ソウハが先手で雪だるまをどこかへ吹き飛ばして戦闘が開始された。
いつものようにソウハが前に立ち、アラヤが後ろから援護する。
気がついたら定着していた陣形。
悔しいけれど今のアラヤに感覚強化の術式を維持しながら攻撃術式を使うだけのキャパシティはない。
その攻撃術式ですら相手の動きを少し鈍らせることはできても、大きなダメージを与えることはできない。

戦う度、少しずつ力が戻っているのは感じる。
いや、力が戻っているというよりは・・・馴染む。そんな感覚に近い。

もしかしたらここはアラヤが居た世界とは違う・・・？

もしそうだとしたら『声』が遠くなっているのも納得できる。
世界を構築する要素を理解していないのだから、術式が上手く使えないのだって当たり前だ。

ううん、でもやっぱりこの考えは飛躍しすぎだ。
気づかない間に世界間移動するなんて・・・そんなことをした心当たりもない。

とりあえず今は目の前の敵に集中しよう。
たくさん戦って元の力を取り戻す。

そうすればきっと―

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とくに大きな被害を受けることなく戦闘は終わった。

ソウハがダウンしたクジラに、ナイフを持って歩み寄る。
おそらく今日のご飯にでもするのだろう。

しかしそれを察したクジラたちも、力を振り絞って必死の抵抗にでる。