「瞬く間に霧に飲まれて視界を奪われたところを襲撃され、多数が崖底へ……」
「我々の部隊は横を流れる川が突如氾濫し、押し流され……」

　敗走してきた江山攻めの生き残りを集め、その報告を聞くと、それらは思ってもみないような出来事ばっかりだった。

「霧？　大水？　」
「は……はい」

　ツナちゃんはうーんと考える。

「霧は江山にいた頃見事な雲海を見たが、まさかそんなものが障害になるとはな……川の氾濫もここのところ雨が降ってはいなかったと筈が運が悪い」

　ツナちゃんの感想に同席していた陰陽師が黙って首を振る。

「それは正しくヤマタノオロチの力……まさか分け与えられるものだったとは」

「ヤマタノオロチ？　じゃあ、霧も大水も偶然ではなく？　」

「恐らくは……ヤマタノオロチを退治したからにはその神業を我が物としている事に不思議はありませんが、まさか部下に分け与えられるような物であったとは、想像だにしませんでした。
　綱殿は何かお心当たりありませんか？　幹部に渡された剣であるとか、鏡であるとか、はたまた勾玉か……」

「あ……」

　陰陽師の言葉にらいちがいつか見せびらかしていた、青くきらきらと輝く勾玉を思い出す。

「ふむ……おそらく大江山を攻めれば、多ければ８人の水使いと争う事になるか……」

　頼光様がううむと唸る。

「今回は直接我々源氏が兵を挙げたわけではないが、お館様も薄々感づいて、次は同じ手……留守を狙う手は使えまい。
　いよいよ我ら源氏が討伐の矢面に立たねばならぬわけだが、そのような妖術に対しての備えも無く攻め上れば、壊滅必至であろうな」

「ですが、帝より酒呑童子討伐を任された手前……何よりこの国の未来の為に諦めるわけにもいきません」

　頼光様の苦虫を噛み潰したような表情に、陰陽師が同じく眉根を寄せて答える。

「一刻の猶予も無く討伐に挙兵はせねばならぬ……だが、策は無い。大変な役目を仰せつかってしまったな」

　頼光様の言に、場の空気が重くなる。
　面子の為には挙兵しなくてはならない。が、下手に攻めれば夥しい数の死体を積むことになる。
　

　行くも地獄、戻るも地獄の状況に果たして……

　ソルトが協会の中に足を踏み入れると、パイプオルガンの音が止みそれを演奏していた大男がスッと立ち上がり、すたすたと歩き、懺悔室に窮屈そうに入っていく。

　ソルトはと言えば、懺悔室のもう一方の部屋に入り、椅子に腰かける

　レオンは可笑しそうに笑う

　本当にラズロ司祭の事が嫌いなんだな……と、ソルトが苦笑する

　ソルトが表情を変えずにそう答える

　そう言って懺悔室を出るソルトを先回りしてレオンが再び懺悔室へとソルトを押し込む

パラパラとLALASキッチンをめくっている

　こんな夜も深くにやってるだけでなく、お昼もやってるなんて！
ちょっぴり好感度があがりました。

　お仕事外なので、多分お世辞ではないはずです。
当人がぼーっとしてる間にもぞりとお尻を動かして座りなおし。

　ちょっと視線を外して、しかしなんのこともないように。

　付け加えるように。

　ごちそーさまでした。ぴお二足くらいお先に満腹です。

　　　　　　　にっこりと笑みを浮かべ

　　　　　　　眉間をトントンと叩いて

　　　　　　　　The quick onyx goblin jumps over the lazy dwarf.
　　　　　　　意外にも流暢な調子で平たい顔族の男が謡う

　　　　　　　　ふぅむと顎を撫でる。
　　　　　　　昨今のどわあふ事情では髭もじゃと幼女のカップリングなのでなんだその、事案発生。