雑穀めがけ散り散りに飛び立っていった様子を、フリードリヒ少年は耳を押さえて見ていた。彼らの羽ばたきはとてもうるさかったが、同行者の友達はそれほど遠くにいるのだろうなとぼんやりと思うとそうしたことをちょっとだけ後悔して、やがて旅の無事を祈り、いつも通り気負いなく唄って踊った。

エクスは真っ直ぐその方向を見たまま、ああとだけ言った。無口なエクスが自分のことを語ることは少なく、その様は野晒しにされた抜き身の剣のように静かな様であったが、同時に元に戻る鞘のようなものがあるのだろうということを確信をもって想像させた。
羽ばたきは、遠くから聞くと鐘の余韻のようで、近くにいたときの力強さは失われて虚しさと寂しさしか残らなかった。激しい喧騒の中にいればいるほど、それから遠ざかると寂しくなるものだな――フリードリヒ少年は気付く。エクスといた期間は静かそのものでほんの一週間と少しほどであったが、故郷の喧騒を失い、永遠に躍り続ける宿命を負った自分の心を誰よりも慰め癒したと。それは誰でもよかったのかもしれないが、誰かは確実にエクスその人であったのだと。

程なくして彼らは最後の戦いを終えたのちに終戦の知らせを聞くことになるが、旅は続いたのかは、杳として知れない。



thanks for Symalis Project and all player.

男は空をさまようあなたの手を取って、落とさないように風にさらわれないようにしっかりとそれを手渡した。あなたが受け取ったのは、若木の枝を思わせる、柔らかな亜麻色をした封筒だ。消印がないが、宛先にははっきりとあなたの名前が記されている。

夕暮れの王城から花火があがる。エクスは庭石に腰掛け、肌寒くなるまでずっとそれを見ていた。

リイスティオスがエクスの闘志に応えた！！