前回までのあらすじ

　壇上の村長の号令に合わせ、村の広場に集った村民たちが虹色天幕万歳と繰り返す。

　村長に頼まれ、雑草王女こと絃繰緑は村長の後方に座し、村民らを見下ろしている。
当初、先祖伝来の言い伝えという事でメルンテーゼに赴いた虹色天幕に渋々協力しているといった体であったコガネ村の村民らも次第に態度を改め、
今や緑を含む虹色天幕団員に実際に神の御使いの如く畏敬の念を払う様になった。
中でも図抜けて巨大な歩行雑草が与えるインパクトは非常に大きいようだ。
その異様なる威容は近隣の村々に対しても恐れられた。
胡散臭い教えを守り続ける僻地の村として嘲笑や侮蔑の対象とさえなっていたコガネ村は、
一転、今や近隣の村々を従える勢いだ。
コガネ村の背後には虹色天幕一行が控えている。
逆らえばあの家屋を踏み潰せる様な巨大な歩行雑草が襲って来る。
そうした恐れを抱く近隣の村々は貢ぎ物を持ってコガネ村を訪れる。
更に虹色天幕が保有する資産は利に聡い者たちを呼び寄せる。
商人、貴族、有象無象のコガネ村詣でもますます盛んになった。
治世であったなら邪教を信仰する怪しい村でしかなかったものが、
乱世になった途端にその扱いは完全に逆転した。