(※あいもかわらず番外編です。
　 日記落とすかと思った……
　 今回はまた時間ぎりぎり、どうしてこうなった。
　 体調悪化させたからですね。はい。)

「――聞きたいなら喋ってもいいけど、
　あまり面白い話なんて無いわよ。」
さらりとたいした事はないようにいう。
「な、なんだ、それなら――」
「……でも、聞いたら不味い話はあるんだよね。」
もったいぶって、
私の返した答えを聞いて、
何かを悟ったのだろう。
睦美さんが聞こうとしたのをさえぎって、
咲良さんが止める。
想定通りではある。
まぁ、止められなくても、
不味い話はあるけどと流すつもりだったけれど。
「そうねぇ。
　不味い話はあるけど、
　良くわかったわね。」
「なんかそんな顔してましたもん！
　絶対何かあるって顔！」
「ああ、成る程。
　よく見てるわね。」
「だって、それくらい出来ないと、
　全部押し付けてくるじゃないですかー。」
「――鍛えすぎたわ。」
「全く嬉しくもなんともない鍛えられ方だけどね。」
やれやれという私に、
全くもうと少し頬を膨らませて反論する咲良さん。
まぁ、いじる事はできなかったけど、
可愛らしい様子がみれただけでここは満足しておくべきか、
と、少し息を吐いて微笑んで、
「――まぁ、聞かれて不味い話でもなければ、
　率直に話しておしまいよ。
　別にね、
　言いふらしたり、
　何か変な事しようとか思わなければいいけどね。」
「言いふらしたりするつもりはないし、
　変な事しようと思ったら、
　容赦なく叩き潰しに来るだろうが。
　束になっても勝てる気しないんだけど。
　それ察知して万全な準備しそうだしさ。」
「言いふらすほうにしても、
　もしも言いふらしても大丈夫なようにしてるよね。
　それもこちらが圧倒的な不利益被るような方法で。」
「察しが良くて助かるわ。
　１から説明しないでいいもの。」
『誰のせいだと。』
くすくす笑う私に、
二人仲良く突っ込みをいれてくる。
ちなみに答えは勿論、
私のせいである。
「まぁ、話が早くていいわ。
　で、聞くの？
　聞かないの？
　真白さんは聞くほうよね。
　貴女が聞いた所でメリットもデメリットも発生しないし、
　後は私の胸先三寸。
　ちなみに、
　ぶっちゃけこんなに色々いってるけど、
　話せばたいしたことない話かもしれないわよ。
　それなりに長いけど。
　話したことで関係がかわるかどうかについても、
　私からはなんともいえないわね。
　それに関しては私じゃなくて、
　貴女達の問題だし。
　しいていうなら……」
『しいていうなら？』
「まぁ、何も変わらないことを願うし、
　そうであって欲しいとお願いしたいわね。
　――大切なお友達を無くしたくないわ。
　まぁ、大切なお友達を無くすほどの話かどうかは、
　正直分からないわね。
　人によってはそう感じるかもしれないし、
　人によってはどうでもいいっていわれるだろうし。
　で、どう？　
　聞く？聞かない？
　どちらか選んで後でやっぱりとかは無しよ。」
冗談めいた雰囲気から、
真面目な雰囲気に切り替えて二人の目をみる。
実際の所、
今から私がする話は、
冗談のような話である。
信じてもらおうと、
信じてくれなくても――
いえ。
駄目ね。
きっと二人はそれが真実だと察するわ。
それを私が信じないでどうするのか。
――少なくとも、
それを二人に話す上で軽く言うわけにはいかない。
真白さんの事でもそうだが、
私の話もまた、
彼女達の常識、
世界ではありえない、
範囲の外にあることなのだから。
そして、
しっかり彼女達の瞳を見ていると覚悟を決めたようだ。
「ま、聞かないっていうのは簡単だけど、
　やっぱり聞いておきたいね。
　あたいだって話したく無い事はあるし、
　つまらない事かもしれないけど……
　それでも喋りたくなった時には、
　三人に聞いて欲しいと思ってるしさ。
　というか、この流れだとあたいも近いうちに、
　うん。話すよ。
　というか、
　流石に真白の話より凄い話なんてそうそうないだろうっていうか、
　つまらなさ過ぎてもう喋らないでもいいかなって思ってるけど。
　いやさ、だってほら……
　友達だからって隠し事しないってわけでもなし、
