――転がるタンプルウィード。
規則的なギャロップの音と、立ちのぼる土煙。

２頭仕立ての幌馬車が、だだっ広い荒野を街へと向かって進んでいる。
その幌馬車の荷台に見慣れぬ少女がひとり、すっかりくつろいだ様子でニコニコしている。






「あ〜、いい風。この荒野、やたら暑かったからホント生き返るわ」

少女の癖のあるブロンドの髪を、さわやかな初夏の風が揺らす。

「馬車って思ったより快適なのね。もっとガタガタしてるものなのかとばかり。御者さんの腕がいいのかしら……ねえ？」

少女はさっきから、背中を向けたままの黒髪の男にしきりに話しかけているようだ。



「あ、あぁ……アーロンの腕は一流だからな」

男は焦っていた。
この暑さだというのに、さっきから冷や汗が止まらない。

（に、似ている……あいつに……コートニーに）

少女を初めて見たとき、男は思わず声を上げそうになった。別れた妻にそっくりだったからだ。
癖のあるブロンド、青い瞳。
よく好んでいた探検家風の格好もそうだ。


（だが……若すぎる。この子はまだティーンエイジャーに見える。あいつの年齢は俺と変わらないからな）

今は少し冷静に少女を観察することが出来た。
正面から見る勇気はなく、ちらっと振り返って盗み見て、ではあるが。



（しかし…他人の空似とは思えないくらい似ているんだよなあ……）

浮かび上がってきたもうひとつの疑念が男の背中をひやりとさせるのだった。

（いやいやいや！ありえないだろ……ありえないよな？……可能性がないことも…ないのか？？？）

このまま街まで数時間、ずっと悩み続けるのには耐えられそうもなかった。
男は意を決した。


「君……」

「なにかしら？」

少女は、微笑む。
質問内容はわかっている、という笑みだ。

「名前を教えてくれ」

待ってましたとばかりの表情だが、少女はすぐには答えない。


目を瞑って一呼吸置く。




「コーティ。コーティ・カーライルよ。パパ♪」

老貴婦人は手帳のページを捲る。
描かれた人物像と、走ってくる男とを見比べた後、そっとため息を零し。

久しぶり――という言葉の意味合い反し、何の感慨もなく淡々と呟く。

　御者台から振り返る青年は、幌の一部は窓として、布が外せるぞ、と指し示す。

チャットに電流が走る

仕方ないと、ため息を零してから猟銃を構える。

　穏やかに朗らかとした気風で言うと、弓を構え―――

ブリギットは聖剣の力を解放した……！

リギアの限定解除！
リギアの装備攻撃力が増加！
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リギアの凍結特性が増加！
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