○月△日 （メルンテーゼに来てから65…67日目）


『自分にできることをやればいい』という思いを抱えて、今日まで歩いて来た。
長く続いた一揆がようやく終わった今、改めて、自分の進んできた道を振り返ってみる。

『わたしは、自分にできる限りのことを成すことができた？』

問いの答えは、自分しか知らない。自分にしかわからない。
ただ一つ言えることは。経験も、知識も、まだまだ自分には足りていない。
だから、「自分にできること」の幅は狭いし、浅い。

今回、一揆をきっかけにして、初めて自分の世界から別の世界へと渡り、そこで様々な人たちと出会った。
まるで翼のようなヒレを持った少女と、心優しき獣人の青年、二足歩行の白ウサギを連れた魔法使い、
格闘技が得意な快活な女の子、記憶喪失の鍛冶職人、果ては花の神様と名乗る少女まで――。
他にも多くのいろんな人たちと出会って、言葉を交わした。
自分が今まで知らなかったこと、思いもしていなかったことも、たくさんあった。
……やっぱり、あの小さな島の中にいて、本を読んだり人から話を聞いたりするだけでは学べないことが、「外」の世界には山ほどあるのだとわかった。

自分の世界に戻ったらまたすぐに、とは言わなくても、いずれは自分もまた知らない世界を、異世界中を旅してみたい。
そう思っている。



（名前は出していませんが、出会った人々に関しては、メッセで交流のある/あった一部の方々を、ほんのちょっとだけお借りしています。）

　クロエはノリノリで転入生ごっこを続ける。

　悪戯心が目覚めたのか、クロエはアマリアのスカートを前から捲ろうと手を向ける。

非常に緩慢とした動作で、少しでもガードすれば自然と撃退できそうだ。

　そんなことを言いながらクロエはアマリアに近づいて行き、握手をしようとそっと手を差し伸べる。

差し出されたティーカップに礼を言うと、メグはそれをそっと口元へと運ぶ。

まずはじっくりと香りを堪能したあと、一口、下の上で転がすように味を楽しむ。

その瞬間、ちょっとだけ酸っぱそうな表情を浮かべたのは、やはりローズヒップ特有の酸味だ。

しかし、その酸味こそがこの茶葉のクセになる味といったところだろう。

そう一言漏らすと、メグは話を続ける。

傍から見ている分には、充分無邪気で、充分女の子女の子していると思うのだが。

アルのような男の子にはわからない判断基準みたいなものが、女の子にはあるらしい。

最後に小さくぼそっと、メグは少しだけ頬を赤らめながら呟きました。

結構深刻な告白だが、しかしメグの表情や口調に悲壮感はない。

それは、それだけこの世界に残っててもいいと心底思っているという証左でもあった。