ミルの一週間

「これで熱い抱擁の一つもあればもうちょっと気合も入るのに。…いや、全力で避けるけど。
武術剣術ねー。あれ？　もしかしてミルって結構肉体派なの？
ご覧の通り私はそんなんでも…ああ、でも騎士団だとやっぱそんな感じなのかしら。もう一人騎士団出身の知り合いがいるんだけど、彼もああ見えて肉体派なのよ。脱ぐと凄い系の。」

「え？　ああ、これ？
ま、まあそうなる…かな。いや、元々教える立場とか年齢とかだったわけじゃなくて、その、コスプレ？」

「生きるか死ぬか。そんな世界だったとしても、やっぱり帰りたいもんなのね。…いや、私も家には帰りたいんだけど。

まだ生きてるのに二階級特進させてくれたし、とっても部下思いで素敵な紳士よ。うん。」

「(くすっと笑いを漏らし)冗談ですよ。
あちら側では『お嬢様』とは縁遠い生活でしたねぇ……
部屋に篭って読書ばかりしていた感じではありますが。」

「……あ、ココの雰囲気に則ってちゃんと勉強とかしてたんですね……私、何もしてないや……
私も久しぶりに何か本でも読もうかなぁ。休養と訓練ばかりで此方に来てから全く何も読んでいませんでしたし。
本を借りる場所くらいは、ありますよね？多分。」

「出会い頭に魔法攻撃してくる学院の人間とか、実験動物扱いして捕まえに来る学院の人間とか、誰彼構わず自分の発見した理論や研究成果を見せびらかしに来る学院の人間とかさえ居なければ、以前の滞在場所に比べるとかなり快適にはなりましたね……

もう少し平穏ならば何も文句は無いのですが」

「うぅ……今となっては誰に唆されたのか判らない有様なのですが……
取り合えず、『スカート丈はもっと短いものである』と言われて流石に我慢できず猛反発したことだけは覚えていますね……
もう十分短いじゃないですか……

気が付いて見れば随分とたくさんの人が着替えているみたいですね。
衣装の争奪戦とかは起こらなかったんでしょうか……？」

「……呼ばれました。入札内容を伺います」

「……藍色で2個で入札します。」

「……精霊使いの鎧へ総魔石2個で受付ました……良い取引を」

「……藍色で2個で入札します。」

「……魔法使いの呪刻鎧へ総魔石2個で受付ました……良い取引を」

「……赤色で2個で入札します。」

「……魔法騎士の盾へ総魔石2個で受付ました……良い取引を」

「……残念ですが落札はできませんでした。開始0、入札2、終了10で地雷きゃら(E-No.232)が落札しました。出品者はヨーチン(E-No.502)でした」

「……残念ですが落札はできませんでした。開始0、入札3、終了100でさくら(E-No.74)が落札しました。出品者はラウル(E-No.274)でした」

「……残念ですが落札はできませんでした。開始1、入札3、終了90でリヴル(E-No.33)が落札しました。出品者はトト(E-No.467)でした」