐい、と左腕を引き込んで、残った右腕でのラッシュ――となるはずが、長月の腕は動かない。否、動けない。 「どうやら少し見くびっていたようですね。申し訳ありません」 長月と同様、持田も長月の右腕を左手で掴み、放さなかった。精一杯の強がりで笑顔を見せる長月に対し、持田は戦闘開始から顔色一つ変えない。 (……頭では分かっとったけど、実際に見たらやっぱり『んなアホな』やな。まだまだ開発途中とはいえ、最終的には対現神魔法まで視野に入れとる研究やで――人っ子一人で止められるヤワな力やあらへん) 油断させる、という発想がそもそもの間違い。隙を突いたところで、彼は一瞬にしてその隙間を埋めてくる。心理的揺らぎも微塵も感じさせないその佇まい。本当に人間か? と長月が疑うのも無理は無かった。 それと同時に確信する。持田――彼はやはり、神域の男。 「……どうやろか。ここは一つ水入り引き分けちゅうことで」 何とも虫の良い提案だ。このまま続ければ持田の勝利は確実なのだから、この誘いは何とも滑稽なものに傍目には見えるだろう。 「いいでしょう。こちらも今はまだ『予言者』勢と構えるつもりはありません」 その不躾ともいえる停戦を、持田はあっさりと呑んだ。長月の右腕を解放すると同時に、自らの右腕も軽く振りほどく。長月はぶらぶらと手足を動かしながら、徐々にクールダウンを行う。 「あんた、その力……カレイディアンでも無いなら、依代使いのエトランジェでもない。ただでさえ神域住まいで増幅された力が、この世界では余計に噴きだしとる」 さらに彼は『予言者』についても何らかの情報を持っている。結論は一つ。この男は、魂と肉体が剥離していないエトランジェだ。 「召喚士の呼び出しやなく、世界間の壁を無理くりこじ開けてここまで来たっちゅう感じやな。そんな荒業使うんは鮫島以来やで」 「……ふむ。私達以外に自由な次元間移動が可能な者が居ると?」 「んー、自由ではあるけども、自在とまではいかへんようやったな。それよりも、今問題なのはキミの存在やろ。一体どんな理由でこんなとこまで来た?」 大方見当はついていたが、可能であれば彼の口から長月は真実を聞きたかった。言う・言わないの二択でも、『神域』が今後長月やその関係者にどのような挙動で向かい合うのかをある程度限定できる。オラオラでの強硬手段か、痛み分けによる和解か。 「ええ。私達の目的は、室井 学の観察です」 「やろうな。でもキミ、知っとったか? あれは既に、こっちが目ぇかけてる人材やで」 その言葉に、持田は口をつぐむ。表情には変化が無いが、その無言の間はこれまでに無い時間続いている。 「……いえ。恥ずかしながら存じ上げませんでした」 当然、長月はその発言を疑った。しかしその思考は、持田の言葉によって遮られる。 「正直なところ、今回ここに来たのは寄り道でしかないんです。室井君と言いましたか――彼に対しても、特に何を期待しているというわけでもない。公園の鳩にパンくずをやる程度の意欲でして」 表情から真偽を読むことは既に放棄している。状況から見るなら、おそらく持田は……シロだ。 「まあ、あえてここで嘘吐く理由も無いか。キミらなら裏工作無しでも強引な奪取は可能やろし、何よりキミらの求めてるのは基本『爆才』タイプやしなあ。ああいう『空器』の扱いに関しては、ボクらの方が上や」 「ええ。その点に関しては認めざるを得ませんね。……いやいや、しかし、一応彼もアウターですから」 「アウター?」 聞きなれない言葉に、長月は首をかしげる。 「と、と。少々お喋りが過ぎましたか、私としたことが」 「アウター……か。わざわざそんな呼称付けとるっちゅうことは、只の世界渡りとは別物ということやな。ああ、別に答えんでもええで。後はこっちで勝手に推測させてもらうわ」 「好きですね、あなたも。さて、私はこれで失礼するとしましょう。久々の実戦、悪くなかったですよ」 その時、持田の口が少し緩んだように見えたのは、長月の見間違いだったのだろうか。 「はは。ボクも貴重な体験させてもろたし感謝せなな。おかげで最強への距離が、いくらか測れたわ」 「……一応、最後に忠告しておきましょう。人の身で神の高みへ上ること、それは決して許されることではない。それでもなお行くと言うのであれば、次は容赦しません」 「おお怖。まあ、とりあえず君らの前にまず潰しとかなあかんのが居るやろ」 長月の第一のターゲットは、召喚士。あるいは、彼女。 「どちらも大勢取り巻きが居るし、いきなりガチンコとはいかへんやろうけどな。暫くは室井君に付いて、召喚士側からこの戦争を見物させてもらうわ」 「奪取するのはこの世界の最強から、というわけですか」 「ああ。何とかナノマシンでもたせてきたこの身体も、そろそろガタがきておかしくない頃合いや。『Astral-Drive-Unit』――A‐D‐U。完成させるチャンスは今をおいて他に無い」 長月は、はるか遠くの召喚士勢へ目を向ける。本来なら畏怖すべきエトランジェも、彼にとっては格好の研究材料なのである。 「さて、ここから世界は一体どう回るやら。楽しみやなあ、持田君?」 背後に問いかける長月だったが、振り返ると既にそこから持田の姿は消えていた。 |
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今回の滞在 | ||||||
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