-　とある異世界の　誰かの　呟き　-

樹里の物語が終わってから、もうずいぶんと時間が経った。
当初は全部が消えて終わるはずだった少女は、望まれる事によって続いている。
けれど、もし、この世界が私の手から離れるときに、まだ、彼女の存在が固定したものでないならば、不安定なジュリの体は独り立ちする事はなく消えてなくなるだろう。
いくら、望まれようとも、人間とも定められていない、エンブリオともなれない、精神体として確立されたわけでもない存在を、その世界で生きるキャラクターとして認められない。
そこまでご都合主義になれない、というのが本音で。

けれど、元の体を手に入れるのも、全く新しい存在になるにしても、それを私の手で行うわけにもいかない。
私の作ろうとしていた、上月樹里、というキャラクターの話はもう終了している。
今のジュリは、私でない、誰かの手で作られるべきストーリーだ。少年の願いが今のジュリを見出したように。

たとえ、それが、再び悲劇で終わるとしても。
それもまた、誰かの願いであるのならば。



――だから、ジュリの目の前に立ちふさがる金髪の少女がしようとする事も。
私は、……拒否しない。







次回（41回更新）で、シエラさん（Eno.1009）とジュリが、練習試合の宣言を行います。
（戦闘予告41回更新→戦闘自体は42更新です）
その試合の結果次第で、現在進行しているシエラさんとジュリのメッセの内容を決めたいと思います。

試合のルールとしては、

・この練習試合は1回のみ。何らかの事情で対戦が行われなかった場合、無効試合とする。
・シエラさんは誰かと組む事はしない。
・ジュリ、シエラさん共にエンブリオは出さない。
・勿論、お互い全力で。



練習試合の結果で、以下のようにメッセ内容は決定されます。


1Tで試合終了。ジュリ敗北の場合。
ジュリは首をはねられます。

3Tまでに試合終了。ジュリ敗北の場合。
致命傷は避けられますが、しばらく意識を失うレベルの重傷をおいます。
後遺症が残ります。

試合終了。ジュリ敗北の場合。
傷を負います。しばらくは動けませんが、いずれ治る怪我です。

引き分け、もしくはジュリ勝利の場合。
戦いをする事にはなりましたが、怪我をする事はありません。
無事、逃れられる事が出来ます。

そもそも練習試合が行われなかった場合。（シエラさん側がPKKに、もしくはジュリがPKに遭遇した場合）
襲われる手前で回避する事に成功しました。



練習試合について何か提案、質問等がある方は、伝言orツイッター（@anko_panda）までお願いします。

ジュリに悪いこと教えちゃ駄目だよ、とくすくす笑い。

省略しました。

　じっと、静かに見守る。

　子供らしく育てていくとしても、恐らく彼女は、いつか樹里の記憶を取り戻してしまうだろう。
　その時、幼いジュリの記憶が上書きされ、消えてしまうことを狐は危惧している。
　かつての樹里がそのまま復活すれば、再び皆の前から消えてしまうのではないか、と思うのだ。

　そうさせてはならない。理由は己ではなく、彼女の養い親である小狼の為ではあるが。
　自分もまた、この少女がどういう成長を遂げていくか見届けたい思いもある。
　だからこそ、今のうちに幼いジュリの心を強く育ててやりたいと思うのだ。

　"樹里"に、押し潰されないように。

　利発な子だけに、論理的な理由を求めてしまうのかもしれない。
　形に出来ないことにも大切なものがあると、直感で、信じてくれるだけでも今は良い。
　どのような嵐に巻き込まれようとも、決して揺るがぬ拠り所があると知っているのが大切だ。

　解らないなりに自分の言葉を返してくれたことを、褒めてあげたくなって。
　頭を、力強く撫でてやろうと手を伸ばす。

　むくれる少女に、くすくすとからかうように笑い。
　パチンと指を鳴らせば、幸せな結婚式の光景は掻き消えて元の花畑の景色が遠く広がる。

　感情を揺さぶらんと、真摯な眼差しで告げる。
　もしジュリが「今の幸せ」を大切だと強く思うならば、樹里の闇に耐えられるかも知れない――。