Infomation | ||
|
||
Diary | ||
Intermission -2.2- ========== 時を少し遡る。こちらの世界で言えば、精霊の杜を突破した直後ということになるだろうか。室井は自身の強さについて、段々と不足な部分が見え始めていた。そんな折にサリアからの手紙が、学が住居としている空家に届いたのだった。 『時の流れが変わった。今ならこちらへ帰ってきても大丈夫そう』 室井はその手紙を見て、こちらで過ごした半年以上の期間で自分が居た元の世界ではわずか一週間の時間しか流れていないことを知った。カレイディアは元居た世界と比べ、かなり早いペースで時が進むようだ。 「……チャンスがあるなら、この辺で一遍帰っておくか。次いつ帰れるかの保障もねえしな」 手紙を受け取ってから数時間後、時間と場所の指定通りに室井がそこへ向かうと、目の前に懐かしい少女の姿があった。 「お久しぶりです、サリアさん」 「私にとっては久しぶりでもないけどね。……いい顔になったわ、室井君。この時期の男の子は成長が早いわね」 彼女は口元を押さえてふふ、と控えめに笑う。 「じゃ、時間が無いから簡潔にね。手紙に書いた通り、カレイディアと貴方達の世界では時間の流れが違う。そして今、その速度が逆転したわ」 「逆転?」 「そう。今まではカレイディアの方が圧倒的に時間の流れが早かったのが、今度は貴方達の世界の方が早くなったの。つまり、今あなたが元の世界へ戻れば」 「……ああ! 召喚士が次の拠点攻略に出向く前に、十分な時間をとって訓練できるってことか」 時の流れが変わる理由とやらは、彼女が自分に話さなかった以上、自分が聞いても無駄ということなのだろう――そう室井は判断した。今重要視すべきは、時流が変わった事実そのもののみ。 「丁度狗神あたりに稽古つけてもらいたいと思ってたとこだ。渡りに船とはこのことだな」 「ただ、問題が一つあるのよね。……あなた、こちらの世界に来た時、自分の身体を無くしているでしょう」 彼に限らず、今こちらに居るエトランジェ達は皆自分の身体を失っているはずだった。一説には、自分の身体を取り戻したエトランジェはまさに一騎当千の強さを誇るらしいが、今までの戦いの中でそういう事実を聞いたことは彼はまだなかった。似たような事例――カモノハシの皇帝とやらがある英雄に助力した、という噂は聞いていたが、実際あのような力を恒常的に発揮できる者が一人でもいればこれからの戦闘はぐっと楽になるだろう。 「ああ。この依代のままじゃ駄目なんすか?」 「そういうこと。前にこちらの世界へ渡った矢田さんのことは覚えてるわね? 実は彼、こちらの依代を『持ち逃げ』したそうなの」 「持ち逃げ? そりゃまたどういう」 「……こちらの世界に来る前、矢田さんは既に息絶えていた。その時、運良く召喚士に喚ばれてこちらの世界で英雄として働き、その後依代を解放しないまま元の世界へ戻った」 サリアは、今はまだ異世界の存在を学達の世界に呼び込みたくは無いと室井に言った。室井が以前サリアに聞いた話では、今の室井の世界は非常に危うい均衡の上に成り立っているという。今回の矢田の行動も、彼女にとっては決して歓迎できるものではなかっただろう。 「というわけで。万が一の可能性を考慮して、あなたにもこのまま帰ってもらうわけにはいかないわけ」 「へいよ。っつか、今俺の身体ってどこにあるんだっけ……こう考えるとやばい状況ですねえ。俺も」 「へらへら笑いながら言っても説得力ないわよー。で、今回はとりあえずこっちであなたの希望の身体を用意するわ。どんなのがいい?」 召喚士のコンファインとは別物だが、彼女にもまた魂と肉体の繋がりを操る者とのコネがあった。今回は一時的にこちらの希望通りの身体を作り上げてくれるそうだ。 「そうっすねー。体型は貧乳スレンダーで髪型はポニテで凛々しい顔立ちのおにゃのことかが」 「わかったわ、その依代がいいのね。じゃあさっさとこちらへ来なさい」 「……あっれ。今の俺の小粋なボケをスルーどころか全力返球ですか」 「悪いけど今回はいろんな意味で時間が無いの。問答無用」 首根っこを引っ掴まれ、いつから在ったのかこちらの世界へ来る時と同様の黒い穴へ放り込まれる。無防備な室井はただ、その穴に落ちていくのみ。 ========== 冬の早朝、狗神家の門戸が叩かれた。丁度日課のランニングを終えた狗神が、家の前で寒そうに両手をこすっている少女を見つける。 「どちら様ですか?」 「おー、狗神! 俺俺、俺だよ!」 「……詐欺はお断りだ」 「違うって! ほら、この前一緒に六甲山行ったべ? 室井だよ、室井!」 その言葉を聞き、狗神は不可解な表情を浮かべる。確かに先週自分が室井を見送ったのを知っているのは、サリア・矢田を除けば室井本人のみ。しかし。 「久しぶり、という程期間は空いていないつもりだったが。……随分と変わるものだ、誰ぞに改造手術でも受けたのか」 「あー、そういうこともあるっちゃあったけど。てか、積もる話もあるしちょいと中入れてくれよ、こっちは寒くて寒くて」 狗神は黙って木製の門を押し開ける。彼は少女に見えるよう、黙って左手の親指を家の中へ向けた。少女はどことなく楽しそうにポニーテールを左右に揺らしながら、狗神の後へ続いて門をくぐる。 |
||
今回の滞在 | ||||||
|
||||||
Message(Personal) | ||||||
|
||||||
Message(Linkage) | ||
|
||
不要アイテム引き取り | ||||||||
|
||||||||
Market | ||
|
||
Ability Setting | ||
|
||
Item Setting | ||||||||
|
||||||||
Skill Setting | ||
|
||
アイテム工房 | ||||||||||
|
||||||||||
Schedule | ||
|
||
Lvup | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レベルアップしました(EXP-200)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Event | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
攻略の時間になりました!! | ||||||||||||
|
||||||||||||