Secret Sphere
<<Week6
-WEEK7-

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Smart Diary
亀
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『お母さんへ。お元気ですか? わたしはとっても元気です!
 お手紙と一緒に送ったお金、そのまま戻してくれるとは思っていなかったから今とてもびっくりしています。

 心配してくれてありがとう。お母さんの言う通りだと思います。
 でも、自分の分だって手元に残してあるので、わたしは大丈夫。
 このお金はやっぱりお母さんの手元で持っていてください。それがだめなら、村全体で何かに使ってください。
 村の子がみんなで読めるような本を買ったり、もしもの時のための薬代にしたり。わたしが戻るまでの間にケガをした人にお医者さんを呼ぶためだとか、もし魔物が出たら退治をお願いするための足しにしたり。
 村のみんなだって、お金が要ることはいっぱいあると思います。
 わたしのことは気にしないで。

 遺跡の探索はまだ始まったばかりだし、同級生の中には休みの日になると街で仕事をしている子もいます。
 もしまとまったお金が必要な時はそうやって自分で用意しようと思うし、もし村で急にお金が必要になったら、連絡をもらえればわたしも協力できると思います。
 村みたいに野原も広い空も搾りたてのミルクもないけれど、ここでは村よりずっとお金が手に入りやすいと思うから。


 でも、そんなことがないのが一番だなあと思います。
 どうか何もありませんように。体にお気をつけて。

 せっかく送ってくれたのに悪いので、あの手紙を送ってから今までの間に探索でもらったお金をもうちょっと足しておきました。
 何かの役に立ちますように」

 
 
 ペンの走るまま最後の句点を打ち終えれば、どっと肩から力が抜ける。思わずため息、しかもすっごく長いのが出てしまうくらい。
 紙に向き合った時間そのものは、先週に比べればぜんぜんううん。これまで全部を思い出しても、びっくりするくらい短かったのに。
 それだけじゃない。村からの手紙を受け取って読むまで、今すぐ返事を書かなきゃって思うまで、そして実際に手をつけるまで。
 何もかもがわたしにしてはびっくりするほど早かった。でもそれは、先週の胸の内にはとても収まり切らないようなわくわくとも、それより前にきっと連絡がないと心配するから手紙を書いていたのともぜんぜん違う。
 焦って、不安で、いま動かなきゃって頭がいっぱいになって、いてもたってもいられないせいだった。
 そうして今だって、その落ち着かなさは全然なくなってはくれていない。
 
 
 アルルコ・リャツカ様。今でもなんだか慣れない学園での名前が書かれた封筒は、前のものよりもなんだか厚くてごわごわしていた。手に取っただけでなんとなく違いがわかるくらいに。
 わたしがやっぱり心配でずいぶん書くことが増えてしまったか、それともそんなにたくさん書いてでも伝えたい何かが村で起きたのか、そのつながりで、もしかしたらやっぱり帰って来なさいって話になったのか
 寮のロビーで受け取った瞬間もうそんな想像が膨らんでしまって、部屋に戻るなりベッドの周りのカーテンを閉めて、その中で急いで手紙の封を切った。
 どうしたのって部屋の子が聞いてくるのもほとんど耳に入らないまま、薄暗い灯の下で封筒へ指を突っ込む。探り当てたのは大小何枚かに分かれた中身。それを一枚ずつ取るのさえもどかしくて、封筒のお尻を持って一気にひっくり返す。
 シーツの上にまず飛び出したのは折りたたまれた手紙。思っていたよりずっと薄いそれのそばをひらひら舞ったのがお札だって気づいたのは、白い敷布に落ちたそれをまじまじ見てからで。
 そのお金も、今は新しく送る封筒の中にある。わたしが足した分と一緒に。


『お手紙、それにお金をありがとう。あなたがお金を送ってくれるなんて思わなくて、お母さんはとても驚きました。
 でも、お母さんのことは気にしなくても大丈夫です。このお金はアルルコが、自分で持っておきなさい。
 お母さんは今だってあなたが魔物と戦っているなんてことがまだ信じられないし、いつ大怪我をしてしまうかと思うと夜も眠れません。
 それを防げるのなら、お金はいくらだってそのために使いなさい。
 
 それに村の外の暮らしに不慣れなうちは、色々な行き違いや失敗をしたり、何かが急に必要になることもあるでしょう。
 そういう時のために、お金はあるに越したことはありません。
 お母さんがアルルコを助けてあげられない代わりに、このお金に頼りなさい』



