「良いのか、あんなまま別れたりしてよ？」


スチュおにいさん、セリィおねえさんとわかれた猫。
ししょーは猫にたずねました。


『よくないのです！
でも――』

スチュおにいさんのかなしそうなかお。
それに、セリィおねえさんのおもい。
きっと、いまはあのままずっといっしょにいてもおねえさんをくるしめてしまうだろうから。


やっとちからがおさえられて、ひとりでうかれていた。
ふたりがどうおもうかなんてかんがえなかった。






『すこしだけ、じかんがほしいのです。』


じかんがすべてをときほぐしてくれるわけでもないけれど。
それでもいまは、これからどうするかかんがえるだけのじかんがほしい。









「そうか。おめぇがそう決めたんなら、そうすりゃいい。」


ししょーはそれだけいって、はなしをきりあげました。



「ねぇねぇ、ロク？セバスチャンさんはどこへいったの？」


やっとおはなししてもいいとおもったらしく、それまでしずかにしていたシュテルンが猫にたずねます。
そういえば、いつものひつじのしつじ――セバスチャンのすがたがみあたりません。


もしかして、はぐれてしまったのでしょうか？
猫がすこしあせりだしましたが、そのこたえはいがいにもししょーからもたらされました。


「あー・・・・・アイツな、ちいとばかし野暮用だとよ。まぁ、すぐに戻るそうだ。
おめぇに『無茶はなさいませぬよう。』って言ってたぜ？」


どうやら、ししょーにことづてをしてどこかにでかけたようです。
いったいどこにいったのかきになりますが、あまりさぐるのもわるいかとおもって猫はまつことにしました。

それまで、じぶんができることをしよう。
猫は、ふたたびすすみはじめます。