「力の度合いは申し分ありません。
ですが、やはり『強すぎる』ことが問題ですね…」

「はっ。直ちに」

薄汚れ、みすぼらしい格好をした2人の少年が室内に連れ込まれる。
怪しげな機械に繋がれた『僕』はその2人と目が合う。
1人は気丈そうに堂々と振る舞い、目を細めている少年。
もう1人は…身体を震わせて隣にいる少年に弱々しくしがみ付いている、見るからにひ弱そうな少年。
ただ、2人の姿形は瓜二つ。……双子、みたいだ。

……彼等がこちらに向けている目線は…喜怒哀楽の何れでもなさそうな。
例えるなら…奇異のもの？
どうして。どうして、『僕』にそんな目を向けるんだ。
『僕』だって人間だ。君達と同じ。

―――少年達が周囲にいる白衣を着た大人達に何かを言っているみたい。
けれど、『僕』にその声は聞こえない。
…やがて、気弱そうな少年が地に膝を付いた。
…泣き叫んでいる？何かを拒んでいるようにも見えるけれど、それ以上のことは分からない。
程なくして、気丈そうな少年も涙を流し始めた。
…悔しがっているように見える。

……『僕』はいつの間にか、拳を握り締めていた。
何が何やら、分からない。
とにかく『僕』は自由になりたい。こんな機械に拘束された状態は、嫌だ。
生きるからには、こう、自分の意志で好き勝手に……。

直後、眼前の景色が鮮明になった。
…『僕』の力で、視界を遮っていたガラスを破壊できたらしい。
寄り添う少年達と、白衣を着た大人達が。感情に塗れた言葉を交し合っている。
『僕』に聞こえてきた声は―――。