【？日目/？？？/前回からの続き】

温泉宿に拾われた後も、ムーニアにはひとつ、気がかりがあった。

――抜け忍には、死あるのみ。

忍にとって里を抜けることは、禁忌。
秘密を守り通していくためのしきたりだ。
本人は勿論のこと、忍の正体を知った人物をも容赦なく殺す、そういう世界で生きてきた。
事実、ムーニアは脱走に失敗し殺された忍を何人も見た。

通常、追手の始末には3人組の刺客が放たれる。
滅多に起きることではないが、この三忍がすべて敗れ去った場合には、それ以上の追手は割かれない。
何故なら、それ以上の損害は忍の里そのものの存続を脅かすから、である。
抜け忍となった一名に加え、三名の追手が犠牲となれば、都合四名の欠員が生じる。
それだけの人数の刺客を新たに育てるのは非常に時間と手間がかかる。
故に、欠員は四名まで。それ以上は里の死を招く、というわけだ。

温泉宿で過ごした日々は、とても暖かいもので。
それ故に、失うのが怖くなった。
なればこそ、温泉宿に断りを入れ、メルンテーゼでの一揆に参加したのだ。
ここで追手をすべて消せば、温泉宿は無事だろう。
加えて戦乱の一揆の最中であれば、人の二人や三人、消えることもある。
…ムーニアは、この一揆に乗じ、自分を追ってくるであろう三忍を返り討ちにする覚悟を決めたのだ。

作戦会議中のようだ

[>アサミは少したじろいだ。くーちゃんのカリスマ性はすごい！

うーちゃんが放電現象を発生させ、落雷のような轟音（と可愛らしいシャウト）が響く。
それに驚いたかのように、わらわらといくつかの影が飛び出してきた！

フェアリードライバーのバックル部分を展開すると、電子音と共に穏やかな光を放ち始めた。

妖精の魔力で宝玉を作製し、バックル部分にセットする。
シュウスケの全身に強化骨格が瞬時に転送され、戦闘準備が完了した！