俺たち”神殺し”は、敵側の化け物と化した、元は”人間”であった仲間、
あるいは敵対する、”神”と呼ばれる化け物を殺すことで、”神殺し”となる。

神の呪いを受けた人間は、その呪いをかけた神を殺す前に呪いが全身にまわると、
人間は神の眷属、人間に害をなす”化け物”と化す。


そしてそれは、神殺しも例外ではない。


　神に牙をむいた証である”呪い”――
その紋章は、神殺しにも現れる。

ただの呪いなら、呪いをかけた神を殺せば、呪いは解ける。
しかし同時に”神殺し”として、また別の呪いを受けるのだ。

この呪いは、元の世界に蔓延っている神を全て殺す、
あるいは、手っ取り早く奴らの親玉を殺さない限り、解けることはない。
奴らが直接示してきた条件だ。

だから神殺しの俺達は、そのときを迎えるまで、
呪いがまわることを抑えるために、奴らを殺し続けなければいけない。

奴らを殺すことで、何故呪いの進行を抑えられたのか…
それはまだわかっていない。















――――はずだった












「……なんだよ、大したエネルギー持ってねぇじゃねーか、コイツ。」


肉塊を喰らってから残った骨を投げ捨てる。
なんてことはない。俺たちは"神殺し"になったときからとっくに人間やめてんだ。


「化け物はそれ相応のモノを喰わねぇと生きられねぇ……そうだろ？」


しばらく顔を見てなかったが……アイツも俺と同じ"神殺し"だ、
同じように飢えを凌いでいるに違いない。

いいモノを喰うようになったせいか、アイツの居場所も、今なら手に取るようにわかる。








「待ってろ能天気……今から会いにいってやるからよ。」


無残な姿になった"エンブリオだったもの"を他所に、
腕を押し付けて血を拭いながら、青年は確かな足取りで歩き出した。

よほど興味があるのか、目をキラキラさせながら尋ねる。

少し安心したような声で、フレアサンダーにこそこそと尋ねる。

本調子とは行かないらしい。
つらそうに青年はぼやきつつも、手にしたのは銀の銃。

自慢げな妹に対し、兄はどこか気怠げにぼやくのみ。

妹が拾ってきたシロモノに、兄は首を傾げた。

ふぅ……と二人揃って息をつくのである。

　　　　　　　　　　　　　　　　葉脈を泳ぐ、玉虫色の鯨。