 お母さんが本当にわたしのことを心配でそう言ってくれているのはわかっていた。
 でも今のわたしには、それを読んでどうしてもひっかかってしまうことがある。
 わたしは何か変なことを、それかとんでもない失敗をしでかしてしまうだろうって、お母さんはやっぱりわかってるんだな、って。
 
 
 机に座ったまま視線を左の壁際に向ければ、そこにあるのはわたしの分のクローゼット。
 見えなくたって、その閉められた扉の中にかけられた服をはっきり思い描くことができた。
 キャラメル色のしっかりした生地。ちょっと広めの襟ぐりから肩を過ぎるまで伸びる細やかな白いレース。肘から先にかけてゆったり膨らんだ袖のシルエット。その先の袖口から覗く白い差し色。胸の下あたりでちょっと絞られた胴のくびれ、そこから伸びて膝にちょうどかかるくらいの、かわいいけれどいやらしく見えない絶妙な丈のプリーツスカート。
 大好きなところをいくつだって挙げられるシンプルで上品なワンピースは、先週髪を切った帰りに買ったものだった。
 きれいに結んでもらった髪の毛が嬉しければ嬉しいほど、その下にあるいつもの服がなんだか急に不釣り合いに見えてしまう。
 そんな時に思い出したのは、床屋さんに辿り着くまでに回ったいくつもの仕立て屋さんのうちの一つ。そこにあったショーウインドウの中のマネキンが着ていた、この服だった。
 
 
 初めて買うできあいの服はわたしの身体にはちょっと大きかったけれど、店主のおじさんはまずわたしに年を聞いて、13歳って答えを聞くとそうかそうかと笑ってくれた。
 その年頃ならぴったりの服を買ってもじきに合わなくなるものだしねえ。子供っていうのはすぐ大きくなるから。
 そんな言葉もやっぱり売り文句なのかもしれなかったけれど、その時のわたしはそう言ってもらえただけで舞い上がってしまうくらいうれしかった。
 今着てる服もそれに合わない髪のこともまだ小さな背のことも笑わずに、わたしにこの服なんて不釣り合いだって顔ひとつせずに、きっとこの服が似合うような大人になれるよって言ってくれるだけで。
 服を着せてもらったままお店の大きな姿見の前で何度もくるくる回って、お金を払ってもこの服をこれからいつでも好きな時に着ていいんだってことがまだ信じられないような気持ちだった。ようやくそれを呑み込めたのは寮に戻って、同室の子たちに格好のことを聞かれてから。
 口では街であったことを説明しながら、わたしの頭にあったのは鏡の中にいたどこかのお嬢様みたいなわたしと、いつものみんなが向き合って喋っていることの不思議さばかりだった。でも周りは間違いなくわたしがいつも寝て起きて復習して手紙を書いている寮の部屋だったし、もちろんみんなだっていつも通り。
 それでやっと納得できた。これは覚めたりする夢ではないし、もちろん誰かの魔法や薬で見たような不思議な夢でもないって。
 それでもまだふわふわした夢見心地の気分は終わらなかった。脱いだ服を大事に大事にクローゼットへしまって、なかなか寝付けないなんて思いながら、それでも次の朝日に起こされるまで。
 学園では魔法のことから薬学に魔道具学、それに戦いまでいろいろな実習があって、きれいな服を着ていてもすぐに汚れてしまう。
 だからまた袖を通すのは次の週末にしようって、そう決めたはずだった。
 
 
 けれどあんなに心が躍ったのが嘘みたいに、今はこのクローゼットを開くのがこわい。
 それはあの時のわたしを、夢の覚めたあとの目で見ることだから。
 村にぜんぜんお金がないことも、一度はお金を送ったことも、今持っているお金だって村に送れたことも、少ないお金を村中から出してもらって学園へ来ていたことも、なにもかも忘れて目の前のことに浮かれていたわたしを。
 
 例えば道に迷って時間に間に合わないような時でも、お金があれば周遊乗り合いの馬車か何かに乗れるかもしれない。
 例えば教科書にインク壺を丸ごとひっくり返してしまった時でも、お金があればもう一冊買うことができる。
 例えばどうしても授業についていけなくて誰かに教えてもらう時でも、お金があれば一緒に食べる差し入れや、教えてもらうお礼を用意できる。
 でも、こんな時は?
 あげられるはずだった、あげなきゃいけなかったはずのお金を、ぜんぜん自分勝手なことに使ってしまっていた時は。

 そんなに簡単に済むことじゃないのはもちろんわかっている。痛いくらいに。でも、だからといってできることはあまりにも限られていた。
 第一もう、先週の手紙には書いてしまった。髪の話と一緒に、きれいな服を買いましたって。
 だから今書いている手紙とお金が届く頃には、とっくに何もかもお母さんにわかっている。
 そしてこれが届けば、やっぱりきっとわかるだろう。わたしがお金を受け取らなかった意味も、加えたお金のことも。
 
