【畑羅木　卓内（はたらき　たくない）】


　ニートなチェリボーイ。28歳……と本人は思っていたが実年齢は37歳だった。28から37までの間は、いわゆる神のような存在に『記憶を改ざんされて別世界に送り込まれる』ということ繰り返されていたため、何ひとつ記憶を持ち合わせていない。

　とある出来事をキッカケに、「自分の記憶が改竄されているのでは？」という事実に気づいた。そして神様と対面を果たすのだが、社長が思ったことは、「自分が神様に遊ばれていた存在だった」ということよりも、「手に職のないニートが40手前ってクソヤバくね……？」という事実だった。

「年齢的に、自分に残されたチャンスは今回の世界が最後だろう」と上記の出来事の際に、社長はある意味で死を覚悟する。結果、「成功のためならば手段は問わない」という社長の主義はますます強くなる。全ては自分のため、自分が成長するためならば他人を犠牲にする、自称社長はそういう人間である。

　社長にとっての成功とは、『何者からも踏みつぶされないほどの力を持つこと』である。



　社長が神から自由を取り戻すためには、神から授かった力を返せば良い。つまりエンブリオの力を失うことで社長は自由になれる。これは神と対面した聞いた言葉であり、また事実である。しかしエンブリオの力を失うとは、社長にとって成功から最も遠ざかる行為。そして、「ニート時代の何も持ちえていない自分に戻る」ということでもある。

　能力を失った後は、別の力が必要であると社長は考えている。その力とは――金。「能力を失うまでにPSを稼げるだけ稼いでやる。そして一揆終了後はそれを元手にして企業をする。その事業でさらにPSを集め、やがて誰にも踏みつぶせないほどの力を得る……ッ！」それが自称社長の至った成功の結論である。



　彼のエンディングは、一揆終了時までに彼の所持しているPSの多さによって変化。その額は『10万PS』。それ未満のPSは、彼にとってろくでもない未来が待っていないことは容易に予想される。

　どんな巨額の冨を彼が持っていたとしても、支えてくれる者が居なければ、社長に待っているものは破滅だろう。社長とは部下がいて初めて成り立つものだから。

　自称社長は本当の社長になれるのか、そして童貞の道程はどこに続いているのか。

　それは神さえも分からない。