アルサスの一週間

「今回の攻略拠点は「怪鳥平原-寄る辺なき霊樹」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「あら」

「そろそろ依代の限界が近いわね。これ以上はアナタの成長に耐えられないということよ。限界に達するとレベルアップできなくなるわ。その前にコンファインに来なさい」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「妾の工房に発注したいとな？」

「よかろう、たんまりと魔石を積むがよい。妾が代理人になってやろうぞ」

「無銘の夜炉へ依頼するのじゃな……。詳細を聞こうか」

「支払いは赤150個、緑100個、藍0個、橙0個、紫60個、黄0個、青0個で、合計310個じゃな？」

「うむ。無銘の夜炉へ楠木印の胸当てを強化するよう手配してやろう」

「依頼は必ずしも請けられるとは限らん。殺到した場合は、魔石を多く支払った者が優先される。まあ、しばらくは待つがよい」

「手配結果が出たから伝えに来てやったぞ」

「安心するがよい、オヌシの依頼は無事に受領されたぞ。」

「それでは楠木印の胸当てを預かってやろう。なあに、攻略開始までには返してやるから、楽しみに待つのじゃ」

「強化の度合いが見たければ、無銘の夜炉に顔を出すと良かろう」

「おっと、なにかの事情で工匠の都合がつかないことがあるやもしれん。報酬は強化が無事終わった後に頂くぞ」

「無銘の夜炉への依頼の品じゃ。確かに返したぞ」

「強化の件じゃが。すまぬ、工匠の方が不調のようでな。強化は出来なかった」

「たまにはこういう事もあるじゃろう。懲りずにまた依頼を頼むのじゃ」

「……」

「ガマン……ガマン……」

「……魔石拒食症になってしまったようです……」

「いえよく考えればこれはチャンス？　このまま餓死してしまえばおさらばできますわ！」

「ペコペコ……」

「なんとかしましょう！」

「さあお食べなさい」

「やだムー……」

「ルスクゾ・イケリィーダ！」

「むぐ!?」

「ふっ。駄天使殺しの禁断呪文ルスクゾ・イケリィーダ。黙って食らいやがればいいのですわ！」

「ムゴモゴ……」

「ムゴモゴムグムー……」

「もっと！」

「ムゴモゴ……」

「ムゴモゴムゴモグモグ……ゴックン」

「……」

「ウマーウマー」

「ほら、運を戻して下さいな」

「むー」

「ダイエットは無理のようですわね。ガマンさせるとよけいに個数がかさむようで……。やはり、研究を続けなければ行けないみたいですわ」

「あと少しで完成しそうなのですが……」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「アナタは確か、私の護衛に志願してくれているようね」

「今回は必要ないわ。次の機会に頼むわね」