　ねぇ。。。」
「ま、それは同意ね。
　流石に友達だから全部話す義務はないもの。
　話したくなったら話して欲しい程度よね。」
「そうそう。
　ま、そんな訳でアタイは聞いておきたいかな。
　……
　どんな話でもそれで受け止めれないようじゃ、
　それこそ友達っていえないと思うしさ。
　ただの願望かもしれないけど。」
「睦美先輩らしくていいんじゃないかしら？
　それで……」
咲良さんはどうするの？
そう視線で問いかけると、
しっかりと一つ頷いて――
「自分の興味本位っていわれたら、
　頷くしかないし……
　あ、でも、
　もちろん、聞きたい理由はそれだけじゃないよ。
　これは直感にすぎないけど、
　聞かなきゃいけない気がするから――
　それで、どんな話でも受け止めないといけない気も。
　……
　うん。だから話してくれたらうれしいけど、
　ここまで引っ張ったけど、
　やっぱりしゃべれないってなったらしょうがないと思う。
　だから……
　どちらを選ぶのかは、
　魅月の好きにしてほしいって思ってる。
　私に出来るのは聞いて、
　受け止めて受け入れて、
　魅月とこれからも仲良くしていくくらいだろうから。
　うう、でも、
　こんな事いって……
　受け止めれなかったらどうしようって気持ちの方が……」
「そこまで気負わなくても、
　たいした話じゃないかもしれないのに。」
「……うー、
　それでもやっぱり……
　怖いよ。
　自分を信じたいけど、
　それでも、もしもがあればって思うと……
　ううん。
　怖がってばかりじゃ駄目だよね。
　……うん。いいよ。
　話して。
　どんな話でも、大丈夫だから。」
自分に言い聞かせるように、
ゆれる覚悟を押さえつける咲良さん。
――どんなに覚悟をしても、
いざとなった時にその覚悟が揺らいだ事があるのかもしれない、
そう感じたけれど、
彼女が言い出したり、
言おうとしない限り突っ込まないほうがいいだろう。
過去への後悔があるからこそ、
今があって、
今も昔と同じとは限らないし、
過去の失敗があるからこそ、
成長する。
……まぁ、もっとも、
別段成長してなくて、
その失敗をやらかしても、
私の方から嫌いになることはまずないのだが。
私を嫌って離れていって、
嫌いでい続ける限り、
私は寄り添うことはなく、
私もまた好きではなくなるだけで。
まぁ、もっとも、そんな心配するだけ無駄ではある。
たとえ何があっても、
咲良さんは一旦好意をもった相手を嫌えるタイプではないし、
睦美さんと真白さんは……
むしろそこまでいくようなら関係の修復が不可能な気がしないでもない。
「ま、ともあれ、聞くという事で一致してるみたいだし、
　ゆっくり話しましょうか。
　１から全部話すと、一日では話しきれないし、
　大切な所と要点だけ話すようにするわ。
　細かい話なら……
　まぁ、暇なときに適当に話してあげる。
　ま、心配しないでも、
　今から話す話聞いておけば、
　後は大体笑い話みたいなものよ。
　私の失敗談も含めてね。
　それじゃ、話しましょうか――」
とりあえず、まずは私の体質から。
死なない事、
もう既に永い時を生きている事、
霊を過剰なまでに引き寄せる体質である事――
それ故に死に続けてきた事――
そして、
その原因が神と呼ばれる存在からの呪いである事。
つまりは私がどんな状況にあって、
何を隠していたのかの全て。
ぶっちゃけた話、
そういうことがあって今まで生きてきましたというだけなので、
他の様々な話は蛇足というか、
こぼれ話というか……
単なる面白話でしか私にとってはない。
もちろん、
その中でも大切な事、
私の考えが変わった大きな出来事は一杯ある。
だけども、それについては、
語るべき事ではなく、
私が大切にするべき事だから、
語ったところで意味はない。
「まぁ、そんな感じね。
　証明しろっていわれたら、
　私が屋上から飛び降りて無抵抗に頭から落ちるとか、
　胸に包丁でもつきたてれば一発だけど。
　まぁ、そんな事しなくても方法は色々あるけど、
　死ぬほどの事をすればいいわよね。
　ま、そんな事しなくても、
　真白さんが保障してくれると思うけど。
　ああ、
　ちなみに成績については昔から大差ないわ。
