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Diary | ||
闇夜を駆けた黒翼は、やがて眼下に魂の群れを見出した。 敗走する軍勢。その体に刻まれた傷は深い。 ”全滅したのか。行かんで良かったな……と、いた” 魂の鳥は上空を一回りした後高度を下げ、負傷者の只中に立つ少女の肩へと降下。 銀色――当人は灰色と呼ぶが――の髪が羽ばたきに揺れ、宙を踊った。 「あら。前の身体は飽きたのかしら?」 ”そういう訳ではないのだがな。まぁ子供の体に辟易していた所ではある” 「お嬢様」 頃合良く取引娘がカートを引いて現れた。 荷台には見覚えのある体が二つ。先刻迄入っていた少年と、始めに入っていた青年。 尤も、青年の方はやや様子が違っていた。 幾許か体格がよくなり、前髪が一房銀色に色付いている。 ”計った様に現れたな” 「随分変わり果てた姿になったご様子で。 ですがご安心ください。代えの体はこの通り。 しかもこんな事もあろうかと幸運血液で強化しておきました」 ”心なしか、嬉々としている様に見えるんだが。 お前、人を実験台か何かと思ってるの……だろうな。 しかも何だよ、幸運血液って” 「説明すると長くなりますが?」 ”……じゃぁいい。では頼んだ、主よ” やり取りを興味深げに眺めていたらしい銀色に、無表情が魔石を手渡す。 いや待て、数について指示した覚えがないって言うか、どれだけ使う気だ!? 「ふうん……魔石は全部で3150個使うのね」 ”ま……” 制止する間もなく魔石が昇華し、膨大な魔力となって横たわる体を包む。 同時に視界が暗転。 夜の闇よりなお深い闇へと、意識は落ちた。 |
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今回の滞在 | ||||||
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