 受け取った時に訝しむような封筒にさらに中身を増やすんだから、当然今度の手紙はもっと厚くなる。
 郵便屋のおじさんもきっとずいぶん不思議そうな顔で配達するだろうし、お母さんはやっぱり心配そうな顔をして、開けるまでにいろんなことを考えるんだろう。今週の手紙を受け取ったわたしと同じように。
 その姿が思い浮かんでも、やっぱりわたしにはこれしか思いつかない。
 
 もうずっと、心の中では謝りっぱなしだ。
 もっと誰の負担にもならない方法を思いつけなくて。
 あの服を捨てたり、また売ったりする覚悟ができなくて。
 そして何より、送れるはずのお金を使ってしまってごめんなさいって。
 結局そのすべてを、わたしは手紙に書くことができなかった。言えば言うだけ、また謝ることが増えていくような気がして。
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パーティメッセージ
ワカメ
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メッセージはありません。
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メッセージ
ワカメ
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メッセージはありません。
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青い鳥メッセージ
ワカメ
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メッセージはありません。
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参加コミュニティ
ワカメ
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参加コミュニティはありません。
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アイテム
ワカメ
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アルルコはアイテムNo.4 たっぷりキャロットのケーキ を食べた。
アルルコはMHPが増加した。
アルルコはMSPが増加した。
アルルコはMSPが増加した。
アルルコは運命力が増加した。
アルルコは運命力が増加した。
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魔法学園の声
ワカメ
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Icon
ソージロー先生
「……おお、里見殿。 お互い精がでますな」

Icon
睦月先生
「ああ、カザミ先生。 お疲れ様です」

Icon
ソージロー先生
「どうですかな、仕事終わりに今宵一献」

Icon
睦月先生
「ふむ……少しならば、お付き合いしよう
 最近帰りが遅い、とドヤされてしまってな……」

Icon
ソージロー先生
「ははは、家庭を築いておられますからな。
 しかし羨ましく思ってしまいますぞ」

Icon
睦月先生
「いや、失礼。
 ……ではいつもの店で良いだろうか」

Icon
ソージロー先生
「うむ、かたじけない。
 異国の地にて、共に酒を交わし、語り合うことが
 出来る者がいるというのは、幸せなことであるな」

Icon
睦月先生
「そう……だな
 生徒たちもそうであると良い」

Icon
ソージロー先生
「うむ、誠に……
 願わくば……皆、無事であるように……」

Icon
睦月先生
「…………ああ」
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通常戦闘
ワカメ
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魔法学園の生徒遺跡の魔物たち
PNo.717 アルルコ・リャツカVS這い寄る骨
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探索
ワカメ
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探索中. . .
アルルコはSCを260、TPを16手に入れた。
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《要素武術》
ワカメ
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Icon
ラングリース先生
「よし、要素武術の授業の時間だよ。
 さぁ準備は良いかな?」

Icon
ラングリース先生
「前回は細かな動きを習得するために、
 生活に要素武術を取り入れるという話だったね
 日々の生活や探索にも役に立つと思うから、
 技術を磨くという意味でも積極的に使っていくといいよ」

Icon
ラングリース先生
「ああ、でもまぁ……マスク先生にも注意を受けたんだけど、
 日用品で要素武術を取り入れると、ちょっとした事故になりかねないから
 取り扱いには注意するんだよ?」

Icon
ラングリース先生
「等しく愛おしい生徒たちが、間違って事故、
 怪我をしてしまうと悲しいからね……」

Icon
ラングリース先生
「ということで今日はしっかりと要素武術の勉強を進めていこう。
 正しい知識は、事故を未然に防いでくれるからね」

Icon
ラングリース先生
「ま、習うより慣れろとも言うからね。
 知識を得たら、次は技術を磨いていくといい」

Icon
ラングリース先生
「そう……努力を重ねて磨かれ開花した技術は、
 どんな花や宝石よりも美しく輝く事だろう……」

Icon
ラングリース先生
「その瞬間を、私は見てみたいのだよ
 そのため、だけではないが――共に頑張っていこう」

















Icon
ラングリース先生
「……よし、時間だね。
 しっかり学べたかな?」

Icon
ラングリース先生
「力を磨くというのは大変な道のりかもしれないが……
 だが必ずゴールが待っているはずだよ」

Icon
ラングリース先生
「まぁソージロー先生なら、現状に満足することなくさらに研鑽を積め、
 というかもしれないがね」

Icon
ラングリース先生
「ゴールというのは人それぞれだから、気にすることは無いよ
 私はその手伝いが出来れば上々だ」

Icon
ラングリース先生
「それじゃ、次の授業でも会えることを楽しみにしているよ」

《要素武術》の授業を1回選択!
アルルコはMHPが38増加した。
アルルコはMHPが39増加した。
アルルコはMSPが15増加した。
アルルコはMSPが16増加した。
アルルコは防御力が13増加した。

