ハルバードを受け取ったエクスはひどく憔悴していた。ただ素直な、寂しくて悲しい気持ちだけが取り残された。どうして失いたくない気持ちを維持できないのだろう。自分の感情はすべて自分のこころを通過して行くばかりで、網にはなにも掛からない。何もとどまらない。一方通行に流れて行くのみだ。噴水の用水路をたどりながら足下の小石を蹴った。石は芝生に埋もれるみたいな音を立てて一回にはねた後、噴水の石畳の上を転がった。水浴びをしている鳥が驚いて逃げていく。その一連を見ていたエクスは驚愕していた。

なんとその中には、あのオウムがいたのであった。ほっそりとした脚には返信用の書簡が括り付けてある。間違いない。返事だ。ようやく返事が来たのだ。エクスは我を忘れて犬のように駆け出した。しばらくしないうちに、荷物袋が庭園の植物に引っかかり中身をぶちまけたところでようやく足を止めた。

散らばったものから笛を取り上げ、貧相な振動音を鳴らした。件のオウムは何事もなかったように優雅に大旋回をして、男の目の前に降り立つやいなや、また宛先についてたどたどしく話し始めた。なんなんだ。気がつくとエクスは笑いをこらえずにはいられなかった。ばかばかしい。こんなばかばかしいおれが生きているんだ、やつらも生きているに決まっている。きっとそうだ、どうして今まで気付かなかったのだろう。やつらは俺なんかよりずっとずる賢いし、機転も利くではないか。書簡を回す手は確信に満ちていた。

150528

男は空をさまようあなたの手を取って、落とさないように風にさらわれないようにしっかりとそれを手渡した。あなたが受け取ったのは、若木の枝を思わせる、柔らかな亜麻色をした封筒だ。消印がないが、宛先にははっきりとあなたの名前が記されている。

夕暮れの王城から花火があがる。エクスは庭石に腰掛け、肌寒くなるまでずっとそれを見ていた。

リイスティオスがエクスの闘志に応えた！！