捌いた牛肉を、バーガンディーの灯す炎で順繰りに炙って皿に並べる。
肉を焼くにおいは―――少なくとも一般的に食べるのに適したものであれば、ひどく食欲をそそる。
バカンスと称して水辺で遊び、砂地に移動してバーベキューに使う食材を集める。
この後は山側に移動して、鳥肉を狙ったり、この時期ならば茸を採取したりするのが良いだろう。

思えば、この地に来てから食に困る事は無くなった気がする。主に、彼女のお陰で。
まだ記憶も鮮明な旅の足跡を辿れば、数日飲まず食わずだった、なんてざらにあったりもした。
それでも病や怪我を追う事なく生きていられるのは、偏に、流れる“本性”の血の所為だろう。

最近、ふとした拍子に思う。
己に掛かった魔法が解けることがあった時、おれは、あの姿に戻るのだろうか？
戻った時、　　　の姿をした　　が、　を携えておれを討ちに来るのだろうか？

本が記した　　を、確かなものにする為に。　……

ステータスがごついのはエンブリオ力です。

謎の技術を用い、大理石からマントを作り出す男だった。