幸運は持っている人間に訪れるが、探している人間には訪れない。
　
　カマック殿と会うのはまた久しく思う。
　あれから探し人の話は聞かないし、私も先々でそれとなく情報を集めているが、何分こんな戦中で情報が錯綜しているものだから成果は芳しくなく。
　ただずっと戦いに耐え抜いているその横顔からは、私は何も読み取れなかった。

　彼女は何を考えているのか、今でもよくわからない時がある。
　ラフカディオ殿は――思いつめるようなたちじゃないっていうとなんだか失礼な気がするけど――カマック殿は少し心配だ。

　人がどう思っているかなんて心を読めても看過できないものがある、とお祖父様は言っていた。
　なら聞いてみようと口を開いたものの、うまく訊けなかった。
　喉に詰まった言葉が鉛のように重い。

　見えないことの不安はいつだってあるけれど、それが仲間の心なら余計不安になる。
　切り出してみてもやはり会話は長続きしない。
　私もちょっと考え過ぎかもね。
　
　そういえばサバス殿たちは元の世界に帰ったのだろうか。
　痴話喧嘩を見るに、一夫多妻制じゃない世界というのは大変そうだ。
　愛多き人は苦労が多いというが、いや、実際何の話だろう。
　

ばっさり言い切った。

と、言ったもののあまり乗り気ではないようだ…。