アラヤが戦闘の準備をしている間に、ナナが男たちを次々に切り伏せていく。
でもアラヤは見た。
敵の元に飛び込むナナの瞳に、あらゆる負の感情があふれていたのを。

一人であっというまに戦闘を終わらせたナナに、ソウハが駆け寄り話しかけている。
しかしナナの瞳は淀んだままだった。
見ていても面白くないので周囲に視線を向ける。
緩やかに流れる川原に男たちが倒れているだけで、こっちも面白くなかった。
・・・いや、ひとつ面白いものを見つけた。

二人に視線をもどす。
そこには心配そうにする優しい少女と、優しさにすら押しつぶされそうな哀れな少女がいた。

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ナナは逃げ出す機会を失ったのか、それとも気が変わったのか・・・その後は特に何も起こらず広庭に着いた。
適当に食料を探していると城の入り口まできてしまった。
どうしようかと考えていると、そこにいた人間がうるさく話しかけてきた。
いや、話しかけてきたどころか襲い掛かってきた。
アラヤは溜息をつき、応戦することにした。

態勢を整えつつ、ナナに視線を向ける。
先ほど以上に表情は晴れやかではなかった。
川原で見つけた、地面に刻まれた拙い文字を思い出す。
彼女が決めたことにとやかく言うつもりはないし、追うつもりもない。

敵へと駆け出す少女を見送りながら一言だけ呟いた。