この世界に来てから、14日目。
私を拾ってくれたヴァルトさんたちと一度別れ、私は以前時風たちと訪れた広庭へやってきていた。
身にまとう衣服は送り出してくれた彼に作ってもらったもの、腰に下げる二つの剣も彼に作ってもらったもの。
狗牙砕月と名付けたその剣の鞘をゆっくりと指先でなぞり、私は微かに笑みを浮かべた。

「……ふむ、楽しそうじゃの、主様」
「……当然じゃないですか。あの男……あの庭師と再び戦うことができるんですから」

頼りになる彼らの下を一度離れ、此処に戻ってきたのはあの男と再び戦うために。
一歩、また一歩と歩くたびに近づいてくる再戦の時に、とてもわくわくしてくる。
そしてようやく見えた男の姿に、今度こそ奴を斬るという思いを抱えながら、私は狗牙砕月の柄を握った。