　ただ成績落とさないようにしてただけよ。
　もちろん繰り返しやった事で完全に身について、
　他の人が同じ成績とるより労力は少なくすんでるのは確かだけど。」
で、何かあるかしらと見ているが、
あまりの事に混乱している二人はさておいて、
元より私の事を少し知っていて、
おとなしく聞いていた真白さんに視線を向ける。
「なんというか、
　経緯についてはその……
　思ったより重い話でなんといっていいかわかりませんし、
　これ以上突っ込んで聞きたくはありませんが……
　ともあれ、ええ。
　ちゃんと聞けて良かったとは思っています。
　笑い話についてはまた暇な時に聞かせて欲しいです。
　……なんとなく予想はついて別の意味で怖くはありますけど。」
「別の意味ね……
　どういう意味なのかは聞かないでおくわ。」
そんな私と真白さんの会話の途中で先に復活したのは睦美さん。
流石は先輩というべきかしら？
「百歳越えって、
　それで頭良くて強かったのかっていうか、
　お婆ちゃんってレベルじゃないんだけど、
　と、いうか、
　それで高校生っていいの？
　何かずるくないか！？」
そして出てきたところがそこである。
まぁ、順当といえば順当だけど、
そこなんだと少し面白かったのでクスリと笑い、
「いくら長く生きてるっていっても、
　身体能力も頭の能力も変わらないわ。
　経験だけはつんでいくけどね。
　いくら筋力トレーニングしても変わらないし……
　勉強きっちりしなかったら、
　成績だって悪くなるわよ？
　まぁ、体型は変わらないし、
　頑張ればその分いくらでも技術と知識は伸びるから、
　何もやってない訳じゃないわね。
　で、まぁ、
　見た目の関係上高校生以上は苦しいわ。
　大学生ならやった事あるけど……
　高校生やってるのが面倒事が一番少ないのよね。
　今の時勢なら別に問題ないとは思うけど。」
「あー……
　って……
　という事はその身体能力その他基本的なものは、
　生まれつきというか、
　年相応？
　なら仕方ないか……
　それでも……
　体型変わらないのだけはずるい。」
「それに関しては否定しないわね。
　美容関係に関してはある意味完璧だもの。」
「くっ……！」
どことなくピントのずれた私と睦美さんの会話に、
どうやら咲良さんも正気に戻ったらしい。
「え、いえいえ！
　そこも突っ込むべきところだけど、
　最初に突っ込むところじゃない……！
　え、真白さんみたいな存在ってそんなにごろごろいるの！？
　とか、
　死なないってどういういう事とか……！」
「死なないに関しては文字通りじゃないか？」
「文字通りね。
　それ以上に答えようがないわ。
　でも、確かに真白さんみたいな存在がごろごろいるのか？
　って話は大切ね。
　真白さんみたいに力もってる存在もそこそこいるけど、
　表立って動くのはないわね。
　いくら強くて常識外れな力があっても、
　夜に、闇に潜む存在だから、
　光ある所にはそうそう出てこれないわ。
　そして、
　力がなくて見えないほどにか弱い存在はそれこそ無数にいるけど……
　よっぽど群れない限りは大して力はないし、
　気にするだけ無駄よ。」
「あ、はい、そうだね。。。
　うん。
　ごめん、まだ混乱してる……
　少し整理させて……」
「まぁ、ごゆっくり。
　長くなるっていうのもそのせいね。
　百年分の面白話なんて、
　それほど腐るほどあるわよ。
　ただ貴女の世界観が変わる話も多いだけで。」
クスリと笑う。
まぁ、どうやら問題なく、
この関係は続けれそうだというのは間違いなさそうではある。
「でも、残念だな。
　卒業後もこうして皆でと思うけど、
　なかなか難しそうだし……」
「呼んでくれて用事がなければいくわよ。
　どんなに離れてても今の世の中飛んでいけるじゃない。
　頻繁にかかわりたいなら公務員になる事が最善ね。」
「まぁ、それもそーだけどさ。
　あー、
　そういえば公務員扱いでもあるんだっけ。
　魅月。
　うーん。そっか。」
「どうかしたの？」
「ん、いや、なんでもない。」
私との会話で何か思いついたという顔をして、
咲良さんと真白さんにに睦美さんは耳打ちする。
一体何を吹き込んだのかしら？
悪い事ではなさそうだけど。