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亀
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アルルコはラピッドストリームを購入した。(SC-100)

アルルコはチャージを購入した。(SC-100)

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PNo.257 エステル・ノーデルナ
からスペルガードを伝授してもらった!(SC-75)

PNo.514 アイダス・ミラビリア
からスペルヘビー:Lを伝授してもらった!(SC-75)

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スペルNo.9 ウェイブ をショップNo.2003 風付与 で調律!(TP-1)(SC-100)
スペルNo.9 ウェイブ の属性が 風 に変化!

アルルコはアイテムNo.3 ラピッドストリームを私有化!

スペルNo.13 ラピッドストリーム をショップNo.2005 光付与 で調律!(TP-1)(SC-100)
スペルNo.13 ラピッドストリーム の属性が 光 に変化!

スペルNo.13 ラピッドストリーム をショップNo.2015 火傷付与 で調律!(TP-1)(SC-100)

スペルNo.-30 ラピッドストリーム のSP消費量が 5 減少!
射程が 1 減少!(TP-1)

スペルNo.13 ラピッドストリーム をショップNo.2010 攻撃連鎖化 で調律!(TP-1)(SC-100)

新スペル開発!
ラピッドストリーム は新スペルとして承認された!
スペル名:ラピッドストリームA

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武器 歴戦の柄杓 を 命中力強化!
歴戦の柄杓 の 命中力 が 7 上がった!(TP-1)

防具 制服似のありあわせ服 を 防御力強化!
制服似のありあわせ服 の 防御力 が 7 上がった!(TP-1)

装飾 お隣のおばさん手作りのお守り を MHP強化!
お隣のおばさん手作りのお守り の MHP が 112 上がった!(TP-1)

魔法武器 歴戦の柄杓 の 命中力 が 10 上がった!(TP-1)
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目的の決定
ワカメ
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次回予告
ワカメ
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魔法学園の生徒遺跡の魔物たち
PNo.717 アルルコ・リャツカVS歩行コウモリ
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レイド予告
ワカメ
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ズ……ズズズ…………ドドドドドッ!



パリーン パリーン

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ベティ
あああああ!! 商品が!!!
 お金ちゃんの素がぁあ!!!
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ベティ
ちょっと何なんですかこの巨大な揺れはぁあーー!!?
 聞いてませんよー!!?
 地上ってこんな恐ろしいところだったんですか!!?」

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ジル先生
「ここ最近の揺れがさらに強くなったな……」

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ミラージュ先生
「ちょっと、これはシャレにならない大きさと被害ね……
 ……購買はそもそも物を置きすぎなんだと思うけれど。

 それでもさすがのわたくしも肝を冷やしたわ」

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ジル先生
「……大方、スペリオルに動きがあったという事だろう
 次に地鳴りがしたら何か起きそうだな……」

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ミラージュ先生
「やァだ、冗談……
 とも言えないわよねぇ……
 これだけ頻発してて、その都度大きくなってるんですもの」

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ベティ
「こここ、これ以上お金……じゃなかった、
 商品が壊れるのは勘弁ですよ!!?
 あああもう、固定しなきゃ……」

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ジル先生
「無駄だと思うがな。
 この学園に強大な何かが本腰入れてやってくると仮定すると、
 学園自体が戦場になりかねんぞ」

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ベティ
「困りますよぉー!! 安全かつ必ず需要のあるこの購買で、
 ヌクヌクと着実に売り上げを伸ばす予定なんですよぉー!!?」

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ベティ
「あ、でも……戦場は戦場で必要な物が売れますね……?」

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ミラージュ先生
「……商魂たくましいわねぇ」






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学園長
「残り、1週間といったところか……全教師に伝達を――」

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学園長
「打てる手は打っておいたが……最終確認も必要だな……
 フフ……」

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学園長
「ああ、来るなら来ると良い。
 我々魔法学園は、グラディアスは簡単に屈することは無い」

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学園長
「なぁ、そうだろう?」



――スペリオルによる侵攻に、大きな動きがあった。

どうやら【次回】レイドイベントの予告が発生するようだ。
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