ニスイくん、彼とわしは財産の共有（という建前で、彼の財産はわしが全て自由に扱える）関係にある。
共に協力してこの一揆終了までにPSを稼ごうと誓いあった仲だ。

彼の能力ならばPKに襲われることもないだろうと、
わしが財産を持っているよりむしろ安全だろうと、わしの貯めてきたPSを彼にほとんど預けている。

そのニスイくんが、わしのPSを持ったままPKKに挑んだという話を聞いた時は肝を冷やしたが、
なかなかどうして、こうして成果を上げて戻ってきた。
最初は頼りないと思ったが、今ではもうわしの立派な右腕だ。

裏庭のベルフィは倒され、このドラゴンマウンテンのフリューゲルも討伐されたと聞いている。
しかし、新たな道がつながったという話は聞かない。

残された道は大聖堂の奥の道のみである。
広大に思えたメルンテーゼの道もいよいよ一つとなった。
――新王の元に先遣隊が付く日も近いだろう。

わしたちが火事場泥棒の真似ができるのは、パラダイスが倒されるまでの間だけ。
残り時間は決して多くない。

それを理解したニスイくんの行動、そして出した結果。
わしは彼を褒めこそすれ、咎める必要なぞないだろう。

ニスイくんはそう言うと、今回の成果が入った袋をぞんざいに投げ渡した。
目の前には賞金首から奪ったPSがばら撒かれた
その額は……

二スイくんは真剣な表情で、両の指を折って数えている。

わしは冷静に言ったつもりだったが、口角がいつの間にかニヤリと緩まっていた。

二スイくんは訝しげな表情で片方の耳をこちらに寄せた。
わしはその耳に向かって語りかける。

わしがPKKを始めたときに思いついたアイディア。
この手札を切るときがようやく来た。

PKなんて愚の骨頂だ。
下手な恨みは、この一揆が終わった後に自分の首を絞めるだけだ。

王の道も馬鹿らしい。
あんな自由がない立場、誰が目指すというのか。

わしはわしだけの国という会社を作る。
自分の手を汚さず、最大の利益を得る。
それこそがわしの求める道だ。

人の上に立つものは、聖人君子でなければならないのだから。
手を汚すのは、下のものに任せればいいのだ。